病害虫の発生は野菜を作るうえで避けては通れない問題です。
土づくりや除草など、手間と時間をかけて育てても、病気や害虫によって収穫できなくなってしまうこともあります。
とくに初心者にとっては、農薬を使わずに野菜を守ることはとても難しいことです。
しかし、病害虫を防ぐための工夫をすることで、被害を少なくすることはできます。
目次
無農薬栽培のポイント
病害虫予防の基本は、野菜が健康に育つことです。
そのためには、次のような工夫が必要です。
- 土づくりをしっかりと行う
- 水はけをよくする
- 病気に強い品種を選ぶ
- 栽培適期に育てる
- 肥料を与えすぎない
- 雑草を放置しない
- 間引きを行う
- 剪定を行う
- 防虫ネットでトンネルする
- よく観察する
病害虫の発生しやすい時期を知る
病気や害虫が発生しやすい時期はほぼ決まっています。
その時期を避けて栽培すると、被害が少なくなります。
多くの葉もの野菜は、春まきと秋まきができますが、温度が上がって病害虫が多くなる夏場に向かう春まきよりも、気温が下がって病害虫が少なくなる秋まきの方が、育てやすくなります。
健全な苗を使用する
よい苗を植えましょう。
苗半作というように、苗の良し悪しは栽培の結果に大きく影響します。
よい苗から育てれば、病気や害虫に負けずに育ち、収穫量も多くなります。
市販の苗を購入する場合は、よく観察してよい苗を選びましょう。
苗選びのポイントとしては、大きめで強そうな苗を選ぶことです。
売れ残った苗や、ヒョロヒョロして弱そうな苗は避けましょう。
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野菜の苗の選び方
接ぎ木苗を利用する
植物には2本の枝を強く隣接していると、互いに癒着して1本の枝になるという性質があります。
この性質を利用して、人工的に枝をつなぐ方法が接ぎ木です。
栽培したい野菜を穂木、根だけを提供する植物を台木と呼びます。
耐病性の台木に接ぎ木することで、連作障害や病気への抵抗性が強まります。
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接ぎ木苗とは
適期に栽培する
種をまけばいつでも野菜が作れる、というわけではありません。
野菜には、種類や品種によって育つのに適した時期があります。
適した時期から外れて栽培すると、適温でないために野菜が弱ってしまったり、病害虫が多く発生したりします。
種類や品種の栽培適期をかならず確認し、適期に栽培するようにしましょう。
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野菜は適期に栽培しよう
微生物がたくさんいる、よい土を作る
野菜にとってよい土は、微生物がたくさんいて、活発に活動している土です。
多様な微生物が存在することでバランスがとれて、特定の病原菌などが異常繁殖することがなくなります。
結果的に、病害虫の増加が抑えられます。
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野菜を育てるには、土づくりが大切
マルチをする
土の表面を有機物やポリエチレンフィルムなどで覆うことを総称してマルチと呼びます。
マルチをすることで、雑草を抑制できます。
ほかにも、地温を上げる効果や、土の表面の乾燥を防ぐ効果などもあります。
さらに、雨が降っても泥がはねず、泥はねによる病気感染を防ぐことができます。
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知っておきたいマルチの種類と効果
多めに種をまく、苗を植える
病気や害虫による被害はかならず出ます。
畑のスペースに余裕があるときは、多めに種をまいたり、苗を多めに植えることで、被害にあってしまった分を補うことができます。
ただし、密にたくさん栽培するのは、日あたりや風通しが悪くなり、病害虫の発生の原因になるのでやめましょう。
害虫を寄せつけない
防虫ネットのトンネルで野菜を覆って害虫を寄せつけないようにします。
アブラムシは光を反射するものを嫌うので、シルバーマルチを使用すると被害を少なくできます。
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防虫ネットでトンネルする
雑草を放置しない
雑草が放置されていると、野菜に必要な養分を吸い取られ、野菜の生育が悪くなります。
また、日あたりや風通しが悪くなるために、病害虫が発生しやすくなります。
そこで、雑草はこまめに取り除きます。
大きくなった草を抜くのはたいへんなので、小さいうちに除草しましょう。
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しっかり除草しよう
連作しない(1種類を作り続けない)
同じ科の野菜を同じ場所で作り続けると、その野菜を好む病原菌が繁殖したり、成分が偏るなど、育ちが悪くなります。
このように同じ科の野菜を作り続けることで障害が出る現象を連作障害といいます。
とくに連作障害で困るのは、土中で増えてしまったセンチュウです。
センチュウは野菜の根にこぶを作ったり、根を腐らせたりします。
繁殖を防ぐいちばんの方法は、多種類の野菜を場所を変えながら育てることです。
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連作障害と輪作について
天敵を利用する
野菜を育てるうえで害になる虫のことを害虫といいます。
それに対して、害虫を食べてくれる虫のことを益虫といいます。
自然界では、害虫が発生してもそれほど増えないのは、この益虫がいるからです。
害虫が増えると益虫もすぐに増えて、バランスが保たれているのです。
カマキリは、小さいときはアブラムシ、大きくなるとバッタやイモムシを食べてくれます。
クモも、アブラムシやハモグリバエなど、多くの害虫を食べてくれます。
テントウムシは、アブラムシをたくさん食べてくれます。
テントウムシはさらに、アブラムシの多いところに卵を産み、孵化するとすぐにアブラムシを食べはじめます。
これららの益虫を捕まえて、害虫の多いところに放すのも害虫対策の方法のひとつです。
益虫を利用するには、農薬を使用しないことです。
農薬を使用すると、害虫を駆除できますが、益虫も駆除されてしまいます。
堆肥など有機物を畑に入れて、益虫が生活しやすい環境を整えてやることも大切です。
育てやすい野菜を選んで栽培する
野菜には害虫のつきやすいものと、つきにくいものがあります。
例えば、葉もの野菜の代表各に小松菜やホウレンソウがありますが、被害の大きさがぜんぜん違います。
小松菜は、アブラナ科の野菜で、害虫の種類が多く、被害にあいやすい野菜です。
一方、ホウレンソウは、アカザ科の野菜で、比較的害虫の少ない野菜で、あまり害虫がつきません。
家庭菜園の初心者は、まずは害虫のつきにくい野菜を育てるのがおすすめです。
[害虫のつきにくい野菜]
ホウレンソウ、スイスチャード、シュンギク、レタス、ネギ、モロヘイヤ、オクラ、ゴーヤ、ゴマ、ゴボウ、サツマイモ、里芋、ニンニク、生姜、タマネギ、ジャガイモなど。
[とくに害虫のつきやすい野菜]
白菜やキャベツなどアブラナ科の野菜。
品種の力を利用する
品種改良によって特定の病気にかかりにくい性質をもったものがあります。
これら耐病性のある品種を使用することで、病気の発生を抑えることができます。
コンパニオンプランツを利用する
コンパニオンプランツとは、いくつかの植物をいっしょに育てることで害虫を駆除や忌避するなど、よい影響を与える植物の組み合わせのことをいいます。
マリーゴールドは、根から出る成分でセンチュウを駆除する働きがあることはよく知られています。
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コンパニオンプランツをうまく利用しよう
有色粘着シート
害虫には特定の色に集まる性質があります。
黄色には、アブラムシ、コナジラミ、ハモグリバエ、コナガなどが集まります。
青色には、アザミウマ類が集まります。
色に誘引される性質を利用して、黄色や青色の短冊形のシートに粘着性ののりを塗った粘着シートを用い、色で誘引して捕殺します。
株元や株の周りに設置します。
土ぼこりがつくと粘着力がなくなってしまうので、生育初期などに有効です。
害虫をこまめに駆除する
家庭菜園でできる病害虫対策の基本は、見つけたらすぐに駆除することです。
害虫が大量発生してしまったり、病気が蔓延してしまってからでは対処が難しくなります。
菜園を歩きながら、育てている野菜をよく観察し、害虫や病気を見つけたらすぐに対処します。
葉は、裏をよく見て害虫の卵を見つけたり、表の病斑、虫食いなどに注意します。
糞があれば、害虫が近くにいるサインです。
こまめに観察して根気よく駆除することで、被害をぐっと減らすことができます。
太陽熱を利用する
太陽の熱を利用して土を消毒することができます。
真夏に透明マルチを張ることによって、畑の土の温度が上昇し、土の中に潜む病原菌や害虫が死滅して少なくなったり、雑草が生えにくくなるなどの効果が期待できます。
太陽熱消毒ができるのは、熱をじゅうぶんに利用できる7~9月のもっとも直射日光の強い時期に限られます。
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