ミニカボチャの育て方を徹底解説!

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収穫した坊ちゃんカボチャ

(長期間の保存もできるミニカボチャ)

「冬至にカボチャを食べると風邪をひかない」という言葉があるとおり、カボチャはビタミンEなどの栄養素がたっぷり詰まった栄養満点な野菜です。

カボチャは大別すると、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3種類になります。

日本カボチャの原産地は中央アメリカで、16世紀にポルトガル人によって九州に持ち込まれました。

西洋カボチャは南アメリカが原産で、幕末に輸入され、日本では明治時代に北海道や東北で栽培がはじまり、ホクホクとした食感と甘さが好まれ、市場の9割を占めます。

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カボチャは3タイプ

日本で作られているカボチャは、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3タイプです。

16世紀にポルトガル人によって九州に伝わったのが日本カボチャで、高温を好み、ゴツゴツとした表皮とやや粘質でねっとりとした果肉が特徴です。

一方、19世紀後半から北海道を中心に広まっていったのが西洋カボチャで、冷涼な気候、乾燥を好み、日本カボチャよりも甘みがあり、きめが細かく粉質でホクホクとした食感が特徴で、市場の9割を占めます。

形も味もユニークなのがペポカボチャで、ペポカボチャを若どりしたズッキーニやそうめんかぼちゃ、観賞用のものなどがあります。

ミニカボチャの育て方

長期間の保存もできるミニカボチャ

(ミニカボチャの坊ちゃん)

ミニカボチャは、痩せた土地でも比較的よく育ち、病気にも強く、あまり手間もかからないので、初心者でも容易に栽培できます。

害虫のウリハムシが発生しやすく、生育初期に食害されるといじけて育たなくなるので、生育が旺盛になるまで防虫ネットでトンネルします。

肥料が多すぎると蔓ボケして、蔓ばかり伸びて実がつかないので、施しすぎないように注意しましょう。

地這いの放任栽培でもよく、1株から10~15個くらい収穫できます。

狭い菜園では、高さのある丈夫な支柱を立て、立体的に仕立てるのもよいでしょう。

概要

生育温度 20~25℃。低温にも高温にも強い。
土壌酸度 5.5~6.8。
連作障害 なし。できれば1年以上あける。
育てやすい品種 坊ちゃん(西洋種)、栗坊(西洋種)、ほっこり姫(西洋種)など。
元肥 酸性に傾いた土壌では苦土石灰をよく施す。元肥も入れる。
苗の植える時期 4月下旬。
苗の植え方 畝幅:90cm。
黒マルチ:有効。
株間:1列、2m~3m。
栽培中の管理 摘芯:本葉が7~8枚になったころ。
害虫対策:ウリハムシ対策に、生育初期は防虫ネットなどでトンネルする。
人工授粉:人工授粉してやる方が良い。
追肥:複数の実が握りこぶし大(ボールくらい)になったころ。以降は、2~3週間の間隔で生育の様子を見て行う。
収穫 ヘタの部分が茶色くなってコルク化したら収穫する。
病害虫 害虫:アブラムシ、ウリハムシなど。
病気:うどんこ病など。

ポイント

  • 肥料を施しすぎないように注意する。
  • 酸性に傾いた土壌では苦土石灰を施して中和する。
  • ウリハムシをこまめに補殺し、発生が多いようであれば防虫ネットなどで防除する。
  • 追肥は生育の様子を見て行う。
  • 雨が続いたり温度が低いと受粉しないので、その場合は人工授粉をする。

時期

ミニカボチャの栽培時期

※地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。

育てやすい品種

坊ちゃん(西洋種)、栗坊(西洋種)、ほっこり姫(西洋種)など。

畑の準備

ミニカボチャは、ウリ科では珍しく連作障害が出にくい作物です。

同じ場所でつくり続けることもできますが、できれば1年以上はミニカボチャを含むウリ科の野菜を育てていない場所を選びます。

強い酸性の土壌を嫌うので、酸性に傾いた土壌では苦土石灰を施し、よく耕しておきます。

種まきの2週間前までに、苦土石灰をまいて耕し、1週間前に、堆肥と化成肥料を施してよく耕し、畝を立てて黒マルチを張ります。

黒マルチは、雑草の抑制や、保湿や地温を上げる効果に期待できます。

苗の用意

種から育てることもできますが、株数の少ない家庭菜園では苗を購入して栽培した方が経済的です。

苗の植えつけ

ミニカボチャを植えたところ

準備した畝に、1列で、株間を2~3mとり、ポットからから苗を丁寧に取り出して植えます。

ミニカボチャを植えた畝

害虫対策

ウリハムシ対策に防虫ネットでトンネル

ウリ科の野菜はウリハムシが発生しやすいので、防虫ネットや寒冷紗などでトンネルして防ぎます。

摘芯(ピンチ)

摘芯したところ

本葉が7~8枚になったら、蔓の先端を摘み取り、子蔓の発生を促します。

子蔓が伸びてきたら、4本を四方へ誘引して這わせ、後は放任します。

人工授粉

カボチャは雌雄異花の植物で、昆虫にる受粉を必要とします。

受粉ができないと、途中で実が落ちてしまいます。

気温が低いときや雨のときは昆虫の活動が不活発で受粉できないことが多くあります。

また、ウリハムシ対策に防虫ネットでトンネルしていると、昆虫が花に近づけないため、受粉できません。

こんなときは、人工授粉を行います。

花の付け根が膨らんでいないのが雄花で、膨らみがあるのが雌花です。

最初のうちは雄花が多く咲き、次第に雄花も咲きだします。

人工授粉に最適な時間は朝で、花びらを取り去って雄しべをむき出しにし、雌花の雌しべにこすりつけて花粉をたっぷりつけます。

できれば、その日に咲いた雄花を使いましょう。

ミニカボチャの雄花と雌花

人工授粉

トンネルを外す

株が大きくなれば、ウリハムシによる食害に耐えられるので、トンネルの中が混み合ってきたら、トンネルを外して風通しをよくします。

トンネルを外したところ

追肥

実が握りこぶし大になったミニカボチャ

複数の実が握りこぶし大(ボールくらい)になったころ、株から30~40cm離れたところ、もしくは蔓の先あたりに化成肥料を施します。

以降は、2~3週間の間隔で追肥します。

肥料をやりすぎると、蔓ボケして葉ばかりが茂り、実がつかなくなるので、生育の様子をよく見て、生育が遅いようであれば追肥しましょう。

収穫

収穫時期を迎えたミニカボチャ

ヘタの部分がコルク化したミニカボチャ

開花して35~40日後、実が十分な大きさになり、ヘタの部分が茶色くなってコルク化し、皮に爪を立てても傷がつかないくらいになったら収穫します。

収穫したミニカボチャ

病害虫

ミニカボチャの病害虫

ウリ科の野菜の中では作りやすい作物ですが、生育中盤頃からうどんこ病が多発します。

多少の発生であれば問題ありませんが、ひどくなると生育不良になるので、風通しをよくして予防します。

また、場所によっては害虫のウリハムシが多く発生します。

株が小さいうちは防虫ネットでトンネルして防ぎ、以降は見つけたら手で取って捕殺します。

コンパニオンプランツ

カボチャの苗を植えるとき、ネギ2本を添えて一緒に植えると、ネギの根に共生する微生物が繁殖してカボチャに病原菌がつくのを防ぐ効果があります。

ウリハムシに注意

ウリハムシ

成虫は7mmほど、甲虫の仲間で、翅はオレンジ色をしていて、近づくと飛んで逃げてしまう厄介な害虫です。

1匹による被害はたいしたことないですが、集団で食害されると葉がボロボロにされてしまいます。

生育初期に食害されると著しく生育が阻害され、満足な収穫は望めなくなります。

生育初期は防虫ネットでトンネルして防ぎ、後半になってネットを外した際は、早朝は動きが鈍いので、捕まえて駆除しましょう。

葉に白い粉が

ミニカボチャにはうどんこ病が多発します。

ひどくなると生育不良になり、株を枯らしてしまうこともあります。

ウイルスを媒介するアブラムシなどをこまめに駆除します。

うどんこ病の発生した葉はただちに摘み取ります。

分かりにくいミニカボチャの収穫適期

ミニカボチャの実が完熟しているかどうかは、実のつけ根部の軸部分を見てみると分かります。

まだ熟していない実は、軸の部分が緑色です。

茶色く縦の筋が入り、コルク状になっていたら収穫適期です。

コルク化して完熟しているの放っておくと、株が老化するので、熟したら早めにとりましょう。

苗を作る場合

ミニカボチャの苗

カボチャは発芽しやすく、苗を作りやすいので、自家採取した種からも簡単に苗を作れます。

種まきは4月下旬、トレーやプランターに種をまき、本葉が出たらポットに鉢上げします。

立体的な仕立て(支柱栽培)

立体的な仕立て

狭い菜園では、キュウリ用のネットに蔓を這わせる方法もあります。

実の小さいミニカボチャに適した方法で、風通しがよく、うどんこ病などの予防にもなります。

ただし、ウリハムシが多く発生するので、注意が必要です。

種とり

ミニカボチャの種

カボチャは蜂などによってほかの花粉で受粉するため、交雑して雑種をつくりやすく、自家採取を続けるとバラつきが出やすくなります。

しかし、カボチャは種とりが容易で、自家採取して育てたカボチャの変化を楽しむのも家庭菜園の魅力です。

種とりは、涼しい場所で二カ月以上追熟し、午前中に種を取りだして洗い、夕方までに乾かします。

貯蔵して追熟すると美味しくなる

収穫したてのカボチャはデンプンのかたまりで、甘くありません。

カボチャのデンプンは、収穫後から糖分に変わっていきます。

収穫後、10℃前後で風通しのよいところで一月以上貯蔵すると、追熟してデンプンが糖化し、栄養価も高くなります。

ただし、保存できるのは年末くらいまでで、それ以上保存すると腐ってきます。

種も食べられる

カボチャの種を乾燥させた後、殻をむいてフライパンで炒り、塩などで味をつければおつまみになります。

漢方では南瓜仁といって、果肉の5倍ものカロテンを含み、ほかにリノール酸なども含みます。

「わた」も食べられる

カボチャのわたは、スープに入れると鮮やかな黄色が出るので、好みに応じて使いましょう。

蔓なしタイプのカボチャ

狭い菜園で、手間もあまりかけられない場合は、蔓なしタイプの「つるなしやっこ」カボチャがおすすめです。

つるなしやっこは、親づる1本で節間が短く、子蔓がほとんど出ないカボチャで、実が株元につくのが特徴です。

親蔓があまり伸びないので、省スペースでも栽培が可能です。

※名に「つるなし」とありますが、短い親蔓が伸びます。

ユニークなそうめんかぼちゃ

そうめんかぼちゃはペポカボチャの一種で、果肉が繊維質になっているのが特徴で、輪切りにして茹でると、果肉がそうめん状にほどけ、まるで麺のようになることからこの名がつきました。

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