サツマイモの育て方を徹底解説!

スポンサーリンク

サツマイモ

サツマイモは女性や子供に大人気で、芋掘りや焼芋の楽しさも、家庭菜園には欠かせないものです。

食物繊維の含有量は野菜の中でもトップクラスで、大腸や小腸の活動を刺激し、便秘や肌荒れを改善してくれます。

やせた土地でも元気に育ち、栽培も容易なことから、飢饉の際に多くの人々を救ったといわれています。

収穫から時間をかけて追熟することで甘くおいしくなるので、長く楽しめるのも魅力です。

[関連記事]
サツマイモの栄養と保存と調理
プランターでサツマイモを育てよう
培養土袋でサツマイモを作ってみよう
簡単!おいしい!「サツマイモ」レシピ3つ

サツマイモの育て方

栽培中のサツマイモ

「サツマイモを育ててみたいけど、広い場所がないから」と、サツマイモを敬遠していませんか?

サツマイモは放っておくとツルがどんどん伸びて広がっていくので、ある程度の広さが必要です。

でも、つる返しといって、伸びたツルを畝の中に戻してやるという作業を定期的に行うだけで、狭いスペースでもサツマイモを育てることができます。

サツマイモは肥料の吸収力が強いので、肥料は控えめにします。

とくに窒素分が多いとツルボケして芋が育たなくなることがあるので注意します。

サツマイモは栽培の手間がほとんどかからず、暑さや病害虫にも強く、誰にでも簡単に育てられます。

家庭菜園の初心者にもおすすめです。

概要

生育温度 22~30℃。
土壌酸度 4.2~7.0。
連作障害 なし。
育てやすい品種 紅あずま(ベニアズマ)、鳴門金時、関八など。
元肥 肥料や苦土石灰は控え目にするか、もしくは入れない。
苗の植える時期 5月上旬~6月下旬。
苗の植え方 畝幅:90cm。
黒マルチ:有効。
株間:2列、30cm。
栽培中の管理 確実に苗を活着させる。
ツルが広がったら「つる返し」を行う。
収穫 試し掘りをして収穫の時期を判断し、天気の良い日に芋を掘りあげる。
貯蔵 段ボールか発泡スチロールに入れ、10℃以下にならない場所に置く。
病害虫 害虫:ネキリムシ、ヨトウムシ、エビガラスズメの幼虫、コメツキムシ類(ハリガネムシ)など。

ポイント

  • 土壌の肥料分が多いとツルボケするので、肥料は控え目にするか、もしくは入れない。
  • やや酸性の土壌を好むので、苦土石灰は控えめにするか、または入れない。
  • 苗の植えつけは、すべての葉を土の表面に出す。
  • つる返しを定期的に行い、不定根を切る。
  • 試し掘りをして収穫の時期を判断し、天気の良い日に掘りあげる。
  • 低温にあたると芋が腐るので、霜が降りる前までに収穫する。

時期

サツマイモの栽培時期

※品種や地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。

[収穫時期に関しての大事な注意点]

寒さや霜で芋が腐るので、必ず霜が降りる前までに収穫しましょう。

育てやすい品種

家庭菜園では紅あずま(ベニアズマ)、鳴門金時、関八などが育てやすくておすすめです。

[関連記事]
初心者でも大丈夫!育てやすいサツマイモ3品種
一度は育ててみたいサツマイモの“人気”品種5選

サツマイモの肥料

サツマイモは、窒素分が多い土だとツルばかり伸びて芋の生育が悪くなります。

肥料を極力控えてツルボケを防ぎます。

畑の準備をする

サツマイモを植えつけるには、畝幅60~70cmの高畝で、1列とするのが一般的です。

しかし、家庭菜園では前作から畝幅を変えるのは容易ではないので、畝幅を90cmとし、2列で栽培します。

苗を植える前に、深く耕し、畝は高めに立てて黒マルチを張ります。

黒マルチは、雑草の抑制や、地温を上げる効果、雑草の抑制に期待できます。

サツマイモの苗を用意する

サツマイモの苗

サツマイモの苗は、芋から出たツルの先端を切りとった根のないものが何本か束になって売られているので、それを購入して植えます。

芋から苗を作ったり、店頭で売られているポット苗から苗を作ることもできますが、苗を作るには大変な管理と手間がかかるので、家庭菜園では苗を購入したほうがよいでしょう。

また、売られている苗にも良いもの、悪いものがあるので、以下を参考に購入してください。

[良い苗]

  • しおれていない。
  • 茎が太くて葉の色が良い。
  • 長さが25~30cmくらい。
  • 節の数が7~8である。

[悪い苗]

  • 葉が薄くて色も悪い。
  • 茎が極端に細い。

自分でサツマイモの苗を作るには

自分で簡単にサツマイモの苗を作ることができます。

植えつけの2か月前に、好みの品種の食用サツマイモを大きめのプランター(72cm)に植えて芽を出させます。

[サツマイモの苗の作り方]
病気予防のため、イモを47℃の湯に30分間浸します。
プランターの底に鉢底石を約2cm並べ、培養土をプランターの深さ半分くらいまで入れます。
イモを並べます。
培養土を被せます。
ツルが長さ20~30cmに伸びたら切って苗にします。

苗を植える

植えつけたサツマイモの苗

サツマイモは、苗の植え方によって、芋の数や大きさに影響します。

葉の付け根部分を多く埋めれば、芋の数が多く、小芋になり、少なく埋めれば、芋の数が少なくなり、大きな芋になる傾向にあります。

苗の植え方にはいろいろとありますが、垂直植えと水平植えが代表的で、葉の付け根部分を多く埋める水平植えがおすすめで、消費しやすい小芋がたくさんできる傾向にあり、植え方も簡単です。

サツマイモの水平植え

水平植えによる苗の植えつけは、2列とし、30cm間隔で、マルチに切れ目を入れ、苗を水平に寝かせ、苗の葉がすべて地表にでるように浅く埋めます。

苗を植えつけたら、まわりの土を株元に寄せて押さえ、水やりをします。

サツマイモの植えつけ間隔

[関連記事]
サツマイモの苗の「水平植え」を分かりやすく解説します

確実に活着させる

サツマイモは苗からいかに早く根を出させて活着させるかがポイントで、土壌が乾燥したときには水やりが有効です。

ただし、サツマイモは作物の中でも最も乾燥に強い作物の一つなので、活着後は乾燥しても水やりの必要はありません。

ツルが広がったら「つる返し」を行う

サツマイモのつる返し

苗を植えつえてから二カ月くらいすると、ツルが伸びて四方へと広がります。

このころから、「つる返し」といって、伸びたツルを畝の中央や空いているスペースへと動かしてやります。

ツルから発生した不定根はやがて肥大して小さな芋になることがあり、養分を多く必要として葉が過剰に茂り、ツルボケの原因につながるため、ツルの節から発生した根を切ります。

定期的にツルを持ち上げてひっくり返し、不定根を切ってツルから芋ができるのを防ぎます。

[関連記事]
サツマイモの「つる返し」は、芋を太らせるための大事な作業

試し掘り

サツマイモの試し掘り

サツマイモの収穫の目安は、茎や葉が黄色くなりはじめた頃です。

しかし、サツマイモの成育状況はその年の天候や気温などによるので、収穫する前に試し掘りを行い、芋の大きさを確認してから収穫する時期を決めましょう。

ツルや芋に傷をつけないように土を丁寧にどかし、芋を触ってみて大きさを確認します。

収穫

収穫したサツマイモ

試し掘りから収穫の時期を判断し、天気の良い日に芋を掘りあげます。

霜が降りて低温にあたると芋が腐るので、必ず霜が降りる前に収穫します。

貯蔵

サツマイモの貯蔵

(2月中旬に取り出したサツマイモ)

サツマイモは、うまく貯蔵すれば長期間食べられます。

掘りたてよりも、1月~2月貯蔵した方が、水分が飛んで甘みがぐっと増えます。

晴天の収穫して半日ほど乾かし、芋を一つ一つ新聞紙で包み、段ボールか発泡スチロールに入れて蓋をし、上部に通気穴を開けます。

家の中の陽のあたらない廊下や玄関、床下収納庫のような冷暗所など、温度変化の少ない場所で貯蔵します。

病害虫

サツマイモは病害虫に強いですが、ネキリムシ、ヨトウムシ、エビガラスズメの幼虫、コメツキムシ類(ハリガネムシ)などが発生します。

食害されてもたいした被害にはなりませんが、苗を植えつけたばかりのころは害虫に注意し、見つけしだい駆除します。

苗の節に芋ができる

サツマイモは苗の節に芋ができる

サツマイモは苗の節から伸びた根に芋ができます。

節を必ず土の中に埋め、葉は地上に出します。

サツマイモが黒く変色

冷害を受けたサツマイモ

サツマイモは10℃以下の寒さや霜にあたると冷害を受け、黒く変色して腐ります。

霜が降りる前までに収穫し、貯蔵してしまうことが大切です。

サツマイモ栽培での黒マルチの効果

黒マルチを使用してサツマイモを栽培すると、次のような効果に期待ができます。

  • 生育初期の地温の確保。
  • 乾燥の防止。
  • 不定根の抑制。
  • 雑草の抑制。

ただし、水はけの悪い場所では芋が腐ることがあるので、黒マルチを使用しません。

マルチをしない場合

マルチをせずに高畝にして栽培した場合は、ときどき畝間を中耕して除草します。

また、ツルが伸びると通路だけでなく株の周りにも根付いてしまうので、ツルボケを防ぐためにこまめにつる返しを行います。

ゴボウのように細長い

ゴボウのように細長くなるゴボウ根は、苗の植えつけのときに地温が高かったり、乾燥気味や日照不足のときに起こりやすくなります。

葉はよく茂るのに芋ができない(ツルボケ)

肥料分が多すぎると、ツルボケといって、葉ばかりが茂って芋ができなくなります。

ツルボケを起こさないためには、肥料を控えめに栽培することが重要です。

初心者の方は、まずは肥料を与えずに栽培してみてください。

肥料を入れすぎることよりも、無肥料の方がうまくいきます。

それでも、葉が茂って芋ができないようであれば、以前に作った作物の肥料が残留していた可能性が考えられます。

狭いスペースでサツマイモを栽培するには

サツマイモの支柱栽培

支柱栽培であれば、わずか一畳(90cm×180cm)ほどのスペースでもサツマイモを栽培することができます。

支柱に張った紐にツルを紐に縛りつけ、ツルを上へと高く誘引することで、狭いスペースでもサツマイモを栽培することができます。

[関連記事]
サツマイモの支柱栽培|わずか一畳の畝でもサツマイモを栽培できる

サツマイモの育て方 質問&回答

[質問]
サツマイモは連作が可能ですか?
[回答]
サツマイモは連作障害のでにくい作物で、連作が可能です。

[質問]
1株から巨大なイモが1つしかできません。1株から小ぶりのイモが4,5個できる には、どうしたらよろしいのでしょか?
[回答]
サツマイモの芋が巨大になってしまう原因と対処方法を『サツマイモで「巨大な芋になる」「芋の数が少ない」場合の確認5項目』にまとめました。

[質問]
収穫したさつまいもに虫がかじったへこみ穴があるのは害虫または病気ですか
[回答]
齧った跡であれば、コガネムシ(またはドウガネブイブイ)の幼虫かと思われます。畝を耕した際に、コガネムシの幼虫を見つけたら駆除します。
穴が開いているのであれば、ハリガネムシかと思われます。

サツマイモの甘さを引き出すには

サツマイモは掘りたてよりも、1~2月貯蔵した方が水分が飛んで甘みがぐっと増えます。

また、サツマイモの甘さを上手に引き出すには調理方法の工夫も必要で、デンプンを麦芽糖に変えるアミラーゼという酵素を多く含んでいて、低温でじっくり加熱することでアミラーゼが活発になり、水分も少なくなっていっそう甘くなります。

石の熱でじわじわ焼き芋が甘くて美味しくなるのはこのためです。

家庭では、電子レンジやオーブンの低温でじっくり加熱すると美味しく仕上がります。

干しイモ

蒸した芋をスライスして、天日干しすると干しイモができます。

干しイモは栄養価が高く、干すことで水分が飛んで多くの食物繊維をとることができ、便秘の解消や美肌作用に期待できます。

軽くあぶると、さらに甘みが増します。

注目の紫芋

最近、紫芋を使った食品が人気で、紫芋のソフトクリームなどの製菓、紫芋のチップするなど、ぞくぞくと紫芋を使った食品が増えています。

紫芋は鮮やかな紫色が人気なだけではなく、色素に含まれるアントシアニンは赤ワインに含まれるポリフェノールの一種で、活性酵素を抑える抗酸化物質を多く含み、生活習慣病や老化の予防に効果があるといわれています。

紫芋の品種:パープルスイートロードなど。

ツルの先端や葉柄もおいしい

サツマイモの葉柄の炒めもの

サツマイモのツルの先端や葉柄(葉とツルを繋ぐ部分)は、ビタミンE、カロテン、ビタミンCなどの栄養が豊富で、シャキシャキした食感を持ち、クセが少なくて美味しい食材です。

長さ10~15cmで順次収穫し、皮をむいて軽く下茹でし、佃煮、きんぴら、煮びたし、酢のもの、炒めもの、天ぷらにすると美味しく食べられます。

[関連記事]
サツマイモの茎(葉柄)は栄養価の高い食材

スポンサーリンク