知っておきたい野菜の栄養・効能

野菜の栄養や効能について詳しく解説します。

ニンニクの栄養と保存と調理

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ニンニク

夏バテや風邪予防に欠かせないスタミナ食材といえばニンニク。

原産は西アジアから中央アジアのあたりといわれ、同じくスタミナ食材であるネギやニラと同じユリ科ネギ属に分類される野菜です。

昔から、疲労回復、強壮作用がることが知られ、現在では世界中の多くの国で栽培され、料理や薬味や薬草として利用されています。

ニンニクの歴史

歴史は古く、古代エジプト、ギリシャの時代には、ピラミッド建設の労働者にスタミナ源としてニンニクが与えられ、重労働に耐えていたという記録があります。

ピラミッド内部の壁画にはニンニクを食べる労働者の姿が描かれており、ツタンカーメン王の墓からはニンニクの鱗茎が発見されています。

中国で万里の長城を建設する際、労働者にニンニクを与えていたともいわれています。

アジアへは、漢の時代に中国へ伝えられ、宋(そう)の時代にすでに「大蒜(たいさん)」という漢方薬として利用されていました。

日本へは、古い時代に朝鮮半島からの渡来人によってもたらされ、「大蒜(おおびる)」という古名で古くから料理の薬味にしたり、風邪の治療に用いる薬として活用されてきました。

紀元前から栽培されていたニンニクは、時を経てしだいに世界中に広まっていったと考えられます。

日本でニンニクが香辛料としての利用がさかんになったのは戦後になってからです。

現在ではヨーロッパ、中近東、熱帯アジア、韓国、中国、アメリカなど多くの国で栽培され、広く料理に利用されています。

ニンニクの消費量は増加の傾向にあり、今では食卓になくてはならないものになっています。

ニンニクの語源

ニンニクの語源には、二つの有力な説があります。

ひとつは、その強いにおいからきたという説で、「匂悪・匂憎(においにくむ)」の略や、「香匂憎(かにおいにく)」からとするものです。

もうひとつは、仏教用語の「忍辱(にんにく)」で、「いかなる困難にも耐え忍ぶ」という意味があり、僧侶たちが隠し忍んで食べたことからこの名がついたといわれています。

また、英語名のガーリックの語源は、ニンニクの葉の形がgar(槍)のように見えることと、味がleac(辛い)ことが合わさって、garlic(ニンニク)となりました。

ニンニクの栄養

ニンニクは古くから強壮作用がある香味野菜として食べられてきました。

ニンニクは疲労回復や風邪予防に欠かせない食材として有名ですが、そのパワーは独特の強いにおいのもととなるアリシンという成分によるものです。

鱗片を切ったり、おろしたりして傷をつけると、アリインが酵素の働きでアリシンに変わり、ニンニク特有の強烈なにおいを発します。

このにおいの成分アリシンは、いろいろな機能性をもちます。

アリシンは、ビタミンB1の吸収率を高め、エネルギー代謝がスムーズに行われ、スタミナ回復に効果を発揮します。

また殺菌力、抗菌力が非常に強力で、風邪などのウイルス撃退にも効果を発揮します。

アリシンを加熱するとアホエン(アジョエンとも)に変わり、血液をサラサラにして血栓を防ぎ、動脈硬化を予防します。

スコルジニンという成分も含まれ、摂取した栄養をエネルギーに変え、新陳代謝を盛んにし、血行促進作用があるので、冷え性の予防にも役立ちます。

タンパク質や糖質を含み、カルシウム、リン、鉄、ナトリウムなどのミネラルのほか、ビタミンB1、B2、ナイアシン、Cなどのビタミン類も豊富に含んでいます。

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黒ニンニクって知ってる?

黒ニンニク

黒ニンニクは、文字通りニンニクを黒くしたものです。

ニンニクのパワーはみなさんご存知だと思います。

ニンニクを食べると、エネルギーがわいてきて、元気になりますよね。

黒ニンニクは、その元気なパワーを最大限引き出したものなのです。

黒ニンニクは、熟成黒ニンニクと呼ばれることもあります。

熟成の文字通り、低い温度でじわじわと温め、ナマのニンニクを発酵させて、食べるものです。

黒ニンニクはそのまま食べる物です。

食べるとほんのりと、本当に少しだけですが酸味があり、そして甘いのです。

食感はまるでドライフルーツのようで、とても甘くて食べやすいのです。

健康食品として、非常に優れており、免疫力の向上や、ガンおよびアルツハイマーなどの予防に最適です。

毎日ひとかけらずつ食べることで、体の中から病気を予防してくれます。

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ニンニクの原産地

ニンニクの原産地は、西アジアから中央アジアあたりといわれていますが、明らかになっていません。

しかし、ニンニク栽培の歴史は非常に古く、古代エジプト、ギリシャの時代から食用として栽培されていたことが分かっています。

現在では、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界各地に広く分布しています。

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ニンニクの種類

ニンニクの種類は、寒さ強く暑さに弱い寒地型と、温暖地でも育つ暖地型に大きく分けられ、生育に大きな違いがみられます。

代表的な品種には、寒地型の福地ホワイトや富良野、暖地型の壱州早生や上海早生があります。

そのほか球の色や大きさ、ニンニクの部位によっても分けられます。

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ニンニクの旬

ニンニクは収穫後、長く保存できるように1か月程乾燥させてから出荷されるため、国内で栽培されたニンニクは、7月下旬頃から出回ります。

しかし、乾燥によって長期保存が可能で、輸入ものも多く出回っているため、旬が分かりにくい野菜の一つです。

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ニンニクの産地

ニンニクは世界各国で栽培されていますが、その生産高の大半が中国です。

日本では中国からの輸入が多く、国内産では青森県が約7割、次で香川県となっています。

おいしいニンニクの選び方

皮が白く、上から見たときに1片1片のふくらみが均一で、粒が大きく、手で持ったときに重みのあるものを選びます。

皮が茶色く変色しているものや、乾燥しすぎて軽いものは避けましょう。

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ニンニクの食用部分

食用となる部分は鱗茎(りんけい)で、地下茎が肥大したものです。

球ニンニクの利用が中心になっていますが、食の多様化により、「ニンニクの芽」と呼ばれる花茎や、「葉ニンニク」と呼ばれる葉を若どりしたものも利用されるようになりました。

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ニンニクの下ごしらえ

ニンニクの味と香りを料理に加えたいときは、すりおろしやみじん切りにして調理します。

料理に香りのみを移したいときは、薄切りにすれば後でとり出しやすくなります。

ニンニクの強いかおりが苦手な人は、鱗片の中の芽(真ん中にある緑色の芽)を取り除くことで、においが和らぎ、風味もよくなります。

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ニンニクの利用方法

初夏には「新ニンニク」が出回りますが、通年出回っているものは、収穫後に乾燥して貯蔵されたものです。

鱗茎には強いにおいがありますが、加熱すると食欲をそそる香ばしい香りへと変わります。

料理の隠し味として使われることがほとんどですが、丸ごと揚げる「揚げニンニク」など、主役になることも増えてきました。

おいしくて栄養満点だからついつい食べ過ぎてしまいますが、ニンニクのにおいは16時間残るというデータもあり、翌日までにおってしまうこともあります。

そんなときは、においを分解する作用のあるカテキンを含んだ緑茶や紅茶、ウーロン茶を飲むのがおすすです。

強烈なにおいが敬遠されがちですが、焼いたり、醤油漬け、味噌漬けなどにすると食べられます。

また、最近では品種改良によってにおいの弱いものも多く出回っています。

近年は、ニンニクの芽と呼ばれる若い花茎も出回り、食の多様化によって茎や葉も利用されています。

ニンニクを食べてスタミナをつけ、風邪の予防をしましょう。

ただし、食べすぎは胃腸の粘膜を痛めて胃痛などの原因になるので、生食なら1日1片、加熱しても2~3片までにしましょう。

ニンニクの増え方

ニンニクはおもに鱗片によって増殖します。

ニンニクの魔除け効果

強い強壮作用を持つ薬用植物として利用され、ネギ、ニラ、ラッキョウ、ノビルとともに、臭気や辛みのある五つの野菜(5辛)の一つにあげられ、不浄を去り、悪疫を払うとされてきました。

青森県弘前市にある鬼神社では年一度ニンニク祭りが行われ、ニンニク市が開かれ、茎がついたニンニクを輪に束ねて軒先に吊るして魔除けにする風習が今でも残っています。

自分でニンニクを育てるには

品種は、寒地系と暖地系に分かれるので、育てる地域に合ったものを選ぶことが大切です。

9月中旬~下旬に鱗片を植えつけ、翌年の春~初夏に収穫します。

植えてしまえばとくに手入れの必要はなく、プランターでも育てることができます。

[関連記事]
ニンニクの育て方(畑)
プランターでニンニクを育てよう

ニンニクの保存方法

保存方法としては、湿度の高いところは苦手なので、風通しのよいところにネットに入れて吊るしておくか、保存袋に入れて冷蔵庫で保管します。

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