ソラマメは、エジプトのピラミッドやトロイの遺跡で化石化したものが発見されていることから、世界最古の農作物の一つといわれています。
日本には、8世紀ごろにインドの僧侶が伝えたといわれています。
サヤが空に向かって実ることからソラマメ(空豆)、サヤの内部が繭のようなので蚕豆(そらまめ)とも呼びます。
地域によっては、一寸豆、おたふく豆、野良豆、天豆とも呼んでいます。
ソラマメの実は、特有の香りとほのかな甘みがあり、やわらかな口当たりです。
ソラマメは収穫適期が短い野菜ですので、タイミングよく収穫できればおいしさは格別です。
サヤごと焼いて食べてもおいしいですが、ゆでたてはとっても美味しいです。
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目次
ソラマメの育て方
ソラマメは、暑さには弱いですが、寒さには強く、あまり手のかからない作物です。
ただし、アブラムシが付きやすいので、こまめにチェックし、見つけたら早めに駆除します。
連作と酸性土壌を嫌うので、輪作を心掛け、種まきの前に石灰を散布して中和しておきます。
種まきが早いと株が大きくなってから寒さにあい、枯れてしまうことがあります。
種まきは必ず適期を守り、幼い苗で冬越しさせます。
つる性ではないのでネットは不要ですが、背丈が高くなり倒れてしまうので、支柱を立ててひもを張り、倒れないようにします。
概要
生育温度 | 15~20℃。 | ||||
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おすすめの品種 | 仁徳一寸、駒栄(こまさかえ)など | ||||
連作障害 | あり 5年以上はあける | ||||
元肥 | 苦土石灰と元肥を入れる | ||||
種まき時期 | 10月下旬 | ||||
種まき方法 |
畝幅:90cm 黒マルチ:あり(なくても良い) 株間:2列、40cm間隔、1か所2粒まき |
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栽培中の管理 | 追肥:春になって生長が盛んになってきたら | ||||
収穫 | サヤが大きくなって下向きになり、背側の筋が黒くなってつやが出てきたら | ||||
病害虫 |
主な病気:褐斑病、赤色斑点病、モザイク病など 主な害虫:アブラムシ、ナモグリバエ、ネキリムシ、ヨトウムシなど |
ポイント
- 秋に種をまいて冬越しさせ、初夏に収穫する
- 連作を避ける
- 酸性度はしっかり中和する
- 種は黒い部分(おはぐろ)が下に向くように差し込む
栽培時期
※品種や地域によって栽培時期は異なりますので、事前に確認してください。
秋に種をまいて冬越しさせる
ソラマメは、冷涼な気候を好みますが、株が大きくなってから厳しい寒さにあうと傷んだり、枯れてしまったりします。
株が小さすぎても、春の生育が悪くなってしまいます。
かならず適期に種をまき、本葉が5~6枚の段階で冬を越させるようにします。
育てやすい品種
仁徳一寸、駒栄(こまさかえ)など。
[仁徳一寸]
豆は大粒で、一つのさやに3粒入り、やわらかく甘みがあって美味しいです。
草丈は約120cm程度で旺盛に育ち、作りやすいです。
[駒栄(こまさかえ)]
さやは濃緑でやや長く、一つのさやに3粒入ります。
むき実の色が極濃緑でゆで上がりの色がよく、美味しいです。
草丈はやや低めです。
畑の準備をする
ソラマメは連作できないので、3~4年マメ科の野菜を作っていない場所で育てます。
酸性の土を嫌うので、空豆を育てる場所を石灰類で中和します。
種まきの2週間前に、苦土石灰を畝を立てる場所全面にまいてよく耕し、植える1週間前に、堆肥と化成肥料をまいてよく耕して混ぜ込み、畝を立て、黒マルチを張ります。
種まき
種は、30cmくらい間隔をあけて、1か所に2粒ずつまきます。
マメ類は、サヤと中のマメがつながっていた分を「おはぐろ」と呼びます。
そのおはぐろから芽と根が出るので、その部分を下に向けて、深さ2~3cmまで差し込みます。
種を深く埋めると種が水分を吸って腐ってしまうことがあるので、土の中に半分くらい隠れる程度の浅植えにします。
種をまいたら、厚さ1cm程度の覆土をし、手で軽く押さえます。
種まき後にしっかり水をやります。
欠株したときの補充用に、畝の端や育苗ポットに残った種をまいておくとよいでしょう。
鳥害対策
ほかのマメ科の種と同様に、まいた種を鳥に食べられてしまうことがあります。
種まき後は、防鳥ネットや不織布などで覆っておくとよいです。
冬の管理
適期に種まけば防寒の必要はありませんが、寒さの厳しい地域では不織布や寒冷紗をでトンネルします。
支柱立て
株が大きく生長すると倒れやすくなります。
春になって草丈が伸びてきたら、生長に合わせて畝を囲うように支柱を立ててひもを張ります。
追肥
春になって生長が盛んになってきたら、株間か株のまわりに化成肥料を施します。
収穫する
4~5月には白い花が咲き、やがてサヤがふくらんできます。
サヤが大きくなって下向きになり、背側の筋が黒くなってつやが出てきたら収穫の適期です。
ハサミでサヤのつけ根を切って収穫します。
とり遅れるとかたくなって甘みも減ってしまうので、とり遅れないようにしましょう。
アブラムシに注意
ソラマメの栽培で一番問題となる害虫がアブラムシです。
茎先や新葉に群生して汁液を吸い、株を弱らせてしまいます。
気温が上がり、ソラマメが茂ってくるころからアブラムシが発生し始めます。
よく観察し、見つけたら早めに駆除します。
茎先に群生してしまったら、茎先を摘み取って処分します。
天敵を活用しよう
テントウムシはアブラムシをよく食べます。
テントウムシの幼虫はアブラムシを1日に20匹以上、成虫ではなんとなんと100匹以上食べるといわれています。
積極的にテントウムシの成虫や幼虫を捕まえて、アブラムシのそばに放してやりましょう。