カリフラワーは、茎の頂にできる白い花蕾(からい)を食べる野菜で、ブロッコリーが突然変異で白くなったものといわれます。
キャベツの仲間で、茹でるとホクホクした歯ごたえと甘みが特徴で、ブロッコリーよりは少ないもののビタミンCが豊富です。
カリフラワーの栽培方法はブロッコリーとほぼ同じで、夏の暑い時期に植えるため、根がつくまでは乾燥させないように水をやり、害虫にも注意しましょう。
目次
カリフラワーの育て方
カリフラワーはブロッコリーと性質がよく似ていて、栽培方法はほぼ同じです。
夏の暑い時期に植えるため、活着するまでこまめに水をやり、害虫も多い時期なので、苗を植えたらすぐに防虫ネットでトンネルして保護します。
また、食べる部分の花蕾に日が当たると黄色く変色するため、外葉を折って花蕾にかぶせたりして遮光します。
最近では白だけでなく、紫やオレンジの品種も出回っていて、苗から育てるなら色違いの品種も選ぶと面白いでしょう。
栽培の概要
生育温度 | 15~20℃。 | ||||
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土壌酸度 | 6.0~6.5。 | ||||
連作障害 | あり。1年以上あける。 | ||||
育てやすい品種 | バロック、美星、スノークラウン(大玉)など。 | ||||
元肥 | 苦土石灰と元肥を入れる。 | ||||
種まき時期(苗作り) | 7下旬~8月中旬。 | ||||
苗の植えつけ |
8月下旬~9月中旬。 畝幅:90cm。 黒マルチ:あり(なくても良い)。 株間:2列、50cm。 |
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栽培中の管理 |
害虫対策:防虫ネットでトンネルした方が安心。 追肥1回目:本葉7~8枚のころ。 追肥2回目:蕾ができはじめたころ。 遮光:花蕾が見えていたら、葉で包んで遮光する。 |
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収穫 | 蕾の直径が15~20cmほどになったら。 | ||||
病害虫 |
主な病気:根こぶ病、立枯病、軟腐病、菌核病、黒腐病、べと病など。 主な害虫:アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ダイコンシンクイムシなど。 |
栽培のポイント
- 連作を避ける。
- 酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施す。
- 品種に適した時期に種をまく。
- 苗が根づくまでは乾燥させない。
- 生育初期は害虫の食害に注意する。
- 花蕾が見えていたら、葉で包んで遮光する。
- 側花蕾は出ないので、収穫が終わったら片づける。
栽培時期
※品種や地域によって栽培時期は異なりますので、事前に確認してください。
育てやすい品種
花蕾が日に当たると変色するため、外葉を折って花蕾にかぶせたりして遮光しますが、最近は葉が花蕾を包み込んで遮光の必要のない品種があります。
また、最近はオレンジや紫など、カラフルな品種も出回っています。
白色:バロック、美星、スノークラウン(大玉)など。
オレンジ色:オレンジ美星、オレンジブーケ、オレンジさんなど。
紫色:パープルフラワー、バイオレットクインなど。
苗を作る
7下旬~8月中旬に種をまいて育苗します。
トレーやプランターに用土を入れ、種を3cm間隔で条(すじ)まきし、土を薄く被せ、水をたっぷりやります。
発芽したら、葉が重ならないように間引き、本葉が2枚になったらポットに植えかえます。
苗は本葉が5~6枚になるまで育てます。
畑の準備
カリフラワーは連作を嫌うので、カリフラワーを含むアブラナ科の野菜を1年以上育てていない場所を選びます。
キャベツの仲間でカルシウム分を好み、酸性土壌だと根こぶ病が出やすいので、酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施し、土壌酸度を調整します。
また、生育期間がやや長いので、元肥は多めに施します。
苗を植える2週間前に、苦土石灰を畝を立てる場所全面にまいてよく耕し、植える1週間前に、堆肥と化成肥料をまいてよく耕して混ぜ込み、畝を立て、黒マルチを張ります。
- 苦土石灰をまいて耕す。(2週間前)
- 堆肥と化成肥料をまいて耕す。(1週間前)
- 畝を立てて黒マルチを張る。
黒マルチは、雑草の抑制や、地温を上げる効果に期待できます。
苗を植える
ブロッコリーの苗とよく似ているので、混ざらないように注意しましょう。
苗の本葉が5~6枚になったころ、2列とし、50cm間隔で植えます。
畝に根鉢と同じ大きさの植え穴を掘り、植え穴に水をたっぷりやり、水が引いてから根鉢を崩さないようにポットから苗を取り出し、植えます。
苗を植えつけたら、まわりの土を株元に寄せて押さえ、水やりをします。
- 根鉢と同じ大きさの植え穴を掘る。
- 植え穴に水をたっぷりやる。
- 水が引くのを待つ。
- ポットから苗を取り出して植える。
- 苗のまわりの土を株元に寄せて押さえる。
- 水やりをする。
夏の暑い時期に植えるため、根がつくまでは乾燥させないように水をやります。
ただし、過湿を嫌うので、活着したら、よほど乾燥しない限りは水やりはしません。
害虫対策
カリフラワーはキャベツの仲間なので、アオムシをはじめ、ヨトウムシやコナガなどに葉を食害されます。
生育初期に被害にあうと著しく生育が悪くなるので、苗を植えたらすぐに防虫ネットでトンネルして防除しましょう。
カリフラワーは株が大きくなるので、トンネルをめいっぱい大きく作っておくのがポイントです。
防虫ネットでトンネルしても、土の中に潜むヨトウムシなどの害虫が発生するので、こまめに観察し、見つけたら取り除きます。
シンクイムシに注意
苗の植えつけ直後はダイコンシンクイムシの被害を受けやすく、中央の成長点を食べられると、収穫は望めないので注意しましょう。
追肥
カリフラワーは生育期間がやや長いので、肥料を切らさないように育てるのがポイントです。
苗の植えつけから一月ほど経ち、隣の株と葉が触れ合うくらいに成長したら、株間に化成肥料を施します。
花蕾ができはじめたころ、2回目の追肥を施します。
1回目の追肥:隣の株と葉が触れ合うくらいに成長したら。
2回目の追肥:花蕾ができはじめたころ。
防虫ネットはできれば外さない
防虫ネットでトンネルしていると、生育中盤からネットの中がかなり窮屈になり、見かねてネットを外したくなります。
しかし、カリフラワーは生育期間が長く、イモムシが発生すると花蕾を覆う葉を食害されることもあるので、できれば防虫ネットでトンネルしたままにした方が安心です。
花蕾を遮光する
葉が花蕾を包む品種で、白い花蕾が見えずにしっかり葉に包み込まれていれば、遮光の必要はありません。
花蕾が見えていたら、外葉の葉の一部を切り取って、花蕾を包み込むようにして遮光します。
葉で包んで遮光して育てると、花蕾の色が白く鮮やかになり、品質のよいものになります。
遮光しないと、日に当たって変色するだけでなく、霜や寒さにあたって傷みます。
収穫
花蕾が直径15~20cmになったら収穫します。
葉を7~8枚つけて株元から切り取り、葉を短く切り落とすと、ブーケのようなきれいな姿になります。
カリフラワーは側花蕾(わき芽)は出ないので、収穫した株は早めに片づけましょう。
病害虫
葉を食害するアオムシ、コナガ、ヨトウムシ、成長点を食害するダイコンシンクイムシなどの害虫に注意します。
病気では根に白色のこぶができて変形し、地上部が枯れてしまう根こぶ病、株元が腐ってくびれる立枯病(たちがれ)、ほかに軟腐病、菌核病、黒腐病、べと病などの発生に注意します。
連作を避け、防虫ネットでトンネルして害虫を寄せつけないようにしましょう。
花蕾ができない
花蕾の形成には、一定の大きさの苗が一定期間低温に当たる必要があります。
低温の期間が短すぎると、花蕾の中に葉が出てきてしまいます。
花蕾を形成させるには、品種に適した時期に種まきをすることが大切です。
花蕾が黒ずんできた
カリフラワーはの花蕾は日光に弱く、日光に当たり続けると日焼けして黒ずみ、進行すると腐ってくることもあります。
最近は葉が花蕾を包み込んで遮光の必要のない品種がありますが、白い花蕾が見えているようであれば、葉を折って花蕾を包み、日光を遮りましょう。
ただし、オレンジや紫などの有色の品種は、日光を遮ると着色しないので、包む必要はありません。
側花蕾ができない
カリフラワーは、ブロッコリーが突然変異で白くなったものといわれ、非常に近い存在ですが、カリフラワーは側花蕾ができず、側花蕾ができるのはブロッコリーだけです。
カラフルな品種を楽しもう
白いカリフラワーは変色しないために遮光して育てますが、カラフルなタイプは日が当たるほどに色づきがよくなります。
栽培方法は白いタイプとほぼ同じです。
[バイオレットクイン]
紫色になるカリフラワーです。
熱を加えると緑色になります。
[オレンジブーケ]
オレンジ色になるカリフラワーです。
光に当たるとより発色がよくなります。
[連峰]
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緑色になるカリフラワーです。
軽く茹でて肉や魚に添えると料理を引き立てます。
茎は食べられない
茎や葉をつけて収穫するとブーケのような美しい姿を作ることができますが、ブロッコリーと異なり、茎はかたくて食べられません。
カリフラワーの上手な茹で方
レモン汁を加えて茹でると真っ白になります。
また、小麦粉を少し入れて茹でると沸点が上がり、ふっくらと仕上がります。
保存方法
蕾の部分を食べやすい大きさに切り、固めに塩ゆでし、水けをきってビニール袋に入れ、冷凍庫で保存します。