芽キャベツは、茎が長く伸び、葉柄のつけ根に直径2~3cmの小さなキャベツがいくつもつく野菜です。
子持ちカンラン、ヒメカンランとも呼ばれ、子孫繁栄の縁起物としてお祝い事にも使われます。
結球するまでに株を大きく育て、寒くないと結球しないので、12度以下で栽培すれば、よい球をたくさんつけます。
キャベツの変種で、ブロッコリーやカリフラワーと同様に栽培できるので、いっしょに作ると楽しみがふえます。
目次
芽キャベツの育て方
茎は伸びながら葉のつけ根に小さなキャベツをつけ、結球は下からはじまって上へと進み、11月ごろから2月ごろまで収穫を楽しめます。
寒さに強く、12度以下の低温にあうと結球がはじまり、0度でも生育を続けるので、冬の間も収穫できます。
ブロッコリーと同じような性質なので、いっしょに2~4株くらいつくっておくと重宝します。
概要
生育温度 | 18~22℃。 | ||||
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土壌酸度 | 6.0~6.5。 | ||||
連作障害 | あり。1年以上あける。 | ||||
育てやすい品種 | 早生子持ち、ファミリーセブン、増田子持など | ||||
元肥 | 苦土石灰を入れ、元肥は多めに入れる。 | ||||
種まき時期(苗作り) | 7月中旬~下旬。 | ||||
苗の植えつけ |
8月下旬~9月上旬。 畝幅:90cm。 黒マルチ:あり(なくても良い)。 株間:2列、50~60cm。 |
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栽培中の管理 |
害虫対策:防虫ネットでトンネルした方が安心。 追肥1回目:隣の株と葉が触れ合うくらいに成長したら。 追肥2回目:わき芽が成長してきたら。 下芽かき:地ぎわのわき芽は小さいうちに摘み取る。 葉かき:ふくらんできたわき芽の下葉を切り取る。 |
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収穫 | 球が2.5~3cmほどに育ち、かたく締まったものから随時収穫する。 |
ポイント
- アブラナ科のものとの連作を避ける。
- 酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施す。
- 防虫ネットでトンネルする。
- 追肥をしっかり施す。
- 葉かきをする。
栽培時期
※品種や地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。
7月中旬~下旬に種をまきます。
キャベツやブロッコリーと同じ時期に同じ要領で作れますが、生育期間が長く、収穫は一カ月遅れます。
育てやすい品種
早生子持ち、ファミリーセブン、増田子持などが家庭菜園向きの育てやすい品種です。
結球しないプチヴェールもあります。
苗を作る
プランターやトレーにすじまきし、5mmほど土を被せます。
発芽がしたら込み合ったところを間引き、株間を2~3cmにします。
本葉1~2枚になったら、ポリポットに1~2株ずつ植え替えて育てます。
本葉が7~8枚になったら畑に植えます。
- プランターやトレーにすじまきし、本葉1~2枚まで育てる。
- ポリポットに1~2株ずつ植え替えて育てる。
- 本葉が7~8枚になったら畑に植える。
畑の準備
芽キャベツは連作を嫌うので、芽キャベツを含むアブラナ科の野菜を1年以上育てていない場所を選びます。
キャベツの仲間でカルシウム分を好み、酸性土壌だと根こぶ病が出やすいので、酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施し、土壌酸度を調整します。
また、生育期間が長いので、元肥は多めに施します。
苗を植える2週間前に、苦土石灰を畝を立てる場所前面にまいてよく耕し、植える1週間前に、堆肥と化成肥料をまいてよく耕して混ぜ込み、畝を立て、黒マルチを張ります。
- 苦土石灰をまいて耕す。(2週間前)
- 堆肥と化成肥料をまいて耕す。(1週間前)
- 畝を立てる。
- 黒マルチを張る。
黒マルチは、雑草の抑制や、地温を上げる効果に期待できます。
苗を植える
苗の本葉が7~8枚になったころ、2列とし、50~60cm間隔で植えます。
畝に根鉢と同じ大きさの植え穴を掘り、植え穴に水をたっぷりやり、水が引いてから根鉢を崩さないようにポットから苗を取り出し、植えます。
苗を植えつけたら、まわりの土を株元に寄せて押さえ、水やりをします。
- 根鉢と同じ大きさの植え穴を掘る。
- 植え穴に水をたっぷりやる。
- 水が引くのを待つ。
- ポットから苗を取り出して植える。
- 苗のまわりの土を株元に寄せて押さえる。
- 水やりをする。
害虫対策
芽キャベツはキャベツと同じアブラナ科で、アオムシやコナガなどの害虫がつきやすい野菜です。
苗を植えたらすぐに防虫ネットでトンネルし、ネットの裾を埋めて害虫が入れないようにすると安心です。
ただし、土の中に潜むヨトウムシなどの害虫は発生するので、こまめに観察し、見つけたら取り除きましょう。
追肥
芽キャベツは長く収穫が続くので、肥料を切らさないように育てるのがポイントです。
苗の植えつけから一月ほど経ち、隣の株と葉が触れ合うくらいに成長したら、株間に化成肥料を施します。
1回目の追肥から一月ほど経ち、わき芽が成長してきたら、2回目の追肥を施します。
1回目の追肥:隣の株と葉が触れ合うくらいに成長したら。
2回目の追肥:わき芽が成長してきたら。
防虫ネットは外さなくてOK
生育後半になると背丈が60cm以上になり、防虫ネットの中が窮屈になり、見かねてネットを外したくなります。
しかし、前述したように、芽キャベツはアブラナ科でアオムシなどの害虫がつきやすいので、できれば防虫ネットは外さないでください。
冬でもイモムシなどが発生することがあるので、防虫ネットでトンネルしたままの方が安心です。
下芽かき
芽キャベツは12度以下の低温にあわないと結球しません。
気温が高いときについた地ぎわの数個のわき芽は結球しないことが多いので、小さいうちに摘み取ります。
葉かき
わき芽がふくらんで結球し始めると、葉柄が太りを邪魔するので、その部分の下葉を切り取ります。
しばらくすると、葉かきで残った葉柄は枯れてしおれてくるので、結球の邪魔にならないように早めに取り除きます。
葉をかきすぎると生育が悪くなるので、少なくとも10枚程度は残るようにしましょう。
収穫
球が2.5~3cmほどに育ち、かたく締まったものから、手でもぎとるか、ハサミで球の根元を切り取って収穫します。
一度には結球しないので、必要に応じてまとめて収穫すると便利です。
病害虫
葉を食害するアオムシ、コナガ、ヨトウムシ、成長点を食害するシンクイムシなどの害虫に注意します。
とくに植えて間もない苗の芯をシンクイムシに食害されると、満足な収穫は望めなくなってしまいます。
病気では、根に白色のこぶができて変形し、地上部が枯れてしまう根こぶ病、株元が腐ってくびれる立枯病(たちがれ)、ほかに軟腐病、菌核病、黒腐病、べと病などの発生に注意します。
連作を避け、酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施し、防虫ネットでトンネルして害虫を寄せつけないようにしましょう。
結球しない
太く長い茎に育てることが大切で、結球が始まるまでに大きな葉が20枚以上展開するように育てます。
気温が20度以下でないと結球しないので、12度以下になればよいものが収穫できます。
元肥を多めに入れ、適期に種をまき、追肥をしっかり行い、株をしっかりと大きく育てましょう。