ニラの育て方

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ニラ

ニラは多年草で、暑さや寒さでも枯死することはなく、菜園の通路沿いや境界など、どこでも作れます。

中国西部が原産で、ニンニクと同じユリ科に属する宿根野菜です。

古くから食用とされ、古事記や万葉集にもその名が見られる歴史ある野菜で、昔から薬草として利用されてきました。

野菜として全国各地で広く栽培されるようになったのは戦後からです。

ビタミンA、B群、Cが豊富な生命力の強い緑黄色野菜で、スタミナ野菜の代名詞として知られています。

春から夏の生育のよい時期に収穫し、冬は休眠させます。

ニラは温性野菜

ニラは、体を温める野菜なので、食べると血流がよくなります。

代謝の悪い人や虚弱体質の人は積極的にとるとよいでしょう。

ニラの種類

ニラには、大きく分けて「小葉」「大葉」「花ニラ」の種類があります。

最も一般的なものは大葉で、市場に出回るニラの大半を占めています。

小葉は在来種で、暑さに強いという特性がありますが、今ではほとんど見かけなくなりました。

花ニラは蕾のついた若い花茎を食用にするもので、テンダーポールなど専用の品種があります。

ほかに、葉ニラを光を遮った状態で栽培する黄ニラがあります。

花ニラ

花ニラは、ニラの花が咲く前の蕾が付いた若い花茎を利用するもので、葉と比べて香りが弱く、甘みがあります。

葉ニラから収穫した花茎も花ニラとして扱われますが、本来、花ニラは葉ニラとは別の品種で、テンダーポールが有名です。

花ニラ専用の品種は、葉はかたくて食べないので、家庭菜園では、一般的なニラを育てたついでに花茎を収穫した方が得だといえます。

収穫は、蕾のついた茎を根元に近い位置で指で折って取ります。

花が咲くとかたくなって食べられないので、蕾のうちに収穫します。

黄ニラ

にらもやしとも呼ばれ、青ニラを日光をあてずに軟白栽培したもので、ニラ特有の強い香りが少なく、葉がやわらかでほのかな甘みもあります。

葉ニラよりもやわらかく、水分が多いのが特徴で、葉ニラにはないアホエンという成分が含まれており、脳の活性化を促して脳の老化を食い止め、記憶力がアップする効果があるとされています。

黄ニラは、普通のニラを光を遮断して軟化させるで栽培は簡単ですが、やわらかくて繊細なので優しく扱わなくてはならず、しかも光にあてることができないため、一般のスーパーなどの店頭に並ぶことはほとんどなく、高級食材として扱われています。

家庭菜園では、株数が少ないからこそ手作業による丁寧な収穫ができ、高級食材である黄ニラを手軽に楽しむことができます。

ニラの育て方

ニラは多年草で、ほとんど手をかけなくても分けつして大株に育ち、場所も選ばない重宝な野菜です。

一度植えつければ2~3年収穫でき、株分けして植えかえれば、また収穫できるようになります。

種からも育てられますが、苗を購入して植える方が簡単で手間がかかりません。

植えつけと追肥をタイミングよく行うのがポイントです。

栽培の概要

生育温度 15~25℃。
土壌酸度 6.0~6.5。
連作障害 あまりない。できれば2年以上あける。
育てやすい品種 スーパーグリーンベルト、ワンダーグリーンベルト、たいりょう、ニコニコ太郎、広巾にらなど。
元肥 苦土石灰と元肥を入れる。
苗の植えつけ 3月中旬~下旬、9月中旬。
苗の植えつけ 3月中旬~下旬、9月中旬。
黒マルチ:なし。
株間:苗を4~5本ずつに分け、15~20cmくらいの間隔。
栽培中の管理 1年目の追肥:ときどき追肥する。
2年目以降の追肥:月に1度くらい。
収穫 2年目になり、若い葉が20cm以上になったら。
株分け 3年目になり、株が弱って収量が落ちてきたら。
病害虫 主な病気:萎縮病、乾腐病、さび病など。
主な害虫:アブラムシ、アザミウマなど。

栽培のポイント

  • 1年目は収穫せずに株をおきく育てて、2年目から収穫する。
  • 除草をこまめに行う。
  • 収穫後に追肥する。
  • 収穫量が落ちたら株分けを行う。

栽培時期

ニラの栽培時期

※品種や地域によって栽培時期は異なりますので、事前に確認してください。

育てやすい品種

スーパーグリーンベルト、ワンダーグリーンベルト、たいりょう、ニコニコ太郎、広巾にら、テンダーポールなど。

[スーパーグリーンベルト(大葉ニラ)]
主力のグリーンベルトよりも葉の幅が10%ほど広く、揃いもよい品種です。
葉は濃緑色で、香りが強く、美味しいです。

[ワンダーグリーンベルト(大葉ニラ)]
生育は旺盛で、収穫後の再生能力が高いです。
休眠が浅く、収量の多い品種です。

[たいりょう(大葉ニラ)]
ジャンボニラとも呼ばれ、葉の幅が1.5cmにもなります。
葉色はやや淡緑で、美味しい品種です。

[ニコニコ太郎(大葉ニラ)]
立性の濃緑色で、肉厚で、幅も1.2cm以上と広く、香りと甘みが極めて強い品種です。

[広幅ニラ(大葉ニラ)]
低温や高温に強く、生育は旺盛で、収穫後の再生能力が高く、休眠が浅いので育てやすいです。
葉は濃緑で、肉厚で幅が広く、やわらかくて美味しい品種です。

[テンダーポール(花ニラ)]
ニラの仲間で、蕾のついた若い花茎を収穫します。
栽培方法はニラと同じですが、葉は硬いので食べません。

1年目は収穫しないで株を育てる

ニラは種から育てることもできますが、苗を購入して植えつけるのが一般的です。

1年目は収穫を控え、ときどき追肥をしながら株の充実をはかり、株分けして株を増やしていきます。

収穫しても問題はありませんが、株が弱って増えにくくなり、翌年からの収量に影響してしまいます。

苗の用意

ニラの苗

種から育てることもできますが、株数の少ない家庭菜園では、苗を株分けしてもらうか、市販の苗を購入して植えつけるのが手軽です。

畑の準備

ニラは酸性に傾いた土壌に弱いので、酸性に傾いた土壌ではかならず石灰を施し、土壌酸度を調整します。

苗を植える2週間前までに、苦土石灰をまいてよく耕し、1週間前になったら、堆肥と化成肥料を施して耕します。

苗を植える

ニラの苗を植え付けたところ

3月中旬~下旬、9月中旬に苗を植えます。

苗は4~5本ずつに分け、15~20cmくらいの間隔で植えます。

植えつけたら、まわりの土を株元に寄せ、土と根が密着するように軽く押さえ、水をやります。

追肥・土寄せ(1年目)

1年目は、ときどき追肥し、株の充実をはかります。

花蕾を摘みとる

ニラの花

夏になると花茎が出て、星形の小さな白い花を咲かせます。

花を咲かせると株が疲れるので、蕾のうちに摘みとります。

摘みとった蕾は花ニラとして利用できます。

追肥・土寄せ(2年目以降)

月に1度くらい、生育の様子を見ながら追肥し、株元に土寄せしておきます。

収穫(2年目以降)

収穫したニラ

若い葉が20cm以上になったら、地上から3~4cmほど残して刈り取って収穫します。

夏になると花茎を出して株が疲れているので、収穫を控えます。

株分け(更新)

3年目のニラ

3年目になると、株が大きくなって根が混み合い、株が弱って収量が落ちてきます。

3年目の4月、または9月に、掘り上げて株分けし、できれば場所を変えて植えつけます。

根ごと掘り起こして根元から株を分け、苗の植えつけと同じように植えます。

分けた株を植え付けたところ

病害虫

ニラはあまり病害虫がありませんが、アブラムシやアザミウマがつくことがあります。

アブラムシやアザミウマは萎縮病のウイルスを媒介すると言われているので、見つけしだい駆除します。

黄ニラの作り方

葉ニラの品種で黄ニラを作れるので、品種は問いません。

すでに葉ニラを育てていれば、そのニラから黄ニラを作ることもできます。

まだニラを栽培してないのであれば、葉ニラを1年~2年栽培して株を大きく育てます。

株が大きく育ってきたら、涼しい季節に3~4cmほど株を残して刈り取ります。

刈り取ったあと、黒色のビニールフィルムや黒い寒冷紗などの遮光フィルムを2~3重にトンネルして、光が完全に入らないようにして栽培します。

刈り取りから10日ほどすると、軟化した黄ニラを収穫することができます。

黄ニラは葉ニラよりもやわらかくて繊細なので、優しく収穫します。

また、収穫してから光にあてておくと普通の緑色のニラになってしまうので、光にあてないように注意します。

葉が細い

ニラは丈夫で育てやすい野菜ですが、雑草に負けたり、肥料が不足したりすれば、できは悪くなります。

また、夏の乾燥や、トウ立ちも株の負担を増やし、生育が悪くなります。

株はどんどん増えるので、養分の取り合いにもなります。

雑草はこまめに取り除き、肥料を切らさないように追肥して、何年かたったら株分けして植えかえましょう。

収穫したニラをおいしく保存するには

ニラは乾燥に弱く、時間がたつとしなびてはりもなくなります。

乾燥を防ぐには、洗って新聞紙に包んで冷暗所で保存するか、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。

葉が折れると栄養素が失われるので、できれば立てて保存します。

根元も食べよう

ニラの根元の白い部分はややかためですが、香りと味のもとになるアリシンが葉先の4倍も含まれています。

ギリギリまで美味しく食べられるので、切り捨てないで利用しましょう。

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