レタスは、シャキシャキとした食感と味にクセのないのが魅力で、サラダに欠かせない存在です。
地中海沿岸から西アジアに分布していた野生種がヨーロッパから東西に広がったのが起源といわれています。
日本に現在のようなレタスが入ってきたのは明治以降からで、1970年代に急速に生産量が伸び、サラダの主役として広く栽培されるようになりました。
サニーレタスなどの結球しないレタスもありますが、日本の主流は玉レタスで、玉レタスが日本に広がったのは戦後になってからです。
みずみずしさが魅力の玉レタスは9割以上が水分で、低エネルギーで食物繊維が豊富で、体内の余分な熱を取り除く作用があり、夏には体を冷やしてくれる効果もあります。
アブラナ科の野菜と比べて病害虫の心配が少なく、初心者でも簡単に育てられます。
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目次
切り口から出てくる白い液体
レタスの茎を切ったときに出てくる白い乳状の液体は、サポニン様物質というやや苦みのある成分で、催眠作用や、食欲を増進し、肝臓や腎臓の機能を高める効果があります。
この白い液体は、レタスが別名「乳草(ちちぐさ)」と呼ばれるゆえんとなっており、学名のLactucaのLacはラテン語で乳を意味しています。
玉レタスの育て方
キク科の玉レタスは、病害虫の心配が少なく、害虫のつきやすいアブラナ科の野菜のコンパニオンプランツとして混植するのもおすすめです。
玉レタスは、20度前後の涼しい気候でもっともよく育つので、春と秋に植えつけをします。
高温多湿に弱く、気温が上がると結球しにくくなるので、家庭菜園では結球期に涼しくなる秋まきが向いています。
比較的病気や虫に強く、活着もしやすいので、植えつけさえすれば、あとはそれほど難しくありません。
栽培の概要
生育温度 | 15~20℃。 | ||||
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土壌酸度 | 6.0~7.0。 | ||||
連作障害 | あり。1年以上あける。 | ||||
育てやすい品種 | みずさわ、シスコ、レガシーなど。 | ||||
元肥 | 苦土石灰と元肥を入れる。 | ||||
種まき時期(苗作り) | 春まき:3月中旬~4月上旬 秋まき:8月下旬~9月中旬 |
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苗の植えつけ |
本葉が4~5枚になったら。 畝幅:90cm。 黒マルチ:あり(なくても良い)。 株間:2列、30cm。 |
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栽培中の管理 |
害虫対策:防虫ネットでトンネルした方が安心。 追肥:植えつけから2~3週間したら。 |
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収穫 | じゅうぶんに結球して、頭を手で押さえてみてかたく締まったら。 | ||||
病害虫 |
主な病気:腐敗病、軟腐病、すそ枯病、べと病、灰色かび病、菌核病、斑点細菌病など。 主な害虫:アブラムシ、オオタバコガ、ヨトウムシなど。 |
栽培のポイント
- キク科の連作をしない。
- 適期に種をまく。
- 酸性に傾いた土壌ではかならず石灰を施して調整する。
- 種に土をかけすぎない。
- 浅植えにして病気を防ぐ。
栽培時期
※品種や地域によって栽培時期は異なりますので、事前に確認してください。
春と秋に種をまけますが、玉レタスは涼しい気候を好むので、秋まきがおすすめです。
育てやすい品種
みずさわ、シスコ、レガシーなど。
[みずさわ]
葉は濃い緑色の肉厚で、つやがあります。
耐暑性、耐寒性、耐病性があり、春、夏、秋にまくことができます。
中早生種で、土壌適応性が広く、作りやすいです。
[シスコ]
葉は鮮緑色の肉厚で、内部までよく着色します。
耐暑性、耐病性にすぐれ、抽台は比較的遅く、作りやすいです。
株張りがコンパクトで密栽培もできます。
[レガシー]
球は豊円球でボリューム感があり、食味もよいです。
草姿は半立性で、作りやすいです。
草勢は旺盛で耐寒性が強く、厳寒期に大玉がとれます。
苗を作る
春と秋から種をまいて育苗します。
トレーやプランターに用土を入れ、種を3cm間隔で条(すじ)まきし、土をごく薄く被せ、水をたっぷりやります。
玉レタスは種に光が当たって発芽が促進されるので、種に土をかけすぎないように注意します。
発芽したら、葉が重ならないように間引き、本葉が2枚になったらポットに植えかえます。
本葉が4~5枚になるまで育てます。
畑の準備
玉レタスは連作を嫌うので、レタスを含むキク科の野菜を1年以上育てていない場所を選びます。
また、酸性の土壌に弱いので、酸性に傾いた土壌ではかならず石灰を施し、土壌酸度を調整します。
苗を植える2週間前までに、苦土石灰をまいてよく耕し、1週間前になったら、堆肥と化成肥料を施して耕し、畝を立てて黒マルチを張ります。
黒マルチは、雑草の抑制や、保湿や地温を上げる効果に期待できます。
苗を植える
苗の本葉が4~5枚になったころ、畝に2列とし、30cm間隔で1株ずつ植えます。
畝に根鉢と同じ大きさの植え穴を掘り、植え穴に水をたっぷりやり、水が引いてから根鉢を崩さないようにポットから苗を取り出し、植えつけます。
深植えにすると病気が出やすくなるので、浅めに植えます。
苗を植えつけたら、まわりの土を株元に寄せて押さえ、たっぷりと水をやります。
- 根鉢と同じ大きさの植え穴を掘る。
- 植え穴に水をたっぷりやる。
- 水が引くのを待つ。
- ポットから苗を取り出して浅く植える。
- 苗のまわりの土を株元に寄せて押さえる。
- 水やりをする。
植えつけ後、乾燥が激しいときは、株間に水やりをします。
害虫対策
玉レタスは害虫は少ないですが、オオタバコガなどが発生することがあります。
生育初期に食害されると著しく生育が悪くなるので、防虫ネットでトンネルすると安心です。
追肥
植えつけから2~3週間したら、株のまわりに化成肥料をばらまきます。
収穫
葉がじゅうぶんに結球して、頭を手で押さえてみてかたく締まっていたら収穫できます。
外葉を数枚残して、株を倒してから株元を包丁などで切って収穫します。
病害虫
キク科の玉レタスは、アブラナ科の野菜に比べて害虫は比較的少ないですが、アブラムシ、葉を食べるオオタバコガの幼虫やヨトウムシなどが発生することがあります。
植えつけ後にすぐに防虫ネットでトンネルしておけば、被害はそれほど心配ありません。
病気では、腐敗病、軟腐病、すそ枯病、べと病、灰色かび病、菌核病、斑点細菌病などが発生することがあります。
連作障害を避けるため、キク科以外の作物と輪作します。
窒素過多にすると病気が発生しやすくなるので、肥料のやりすぎに注意します。
また、梅雨などの長雨によって高温多湿になると病気が発生しやすくなるので、畝を高めに立てて水はけをよくし、マルチをすると、乾燥を防ぎ、病気を予防できます。
チップバーンとは
葉の先端や周縁部が、焼けたり焦げたりしたようになる症状で、「縁腐れ床」よも呼ばれます。
原因はカルシウム欠乏によるもので、カルシウムの吸収が抑制されたり、カルシウムを吸収しても多く必要とする葉の先端までじゅうぶんに運ばれなかったりすると発生します。
根が弱っていたり、過度に乾燥していたり、逆に過湿になっていてもチップバーンが発生しやすくなります。
結球しない
種まき後の高温は、トウ立ちして結球しない原因になります。
また、秋に種まきが遅れると、十分に外葉ができないうちに低温にあたり、結球できなくなります。
かならず適期に種まきを行い、高温期には敷きわらなどをして地温を下げ、低温期には防寒のために寒冷紗などでトンネルするとよいでしょう。
初心者は結球しないレタスを育てよう
レタスは、半結球のレタスや結球しないリーフレタスの方が簡単に栽培できます。
玉レタスと違って結球しないので、必要な分だけをかき取って収穫することができ、長く収穫を楽しめます。
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玉レタスをおいしく保存する方法
食べきれなかった玉レタスは、水分が蒸発しないようにラップで包んでから冷蔵庫の野菜室へ入れて保存します。
そのとき、はじめにはがした外葉で包んでからラップで包むとよいです。
時間をおくと苦みが出てくるので、早めに使いきりましょう。
玉レタスのひと手間
生で食べることが多い玉レタスですが、扱い方によって驚くほど味わいが変わります。
玉レタスは芯から傷んでくるので、芯を親指でぐいっと押し込み、穴をあけて芯を取り出します。
穴の部分に両手の親指を入れ、左右に開いて水を注いで中を洗います。
レタスは「金気を嫌う」といって、金属に弱く、包丁で切ると茶色く変色しやすいので、手でちぎります。
手でちぎることで断面が適度に粗くなり、ドレッシングがからみやすくなります。
ただし、ねじると細胞がつぶれてしまうので、ちぎるときにねじらないように気をつけましょう。
水分をよくふかないと、シャキッとした食感がなくなり、ドレッシングとのなじみも悪くなるので、水けをしっかり取り除きます。
加熱しても美味しい
シャキシャキとした食感が魅力で、サラダで食べることが多い玉レタスですが、強火で手早く加熱するとシャキシャキとした歯応えが残り、おいしく食べられます。
鍋物やスープ、チャーハンの具など炒め物にしてもおいしく、玉レタスは栄養の含量が少ないので、加熱することでしんなりしてたくさん食べられます。
ただし、加熱しすぎると食感がまったくなくなってしまうので、サッと火を通すようにしましょう。
玉レタスのリラックス効果
「レタスを食べると眠くなる」といわれますが、茎を切ったときに出る白い乳状の液体には、鎮静、催眠の効果があるといわれています。
また、カルシウムがイライラを鎮めてくれるので、油で炒めることで吸収率が高まります。