野菜の種を畑にまいて育てるよりも、苗を作って畑に植えつけた方が、畑を効率よく利用できます。
しかも、自分で苗を作った方が経済的な場合が多く、なによりも収穫の時の喜びはひとしおです。
しかし、いきなり苗作りを始めると失敗しやすいです。
とくに初心者はまずは苗を購入するところからスタートされたほうがいいでしょう。
野菜によっては高度な知識や技術を必要とします。
苗作りの基礎知識を理解した上で、わりあい簡単にできる野菜から始めてください。
苗作りに適さない野菜
大根や人参などの根野菜の太くまっすぐ伸びる根を直根といって、根に傷を付けてしまうと生育が悪くなります。
したがって、直根は植え替えを非常に嫌うので、苗作りには適しません。
また、ホウレンソウや小松菜などの葉野菜も苗にできますが、葉野菜は生育期間が短いため、畑に直まきした方が早く収穫できます。
苗を購入した方が経済的な野菜
種から育てた苗を自根苗と呼び、下部に他の品種や別の植物を接いだ苗を接ぎ木苗といって、一般的に100円程度で売られている苗は自根苗の方です。
接ぎ木苗は下部が台木(下部にする植物)であることから、連作障害をやわらげる効果や、病害虫に強くなるなどの効果があります。
作るのに手間がかかることや、他の植物を育てて台木にしていることから、値段が自根苗と比べて2倍~3倍になります。
ナス、トマト、ピーマンなどのナス科の野菜や、キュウリ、スイカ、カボチャなどのウリ科の野菜などは、自根苗だと連作障害や病気の心配があります。
これらの実野菜は接ぎ木苗をおすすめします。
しかし、接ぎ木苗を作るには、台木となる植物の種や、加温するなどの設備が必要になり、自根苗を作る以上に費用がかかります。
しかも、接ぎ木苗が必要となるのは主に実野菜であって、育てる本数は少なくなります。
費用をかけて接ぎ木を作るよりも、購入したほうが経済的です。
同様に、育てるのが数本と少ない場合や、苗作りの初期に加温を必要とする野菜とあれば、苗を購入したほうが経済的です。
苗作りがわりあい簡単な野菜
- レタス類
- 水菜
- 春菊
- 小松菜
- ホウレンソウ
- キャベツ
- 白菜
- オクラ
- トウモロコシ
- 落花生
- ニンニク
- 豆類
※一例です。
豆類は発芽当初に地中深くへと根を伸ばすことから畑に直まきするのが一般的ですが、小苗のうちに植える分には問題ありません。
ネギやタマネギもわりあい簡単に苗を作れます。
しかし、種まきから植え付けまでの期間が長いため、肥料切れなどに注意しながら育てる必要があります。
セル苗とポット苗
野菜の苗にはセル苗とポット苗があります。
セル苗は、セルと呼ばれる小さな穴がたくさん並んだセルトレイ(容器)で育てた苗です。
ポット苗は、ポリポットで育てた苗のことをいいます。
また、セルトレイや育苗箱などで小苗を育て、ポットに植え替えて(鉢上げ)する方法もあります。
(セル苗)
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セル苗の作り方
(ポット苗)
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ポット苗の作り方
それぞれセルトレイとポットには特徴があり、いい面も悪い面もあります。
どういった苗に仕上げたいのかを良く考え、それに合った育て方を選ぶ必要があります。
用意するもの
[土]
市販の培養土を使用します。
[ポットorトレイ]
9~12cmポットや、トレイを使用します。
[温度計]
地温を確認するため温度計を使用します。
種のまき方
ポットの8分目まで土を入れます。
ポットの土の上に均等に種を置き、種が隠れる程度に土をかけます。
水をやります。
育苗中の管理
間引きが必要な場合は間引きを行います。
乾かないように毎日たっぷり水やりをします。
定植の目安
ナス、トマト、ピーマンなどは、一番花が咲いたころが定植時期です。
タマネギは茎の太さが5~6mm、草丈が20~30cmになったころが定植時期です。
ズッキーニ、キュウリ、カボチャなどは、本葉が4~5枚出てきたら定植時期です。
キャベツ、ブロッコリー、レタスなども、本葉が4~5枚出てきたら定植時期です。