カブは紀元前には栽培されていたといわれ、原産地は地中海沿岸の南ヨーロッパかアジアのアフガニスタンではないかといわれています。
日本では最も古い野菜のひとつに数えられ、関ケ原付近を境に西日本の東洋型と東日本の西洋型に分布がはっきり分かれます。
地方ならではの品種が多いのが特徴で、地方の食習慣と結びついた古くからの定着品種が多くあり、その数は80品種以上にのぼります。
カブは根と葉で異なる栄養を持ち、根の部分にはデンプンの消化を助けるアミラーゼを多く含み、葉にはカロテン、ビタミンC、カルシウムなどを多く含みます。
大カブは、根径15~30cm、根の重さは1~5kgにもなり、「聖護院大丸蕪」や「京千舞」などの品種が千枚漬けに使われます。
条(すじ)まきして間引きながら大カブへと育てることもできますが、ここでは、点まきによる大カブの育て方を解説します。
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目次
大カブの育て方
大カブは、直根(ちょっこん)で植え替えができないので、畑に直まきし、株が小さいうちは害虫に食害されないように注意します。
種まきが遅いと根が十分に肥大しないので、種まき時期をしっかり守ることがポイントです。
生育期間が長く、生育後半に根が急激に肥大するので、肥料を切らさないように追肥して、しっかり効かせましょう。
概要
生育温度 | 15~20℃。冷涼な気候を好む。 | ||||
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土壌酸度 | 5.5~7.0。 | ||||
連作障害 | あり。1年以上あける。 | ||||
育てやすい品種 | 京千舞、聖護院大丸蕪、早生大蕪など。 | ||||
元肥 | 苦土石灰と元肥を入れる。 | ||||
種まき時期 | 9月中旬。 | ||||
種まき方法 |
畝幅:90cm。 マルチ:しなくてもいいが、した方が管理が楽に行える。 株間:2列、間隔は20cm~25cm。 種まき:一か所に3~5粒の種をまく。 |
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栽培中の管理 |
害虫対策:種まき後に防虫ネットや寒冷紗でトンネルをする。 間引き:本葉が5~6枚になるまでに1本にする。 追肥:間引き毎に施す。 |
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収穫 | 根の直径が15~20cmになったら順次収穫する。 | ||||
病害虫 |
害虫:アブラムシ、コナガ、ヨトウムシなど。 病気:萎黄病、根こぶ病、べと病、黒腐病、軟腐病など。 |
ポイント
- 種まき時期を必ず守る。
- 防虫ネットでトンネルして害虫対策を防除する。
- 間引きを早めに行う。
- 追肥をしっかり施す。
- やや早めに収穫する。
栽培時期
※大カブの栽培時期です。小カブの栽培時期は異なります。
※品種や地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。
種まきが遅れると根が十分に肥大しないので、種まき時期をしっかり守りましょう。
育てやすい品種
京千舞、聖護院大丸蕪、早生大蕪など。
畑の準備
カブは連作障害が出やすいので、カブを含むアブラナ科の野菜を1年以上は育てていない場所を選びます。
種まきの2週間前までに、苦土石灰をまいてよく耕し、1週間前に、堆肥と化成肥料を施してよく耕し、畝を立てて黒マルチを張ります。
黒マルチは、雑草の抑制や、地温を上げる効果に期待できます。
種まき
9月中旬に種をまきます。
種まきが遅れると根が十分に肥大しないので、必ず種まき時期を守ります。
2条(列)で、株間を20~25cmに種を3~5粒ずつまき、薄く(1cmほど)土を被せ、水をたっぷりやります。
たくさん種をまくのに便利な道具
穴ありマルチにカブの種をたくさんまくとき、スキップシーダーのPS-3があると便利です。
穴あきマルチをして点まきをするには、時間と手間がかかります。
PS-3を使えば、立ったまま楽にたくさんの種をまくことができます。
⇒ 種まきにマルチ播種機の「スキップシーダー PS-3」が便利
害虫対策
大カブは病害虫の発生の少ない作物ですが、アブラナ科でコナガなどのイモムシが発生することがあります。
生育初期に葉を食害されると生育が著しく悪くなるので、防虫ネットでトンネルした方が安心です。
発芽するとすぐに葉に卵を産み付けられるので、種まきを終えたらすぐに防虫ネットでトンネルし、ネットの裾は埋めて隙間をなくします。
間引き・追肥
込み合ってきたところは間引きを行い、本葉5~6枚になるまでに1本にします。
大カブは多肥を好むので、間引きの後に化成肥料を条間か株のまわりに施します。
条間に追肥する場合は、マルチを破って施します。
収穫
大カブの収穫の目安は、日数では種まきから60~100日で、根の直径が15~20cmになったものから順次収穫します。
育ちすぎると、スが入ったり、根割れを起こすので、取り遅れないように注意します。
やや早めに収穫した方が美味しく食べられます。
病害虫
コナガなどのアオムシやダイコンサルハムシ、カブラハバチのイモムシがつくと葉が食害されるので、防虫ネットでトンネルして防除し、それでも発生する場合は、見つけしだい取り除きます。
また、間引きしないで風通しが悪くなると、白さび病やべと病が出やすいので注意します。
このほかにも、根こぶ病やモザイク病、軟腐病などが発生するので、連作を避け、抵抗性の品種を使用しましょう。