保温栽培で冬に野菜を作る

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冬になると、畑には空いたスペースがめだちます。

厳寒期に栽培できる野菜は少なく、畑を休ませるのが家庭菜園では一般的ですが、不織布やビニールなどの保温効果のある資材を使って保温栽培することで、厳寒期でも野菜を育てることができます。

保温栽培は上級者向けですが、適した品種を使用し、しっかり保温すれば、それほど難しいことではありません。

ぜひ、冬のあいたスペースを利用して挑戦してみてください。

保温栽培のポイント

  • 被膜資材には多くの種類があるので、野菜を育てたい時期、育てたい野菜に合わせて選ぶ
  • ビニールは穴の数が少なく、厚みがあるほど保温性が高い
  • 穴なしビニールや穴の少ないビニールを使う場合、高温高湿時は換気作業が必要
  • 雪の多い地域では、雪の重さでトンネルがつぶされてしまう

どんな野菜でも保温すれば作れる?

いくら保温しているからといって、どんな野菜でも作れるわけではありません。

作れるのは、寒さに強い秋冬野菜です。

ホウレンソウ、小松菜、チンゲンサイ、水菜、シュンギク、大根、小カブ、ラディッシュなどが作れます。

保温資材の種類

保温栽培に使用する資材は、トンネル用の支柱、地温を高めるためのマルチフィルム、畝に被せる不織布、トンネルに被せるビニールや寒冷紗などがあります。

資材にはそれぞれ特徴や使い方がありますので、よく理解してから使いましょう。

[マルチフィルム]
畝をポリエチレンフィルムなどで覆うことをマルチといいます。
マルチには、土の温度調整、乾燥防止、雑草の抑制などの効果があります。
用途や目的に合わせて色や穴の有無を選びます。
保温栽培では、地温上昇効果の高い黒色や透明のマルチフィルムを使用します。
知っておきたいマルチの種類と効果

[トンネル支柱]
トンネルの骨組みに使用します。
トンネルの形状をしたものや、ダンポールといって曲げて使用するものがあります。

[ビニール]
トンネル用のフィルムのことをビニールと呼びます。
換気穴のあいたものや穴のないものがあります。
さまざまな換気穴の大きさや穴の数があります。

[寒冷紗]
ビニールほどの保温力はありませんが、通気性も保ちながら保温力もあります。
寒冷紗でトンネルすることで霜よけや寒風よけになります。

[不織布]
寒冷紗よりも保温力があり、通気性もあるので蒸れる心配がありません。
トンネルにも使用できますが、畝にべたがけして使用します。
野菜が育っても大丈夫なように余裕を持たせて被せ、裾はところどころ土をかぶせて風で剥がれないようにします。

[Uピン]
ビニールや寒冷紗など被膜資材の端を留めるのに使用します。

保温資材による保温力

被膜資材は種類によって保温性が異なります。

野菜によって被膜資材を変えたり、時期によってトンネルとべたがけの組み合わせを変えるなどします。

[マルチ+不織布のべたがけ]
もっとも簡単な方法ですが、高い保温力があり、霜や寒風から野菜をしっかり守れます。
寒さに強い野菜や、少し寒さに強い時期にはべたがけだけでじゅうぶんです。

[マルチ+穴なしビニールトンネル]
高い保温力がありますが、日中の気温が高いときはビニールの裾を開けて換気する必要があります。

[マルチ+穴ありビニールトンネル]
手軽にできる一般的な保温方法です。
晴れた日の日中はトンネル内の温度が高くなります。

[マルチ+不織布のべたがけ+穴ありビニールトンネル]
晴れた日の日中はトンネル内の温度がかなり高くなり、地温も上がります。
厳寒期に野菜を育てるさいにこの方法にします。

冬に育てるための品種選び

せっかく冬に野菜を育てることができても、暖かくなるとトウ立ちしてしまいます。

保温していても冬に野菜を育てるには時間がかかるため、トウ立ちの遅い品種を選ぶようにします。

保温栽培のやり方

Step1:畑の準備

種まきの2週間前までに、野菜を育てる場所に苦土石灰をまいて、深さ30cmくらいまでよく耕します。

種まきの1週間前に、堆肥と化成肥料をまいてよく耕し、畝を立てます。

Step2:マルチを張る

畝を立てたらすぐにマルチを張り、種まきの前までに地温を高めておきます。

マルチフィルムは、地温上昇効果の高い黒マルチを使用します。

Step3:種をまく

気温の低い時期は発芽しにくいので、種を多めにまきます。

Step4:不織布でべたがけする

畝を覆うように不織布を被せ、ところどころ裾に土を乗せます。

野菜が発芽しても大丈夫なように余裕を持たせて被せます。

Step5:ビニールでトンネルする

畝より少し外側に、トンネル支柱を深さ20~30cmくらいの深さで土にさし、アーチを作ります。

同じ要領で、60~80cm間隔で支柱をさしていきます。

立てたトンネル支柱全体を、ビニールフィルムで覆います。

ビニールフィルムの端をUピンに巻きつけてから地面に挿し、足でしっかりと踏んで固定します。

さらに、被膜資材の上から支柱を渡して、風などでビニールが飛ばないようにします。

Step6:間引きを行う

混み合ってきたら、間引きを兼ねて収穫を行います。

Step7:べたがけを外す

間引き後、不織布のべたがけを外します。

Step8:管理

気温が上がってくると、換気穴があいていてもトンネル内は蒸れ、葉が黄色くなるなどの高温障害が発生しやすくなります。

トンネル内に温度計を設置し、温度が高いときは裾を少し開けて換気します。

保温栽培に適した野菜

ホウレンソウ、小松菜、チンゲンサイ、水菜、シュンギク、大根、小カブ、ラディッシュなど。

[ホウレンソウ]
トウ立ちのしにくい品種を選びます。
ホウレンソウは寒さに強いので、黒マルチ+不織布のべたがけで育てます。

[小松菜]
トウ立ちしにくい品種を選びます。
黒マルチ+不織布のべたがけ+ビニールトンネルで育てます。
間引きが終わったらべたがけを外します。

[チンゲンサイ]
トウ立ちの遅い品種を選びます。
黒マルチ+不織布のべたがけ+ビニールトンネルで育てます。
間引きが終わったらべたがけを外します。

[水菜]
トウ立ちの遅い品種を選びます。
黒マルチ+不織布のべたがけ+ビニールトンネルで育てます。
間引き収穫がはじまったらべたがけを外します。

[シュンギク]
春まき用の品種を選びます。
黒マルチ+不織布のべたがけ+ビニールトンネルで育てます。
収穫がはじまったらべたがけを外します。

[大根]
かならず寒さに強くトウ立ちも遅い品種を選びます。
黒マルチ+不織布のべたがけ+ビニールトンネルで育てます。
間引きが終わったらべたがけを外します。

[小カブ]
黒マルチ+不織布のべたがけ+ビニールトンネルで育てます。
間引きが終わったらべたがけを外します。

[ラディッシュ]
ラディッシュは寒さに強いので、黒マルチ+不織布のべたがけで育てます。

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