家庭菜園に発生する害虫の予防と対策

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害虫

おいしい野菜は虫たちも大好きで、家庭菜園をしているとたくさんの虫が発生して悩まされます。

でも、せっかく自分で育てているのだから、できれば農薬は使いたくないものです。

それぞれ好む野菜や発生時期、食害する部分などが決まっているので、習性を知れば適切な防除を行うことができます。

防虫ネットを使用すれば、害虫の発生を抑えることができます。

雑草は害虫の発生源や住処となりやすいので、畑の周辺を衛生的に保つことも大切です。

こまめにチェックし、茎が齧られる、葉に穴があく、フンがあるなど、ちょっとした害虫のサインがあらわれたら、早めに対処しましょう。

野菜につく代表的な害虫

おもな害虫とその予防及び発生時の対策を挙げます。

[アオムシ]
細かい毛がうっすらと生えた緑色の小さなイモムシで、モンシロチョウの幼虫です。
葉の上を移動しながら食害します。
たくさん発生すると葉脈を残して葉を全部食べ尽くしてしまうことがあります。
おもにキャベツなどアブラナ科の野菜に発生します。
葉が食害されているのを見つけたら葉の裏をよく見て、幼虫がいたら捕殺します。
寒冷紗や不織布などの防虫ネットで被覆して成虫の侵入や産卵を防ぎます。

[コナガ]
ガの仲間で、体長10mmほどで、体色は緑色の小さなイモムシです。
キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の野菜全般につきます。
葉の裏から表皮を残して食害します。
関東地方では春と秋に多く発生しますが、ほぼ1年中活動しています。

[アブラムシ]
アブラムシ
種類が多く、たくさんの植物が被害を受けます。
体長は2~4mmで、若い葉や茎、枝、新芽、花弁に群棲して吸汁し、成長を阻害します。
薄緑色か暗褐色のものが多く、粘液状の排泄物を葉や茎、枝に付着させます。
これが野菜につくと光ってべたつき、葉は薄黒く汚れます。
糸状菌(カビの一種)が発生し、スス病が誘発されます。
また、モザイク病を媒介し、様々なウィルス病や細菌病の伝染源ともなります。
アブラムシはキラキラした反射光を嫌うため、株元にアルミ箔を敷いたり、アルミを蒸着したテープをぶら下げておくと飛来を減らせます。
また、黄色の粘着テープを下げておくと、飛来したアブラムシを捕殺することができます。
寒冷紗などの防虫ネットによる被覆でも予防できます。
ナナホシテントウなどの天敵による駆除も効果があります。

[カイガラムシ]
貝殻のような殻をかぶっているのが普通ですが、コナカイガラムシは体の表面に粉をまぶしたようになっています。
孵化したての幼虫には脚があり、植物の上を移動しますが、成長するにつれて脚は退化し、幹や枝に固着して生活するようになります。
ただ、コナカイガラムシは成長したのちも自由に動き回ります。
植物に寄生して吸汁し、生育を阻害し、ひどい場合には枯死させます。
カイガラムシの排泄物がスス病を誘発することも多くあります。
コナカイガラムシ以外は、幹や枝に付いた体を歯ブラシのようなものでこすり落とすのが有効です。
卵から孵化したばかりの幼虫はオルトラン水和剤などで駆除できます。
風通しが悪くなると発生することが多いので、密生した枝葉は適宜剪定するようにします。

[カメムシ]
カメムシ
驚くと臭腺から臭い油状の分泌物を出すので不快害虫として知られています。
しかし、果樹の果実や新芽、茎葉に口を刺して吸汁し、果実を変形、落果させます。
熟した果実では吸汁部分が腐敗し、異臭を放ちます。
こまめに観察し、幼虫や成虫を見つけたら補殺します。
果樹では木をゆすったり、幹をたたいたりして落下してくるところを捕まえて踏みつぶします。

[コナジラミ]
小さな白い害虫で、葉に寄生して吸汁し、生育を阻害します。
スス病やウィルス病を媒介します。
成虫は体長2~3mmで、セミを小さくしたような姿で、白色をしています。
加害植物の葉の裏に群生し、葉を揺らすと、白い粉が飛び散ります。
近年、オンシツコナジラミやシルバーリーフコナジラミといった海外から侵入したコナジラミ類が全国的に発生しています。
シルバーリーフコナジラミは寒さに弱く、トマトなどの果実の着色異常を引き起こします。

オンシツコナジラミ:キュウリ、カボチャ、トマト、ナスなど
シルバーリーフコナジラミ:カボチャ、キュウリ、トマト、メロンなど
ブドウコナジラミ:ブドウ
ミカンコナジラミ:かんきつ類、カキなど

発生の初期であれば殺虫剤の散布で防除できます。
株元にオルトラン粒剤を散布すると、成虫の発生を抑えることができます。
オンシツコナジラミは黄色の粘着テープを下げておくと捕殺することができます。
雑草をこまめに除草することで効果的な予防になります。

[スズメガ]
スズメガ
幼虫は大きなイモムシで、体表には模様があり、尾部に角のような突起を持っています。
大型で食欲が旺盛なため、少数でも被害は大きく、葉がすべて食べ尽くされてしまうこともあります。
粒状の糞があるので気がつきます。
幼虫は大型で見つけやすいので、薬剤で防除するより補殺するほうがよいでしょう。
葉裏を調べて卵を見つけたら葉ごと取り除きます。

[ゾウムシ]
カブトムシの仲間で、頭部がゾウの鼻のように突出しているのでこの名があります。
植物の若い葉、茎などを食害します。
ニンジン、ダイコン、ホウレンソウ、ナス、キュウリなどに寄生します。
薬剤による防除は、成虫発生の初期にオルトラン液剤、オルトラン水和剤などを3日おきに2~3回散布して駆除します。
成虫は飛来するため駆除が難しく、見つけ次第補殺するのがよいでしょう。

[センチュウ]
土の中に住む体長1mm以下の白い小さな生き物で、ミミズのような形をしています。
どこの土にも普通にいますが、小さいため、肉眼では見えません。
ネコブセンチュウやネグサレセンチュウは植物の根に寄生し、ハガレセンチュウは葉に寄生します。
ネコブセンチュウは根の細胞を肥大させて養分を吸収するため、被害を受けた根にはコブができて、植物の生育を阻害します。
野菜の収量が減ったり、全く収穫できなかったりします。
また、短期の日照りでしおれたり、下葉から枯れ上がったりします。ネグサレセンチュウは根の寄生した部分を腐敗させ、地上部も枯死させてしまいます。
ハガレセンチュウは葉を枯らします。
家庭園芸では発生の予防に力を入れます。
マリーゴールドを栽培することで、キタネグサレセンチュウの発生を抑えることができます。
また、十分腐敗した牛糞堆肥でも、堆肥中の微生物がセンチュウ類の発生を抑えます。
土が少ない場合には、太陽熱で土を乾かし土壌消毒をすると、被害を減らすことができます。

[テントウムシダマシ]
テントウムシダマシ
ナナホシテントウがアブラムシを捕食する益虫なのに対し、背中の黒い斑点が28個あるニジュウヤホシテントウは害虫です。
成虫も幼虫も植物を食害します。
ナス、ジャガイモ、トマト、キュウリ、エンドウ、ピーマンを食害します。
成虫や幼虫は見つけ次第補殺します。
葉の裏に産み付けられた卵は、葉ごと取り処分します。

[ナメクジ]
日中は植木鉢やプランターの下に隠れていて、夜になると這い出し、やわらかい葉や花弁、果実を食害します。
這いまわった跡が粘液が白く光った筋として残るため、すぐに分かります。
ダイコン、ハクサイ、キャベツ、コマツナ、ナス、イチゴを食害します。
多発する場合は、ナメクジ用の誘引殺虫剤をまいて補殺します。
ビールは誘引効果はありますが、殺虫効果はありません。
銅イオンを忌避する傾向があるため、銅線や銅の網を使うと被害を減らすことができます。

[ネキリムシ]
ネキリムシ
体長3~4cmの蛾の幼虫で、土の浅い所に潜んで夜に活動し、野菜の苗や草花を地際で噛み切って枯らします。
エンドウ、キャベツ、キュウリ、ジャガイモ、ダイコン、トマト、ナス、ネギ、ニンジン、ハクサイ、ピーマン、ホウレンソウ、レタスなどの根が被害を受けます。
被害を受けた株の周囲を掘って見つけたら補殺します。
ペットボトルの上下を切って筒状にしたもので苗の周囲を囲うと被害を減らすことができます。

[シンクイムシ]
ハイマダラノメイガなどの幼虫で、幼苗の中心付近の葉を好んで食害します。
大根にこの幼虫がつきやすく、ダイコンシンクイムシとも呼ばれます。
幼虫は細長く、体長は1.5cmほどで、淡い黄色をしています。

[キアゲハ]
キアゲハの幼虫で、人参やミツバなどセリ科の植物だけにつきます。
新芽を食害することはあまりなく、枯れることはありませんが、葉が食害されて軸だけになってしまいます。
若い幼虫は鳥のフンのような模様をしていて、ある程度成長すると緑と黒の鮮やかな縞模様になります。

[ワタノメイガ]
ハマキムシとも呼ばれ、葉の端をぐるりと巻いて、その中に潜んでいて、周辺の葉や芽、蕾を食害します。
オクラの被害が大きく、多発すると株が枯れることもあります。
巻いた葉を見つけ次第、葉の上から指でつぶします。

[ハダニ]
植物に寄生するダニの仲間です。
成虫は0.3~0.5mm、幼虫はさらに小さく、肉眼では見えないので、ルーペを使って見つけます。
葉に口針を刺して吸汁すると、跡が白色や褐色の斑点となります。
被害が拡大すると、葉全体が白っぽく退色し、草花や野菜では落葉したり枯れたりします。
葉を裏返してみると、赤いハダニや緑色のハダニがいることがあります。
殺ダニ剤を10日おきに2~3回散布します。
でんぷんを利用した薬剤を使っても駆除できます。
水に弱いため、ホースで強く葉水をかけるようにすると、被害を減らすことができます。
丈夫な野菜を育てるためには、肥料ぎれを起こさないように、適切な肥培管理をすることが重要です。

[バッタ]
バッタ
家庭園芸に被害が大きいのは、オンブバッタによる食害で、植物の葉や茎、花、つぼみなどを葉の裏から食害します。
キャベツ、ダイコン、ハクサイ、オクラ、ブロッコリー、シソ、ナス、バジル、ミントなどを食害します。
見つけ次第補殺すれば、薬剤を使わなくても駆除できます。
周囲の雑草を刈り取って生育場所をなくせば、侵入を減らすことができます。

[ホコリダニ]
体長0.2~0.3mmととても小さく、肉眼では確認できません。
新芽や新葉などについて吸汁し、委縮させたり奇形を発生させたりします。
ナス、トマト、ピーマン、キュウリ、メロン、スイカ、イチゴ、インゲン、ダイズ、かんきつ類、ナシ、モモ、イチジクなどに寄生します。
繁殖力が旺盛なため、一気に被害が増大します。
殺ダニ剤を1週間おきに数回、葉裏に散布します。

[ヨトウムシ]
ヨトウガの幼虫で、昼間は土の中に隠れていて、夜になると出てきて野菜や草花を食害します。
成虫は葉裏に数百個の卵を産みつけます。
孵化した幼虫は卵のあった付近の葉を食い始めます。
家庭菜園などで育てているキャベツやハクサイが一晩のうちに食い荒らされて、葉脈だけになってしまうことがあります。
夜に懐中電灯で葉を調べて葉の上にいる幼虫を見つけたら、葉を摘み取って処分します。
葉の裏に卵があるのを見つけたら、同じように葉ごと処分します。
天敵を減らさないように、農薬はできるだけ使用を控えますが、幼虫が小さいうちなら、オルトラン液剤かオルトラン水和剤を散布します。
寒冷紗などの防虫ネットで被覆すると、成虫の蛾の侵入や産卵が防止できます。

[ウリハムシ]
ウリハムシ
8mmほどの橙色の甲虫です。
キュウリやカボチャなどのウリ科の野菜につき、成虫は葉を食害し、幼虫は根を食害ししおれ症状がひどくなり枯死します。
見つけたら手で捕殺し、多発したら薬剤などを散布します。

防虫ネットで予防しよう

防虫ネット

キャベツや白菜、小松菜などの葉もの野菜で被害が多いのが、モンシロチョウの幼虫やヨトウムシなどによる葉の食害です。

これを防ぐには、防虫ネットでトンネルして、チョウが卵を産みつけられないようにするのが効果的です。

アブラムシやアザミウマなどの小さな吸汁害虫による被害も軽減できます。

種まきをしたり、苗の植えつけをした後は、すぐに防虫ネットでトンネルします。

苗を植えてから1日でも間をおくと、その間に卵を産みつけられてしまうこともあります。

また、隙間があると害虫が侵入するので、隙間ができないように注意します。

益虫を利用しよう

テントウムシ

野菜につく虫がすべて野菜を食害する害虫というわけではありません。

虫には害虫を食べてくれる益虫もいます。

テントウムシはアブラムシを食べてくれて、カマキリやクモも害虫を食べてくれます。

育てている野菜に発生しやすい害虫を知り、害虫以外の虫は見つけても駆除しないようにしましょう。

こまめに観察しよう

防虫ネットでトンネルしたからといって、安心してはいけません。

被害はあっというまに進行するので、葉の裏や見えにくい部分まで観察して、見つけしだいすぐにとりのぞきます。

とくに虫のつきやすいアブラナ科の野菜には気をつけましょう。

ヨトウムシやナメクジは夜行性なので、夜に観察することで対処できます。

ちょっとしたことが害虫のサインとしてあらわれるので、よく観察して、早期発見と対策に心がけましょう。

農薬を使った害虫の駆除

農薬

農薬にもいろいろあり、デンプンなどの食品成分や、天然成分が使われているものなど、安全性の高いものもあります。

また、発生初期に散布して被害の拡大を抑えることで使用量を減らすこともでき、株が小さいうちや発生初期だけ農薬を使用する減農薬も効果的です。

農薬の使用は、農薬取締法という法律に定められていて、野菜ごとの病気や薬剤が決められています。

購入時は必ずパッケージの裏面の野菜と適用のある害虫を確認してください。

使用のさいは、からなず薬剤の説明書を読んで、希釈倍数や使用時期、回数を守りましょう。

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