仕切られた小さい穴の並んだ容器をセルトレイといって、そのトレイで育てた苗のことをセル苗(セル成型苗)と呼びます。
セルトレイの穴の数には72(穴が大きい)、128、200、288、400(穴が小さい)があり、育てる野菜によって使い分けます。
例えば、キャベツや白菜のような大きく育てる苗には128穴、ネギのような小さな苗では288穴が適しています。
ポットと比べて、セルトレイは少ないスペースで苗を作ることができ、用土が少なくてすむなど、コスト面での大きいメリットがあります。
ただし、用土が少ないために水切れや肥料切れを起こしやすく、スペースが狭いために根詰まりして老化が早まるなどのデメリットもあります。
小苗(若い苗)を作るのであればセルトレイが向いています。
しかし、大きくする苗や、双葉の大きいウリ科などの野菜には向いていません。
セルトレイの狭いスペースでも育てられる野菜であるかなど、野菜の生育の特性をよく確認してから苗作りを始めてください。
セルトレイの長所
- 狭いスペースでもたくさんの苗を作ることができる。
- 1苗あたりの用土が少ない。
- 小苗での定植となるため、育苗期間が短い。※生育が早くなるわけではありません。
- 苗同士の根が絡むことがない。
セルトレイの短所
- 根詰まりしやすい。
- 根詰まりなどによって老化が早いため、苗で置いておける日数が短い。
- 用土が少ないため、土が乾きやすくて水切れしやすい。
- 暑さや寒さなどの環境の変化に弱い。
Step1:用土を用意する
セル苗の用土を自分で作ることもできますが、フワフワしていて保水性が高く、土粒の小さい用土が適していますので、セル苗専用の用土を購入されることをおすすめします。
おすすめの用土は、JAで購入できる「セルまき2号」です。
セルトレイに対応した専用の種まき専用の培土で、1週間~2週間分の肥料が配合された短期生育用の用土です。
Step2:セルトレイに用土を入れる
シートなどを敷いてセルトレイを置いて用土を多目に入れ、土を手でならして平らにし、セルトレイを地面にトントンと軽く打ち付けて土を落ちつかせます。
こぼれた土をセルトレイに盛り、板やコテなどを使って平らにならします。
Step3:種をまく
種を用土の上に並べてから指で押し込むか、または指で用土に窪みを付けてから種を置きます。
全体の表面を手のひらでなでならし、種を隠します。
静かに水をたっぷりかけ、苗床に移動します。
苗床がなければ、春の気温の低い時期は暖かい場所、夏の気温の高い時期は涼しい場所に置きます。
新聞紙を発芽するまで被せておくと、土の乾燥を防ぐことができます。
種まき後の管理
雨の直接当たらない軒下や、苗床にポットを置いて育苗します。
苗であっても害虫に食害されます。
防虫ネットや寒冷紗を張って対策します。
気温の変化に弱く、土が乾きやすいなどの短所があることから、次の点に注意しながら育ててください。
- 春は気温の下がり過ぎに注意し、夏は気温の上がり過ぎに注意する。
- 水やりは静かに行う。
- 土が乾燥しすぎないように注意する。
セル苗の植え付け目安
畑への植え付け目安は、本葉が3~4枚になったころです。
野菜の種類や品種によって植え付け目安が異なることがあります。
適切な植え付け目安を確認してください。