里芋の育て方とコツ|良い種芋を用いる、しっかり土寄せ、夏場の水やり

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収穫した里芋

(子孫繁栄の象徴とされる里芋)

里芋は、東南アジアの熱帯が原産で、ハワイの伝統料理「ポイ(poi)」の材料となるタロイモの仲間です。日本へは縄文時代に中国から伝わったとされており、現代では芋と言えばジャガイモやサツマイモを指しますが、俳句で芋と言えば里芋を指すなど、歴史の古い作物なのです。

山で採れる芋を「山芋(自然薯)」と呼ぶのに対して、里で栽培される芋を「里芋」と呼んだのが由来だと言われています。また、里芋は小芋、孫芋、さらには曾孫芋と、親芋からたくさんの芋ができる(増える)ことから子孫繁栄の象徴とされています。現代でも正月料理や祝いの行事に里芋を縁起物として用いる風習があります。

熱帯が原産で高温多湿を好み、夏の暑さでもグングン生長していきます。やや栽培期間が長いですが、手間はあまりかからず、放任栽培にも向いています。家庭菜園で育てて上手に保存しておけば、必要なときに必要な分だけ利用できて便利です。

里芋の栄養

里芋の主成分はデンプンとたんぱく質で、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、カルシウム、食物繊維などを含みます。

皮を剥いた時の里芋独特なヌメリは、ガラクタンやムチンという成分によるものです。ガラクタンは、脳細胞を活性化させてボケを防止する効果や、免疫力を高め効果があると言われており、ムチンは、胃の粘膜を保護し、胃腸の調子を整えると言われています。

里芋の育て方の概要

里芋は熱帯が原産で、暑さや湿度を好む反面、寒さや乾燥に弱い作物です。乾燥にはとくに注意が必要で、子芋の生育時期に土壌が乾燥しすぎると、食味の悪い小さい芋になってしまいます。乾燥時期には潅水(水やり)を行う必要があります。

また、里芋は連作を嫌います。同じ場所で作り続けるとセンチュウなどの被害が出やすくなりますので、連作は避けます。

生育温度

発芽温度は15℃。生育適温は25~30℃。

おすすめの品種

石川早生(子芋用)、土垂れ(子芋用)、八ツ頭(親子兼用)、セレベス(親子兼用)など。

連作障害

あり。3年~4年(できれば5年以上)はあける。

元肥

元肥と苦土石灰を入れる。

植え付け日

4月中旬~下旬(十分に暖かくなってから)。

植え付け方法

畝幅:90cm。
黒マルチ:どちらでも良い。
株間:2列、40cm~50cm。
植え方:7~8cmの深さで芽を上向きに植える。

栽培中の管理

追肥:6月下旬頃に化成肥料で追肥。
土寄せ:5月下旬頃、6月下旬頃、梅雨明け頃。
除草:こまめに除草する。
敷き藁:梅雨明け頃。
潅水(水やり):乾燥時期。

収穫時期

早生種は9月中旬頃、ほかは10月下旬頃から。

病害虫

主な病気:乾腐病など。
主な害虫:アブラムシ、ハダニ、ハスモンヨトウなど。

里芋の育て方のポイント

  • 食用になる部分(親芋用、子芋用、親子兼用)が異なるため、目的に合った品種を選ぶ。
  • 丸くふっくらとした大きい種芋を用意する。
  • 3年~4年(できれば5年以上)は連作しない(センチュウなどの被害が出るため)。
  • 十分に暖かくなってから種芋を植え付ける。
  • 根が深くへと伸びるため、植え付け前にできるだけ深く耕す。
  • 定期的に土寄せを行う。
  • 除草した草や藁で株元を覆って、乾燥しないように注意する。
  • 乾燥時期は朝や夕方に潅水(水やり)を行う。
  • 収穫は霜が降りる前までに終わらせる(または保存する)。

里芋の種類

里芋はどの部位を食用にするかで、子芋専用種、親芋専用種、親子兼用種に分けられます。子芋を食用にする種類が人気で多く栽培されています。

最初にどの部分を食用にしたいかを決めて、それに合った品種を選ぶことが大切です。

里芋の品種

[小芋用]
石川早生、土垂れ(どだれ)など

[親芋用]
タケノコ芋など

[親子兼用]
八ツ頭、セレベス(赤目芋)、子宝、えび芋(唐の芋)など

茎(葉柄)も食べられる品種

里芋には緑色の茎と赤色の茎の品種があり、赤い茎はアク(えぐみ)が少なく、食用にできます。

[茎(葉柄)を食べられる品種]
八ツ頭、セレベス(赤目芋)、えび芋(唐の芋)など

里芋の育て方

栽培中の里芋

(栽培中の里芋)

里芋は高温多湿を好むことから、地温の上昇や保湿の効果がある黒マルチ栽培がおすすめですが、黒マルチをしなくても植え付け時期や土寄せなどのポイントをしっかり守れば、簡単に育てることができます。

ここでは、土寄せと潅水をしながら子芋を太らせていく、「黒マルチを使用しない」一般的な里芋の育て方を紹介します。

里芋の栽培時期

里芋の栽培時期

※品種や地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。

[収穫時期に関しての大事な注意点]

里芋は寒さに弱く、霜が降りて芋が低温にあたると腐ってしまいます。必ず霜が降りる前までに収穫するか、埋め戻して保存します。

種芋を用意する

里芋の良い種芋

種芋選びのポイントは、芽が欠けているものや傷のあるものは避け、ふっくらと膨らみがあり、大きくて形の良いものを選ぶことです。小さい種芋は、大きく育たない傾向にありますので、必ず大きい種芋を使用します。

[良い種芋]

  • 大きい(50~60g)
  • 腐敗や傷がない
  • 丸くてふっくらとしている(形が良い)

[悪い種芋]

  • 芽が欠けたり潰れたりしている
  • 芽が腐っている(病気)
  • 皮が浮いている(病気)
  • 切り口に赤いスジや斑点がある(病気)
  • 傷がある

畑の準備をする

里芋は連作を嫌います。同じ場所で続けて作るとセンチュウなどの被害が出ることがありますので、3年~4年(できれば5年以上)は里芋を育てていない場所を選びます。また、里芋は地中深くへと根が伸びていきますので、深めに耕します。

里芋の植え付け適期は、4月中旬~下旬です。植え付けの2週間前までに苦土石灰を入れて深く耕しておき、植え付けの1週間前に元肥を入れて深く耕し、畝を立てておきます。

畑の準備

種芋を植え付ける

あらかじめ準備しておいた畝に、90cm幅であれば2列、間隔を40~50cmとし、種芋の芽を上向きに7~8cmの深さに植えます。
※芽が露出していない場合、ヒゲを分けてみると芽が見えます。

[植え付けの手順]

  1. 2列、40~50cmの間隔とする。
  2. 種芋の芽を上向きに7~8cmの深さに植える。

里芋の種芋

里芋の種芋

植え付けた里芋の種芋

除草をする

マルチを張らない畝では雑草の生育が旺盛になるため、除草を怠らないように注意します。除草をすることで、害虫の発生の抑制にもなります。

除草した里芋の畝

追肥と土寄せをする

種芋を植え付けてから2~3週間で芽が出ます。発芽から3週間くらいしてから、追肥と土寄せを行っていきます。

土寄せをおこたると、子芋が地上に出て緑化し、形も悪くなるなど、品質を著しく落とします。土寄せは芋を太らせるための大事な作業になりますので、しっかり行いましょう。

[土寄せ]

1回目:5月下旬頃
2回目:6月下旬頃
3回目:梅雨明け頃

株のまわりの土を軽く耕し、株元に土寄せをして子芋の芽が隠れるようにします。

[追肥]

2回目の土寄せの時(6月下旬頃)、株元から少しはなれた場所に化成肥料を施します。

追肥と土寄せを施したところ

潅水(水やり)をする

里芋は高温多湿を好み、気温が高くなると盛んに生育します。しかし、乾燥には弱く、芋の肥大には十分な水を必要とし、土が乾くと芋の生育が悪くなります。

3回目の土寄せの時、除草した草や藁で株元を覆って乾燥を防ぎ、それでも土が乾くときは、7~10日くらいの間隔で、朝や夕方に畝の間に潅水(水やり)をします。

里芋は乾燥が最も苦手です。収穫に大きく影響しますので、乾燥しすぎないように注意しましょう。

収穫する

早生種であれば9月中旬頃、ほかは10月下旬頃から収穫できます。芋の保存の適温は7~10℃で、5℃以下になると腐敗してきます。霜が降りる前に、晴れの日を選んで収穫(または保存)します。

収穫方法は、茎を根元から切り取り、株の周りからクワ(鍬)や備中グワ(備中鍬)を入れて深く掘り起こし、芋を傷つけないように手で取りだします。土を落とし、親芋と子芋を分けます。※保存する場合は分けない。

収穫の時期を迎えた里芋

収穫した里芋

収穫した里芋の保存方法

保存する場合は、親芋から子芋、孫芋ははずさずに、泥つきのまま2~3日陰干しで乾かし、畑に埋め戻します。

または、掘り起こすのが大変でしたら、霜が降りる前までに株に土や藁を厚く被せます。後に掘りだす時のために、株の位置に棒などをさして目印にしておくと便利です。

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