家庭菜園に発生する病気の予防と対策

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病気

野菜の病気は、株が弱っていたり、風通しが悪くなると、急激に発生します。

病気に一度かかると、症状が確実に進行し、ひどい場合には枯れてしまうこともあります。

しっかりと土づくりを行い、日あたりや風通しなどを整え、除草や追肥などをしっかり行います。

さらに、こまめに野菜の状態をチェックして、異変を感じたら、薬剤を使用するなど、早めの対処で被害が広がるのを防ぎます。

適切な時期に種をまいて、丈夫で病気に負けない野菜を育てましょう。

野菜に発生する代表的な病気

おもな病気の種類と、かかった時の対処方法や予防の仕方を述べます。

[青枯れ病]
細菌の一種が植物の内部で繁殖するために起きる病気です。
元気に育っていた植物が、はじめは水やり不足のように、日中に萎れ、夜になると一時的に回復するという症状を繰り返しますが、その後萎れたままになり、立ち枯れます。
病気の進行が早く、まだ青色が残っている状態で枯れるのでこの名があります。
トマトや、ナス、ピーマンは特にかかりやすい野菜で、イチゴ、インゲン、ジャガイモ、シュンギク、カブ、ダイコン、キュウリなどもかかることがあります。
予防は水はけのよい土を作ることです。
水やりは控えめに、高温時は地面の温度が高くならないように、敷き藁などでマルチングします。
病気が発生した株は早めに引き抜き、他の株に感染しないようにします。

[萎ちょう病]
土中の糸状菌(カビの一種)に導管部が侵され、カブが弱って萎れ、ひどい場合には枯れてしまいます。
ホウレンソウ、ニンジン、ダイコン、トマト、イチゴ、ネギなどで多発します。
発生したら治療法はなく、病気に侵された株を引き抜いて焼却し、他の株への感染を防ぎます。
植え付け前に土壌消毒をすると予防効果があります。

[ウィルス病、モザイク病]
ウィルスが感染して起きる病気です。
ウィルスの種類が多く、キュウリ、ネス、トマト、ホウレンソウ、シソ、エンドウ、キャベツ、コマツナ、シュンギク、レタスなど多くの植物に感染します。
発病してしまったら薬剤などで治療することは不可能です。
ほかの株への感染を防ぐため、株を処分しなくてはならないので、何よりも予防が大切です。
ウィルスはアブラムシやコナジラミなどの害虫が媒介します。
これらの害虫を駆除することが大切です。
また、指やハサミを介して感染することもありますので、消毒します。

[うどんこ病]
糸状菌(カビの一種)が繁殖することで起きる病気です。
新芽や若葉などに白い粉を振りかけたようなカビが発生します。
葉や茎の葉面の白い粉は胞子で、菌糸を植物内部に伸ばして栄養分を吸収しているため、茎や葉がねじれたり、萎縮し、ひどい場合には黄化して枯れてしまいます。
キュウリやカボチャなどの夏野菜では下葉から発生し、徐々に植物全体が弱り、果実が大きくならず、食味が低下するなどの症状が見られます。
夜間の湿度の高い環境で繁殖し、湿度の低い昼間には風に乗って蔓延します。
窒素成分が多くカリが不足すると発生しやすいため、窒素過多にならないようにします。
発生初期であれば、オルトランCの噴霧が効果的です。
病気が進行して変形、黄化などが見られた場合は、治療は不可能ですので、発病部分を除去し、焼却します。
ベンレート水和剤などを用いて発病前に予防することも大切です。

[菌核病]
糸状菌(カビの一種)に茎葉が侵され、軟化して、その茎より上部が枯れてしまいます。
病斑部には白いカビが生え、のちに黒い塊ができます。
主に茎葉に発生する病気ですが、地際の根や果実に発生することもあります。
イチゴ、エンドウ、キャベツ、キュウリ、ピーマン、トマト、ナス、タマネギ、ハクサイ、レタス、ブロッコリー、ニンジンなど多くの野菜に発生します。
発病初期にベンレート水和剤などのを1週間おきに2~3回散布します。
地面に落ちる前に菌核を切り取って焼却処分します。
予防のためには、間隔を空けて栽培するなど、風通しをよくすることが大切です。
また、肥料に窒素分が多いと葉が茂りすぎるため、バランスをよくします。

[黒星病]
糸状菌(カビの一種)が感染することでかかる病気で、葉に淡い褐色あるいは黒い斑点が現れ、徐々に大きく広がってきます。
やがて病斑部の周りから黄変し、落葉します。
ナシ、リンゴ、ウメ、モモなどの果樹に発生しやすい病気です。
比較的暖かく湿度の多い時期に発生します。
発病した部位にはオルトランCなどの殺菌剤を散布します。
発病予防にはベンレート水和剤を定期的に散布します。
冬の休眠期に石灰硫黄合剤を散布し、越冬菌を殺菌すると、翌春の発生を抑制できます。

[さび病]
糸状菌(カビの一種)の感染で起きる病気で、さびが出たような斑点が広がり、胞子で伝染します。
黒さび病、白さび病、褐さび病などがあり、赤星病もさび病の一種です。
一般に葉の表面に白い斑点が現れ、やがて斑点は盛り上がって褐色に変わり、表皮が破れて黄色や赤褐色の胞子が飛び散ります。
発生しやすい野菜は、シソ、タマネギ、ニラ(さび病)、カブ、コマツナ、ダイコン、チンゲンサイ(白さび病)、モモ、アンズ(褐さび病)、ナシ、リンゴ(赤星病)などです。
初期ならマンネブダイセンM水和剤を1週間おきに2~3回ほど散布することで、被害の拡大を抑えることができます。
発病した株は早めに抜き去り、焼却処分にします。

[立ち枯れ病]
土壌中の糸状菌(カビの一種)によって起きる病気で、植物の株全体が弱々しくなって、やがて下葉から黄色く変色し始めます。
やがて立ち枯れたり、枯死してしまいます。
地際部分の茎が腐敗して細くくびれ、根が腐ってきます。
短期間で株が全滅してしまうこともあり、特に野菜では気を付けなければいけない病気です。
病気が発生した株は直ちに抜き去り、焼却処分にして他の株への伝染を防ぎます。
連作を避けることである程度予防できます。
堆肥を使う場合は未熟な有機物を避け、完熟したものを使用します。

[炭疽病]
糸状菌(カビの一種)の一種である炭疽病菌が原因で、葉や枝葉、果実などに発生する病気です。
褐色や黒色のややへこんだ楕円形の病斑が現れます。
発生しやすい野菜は、イチゴ、コマツナ、スイカ、カキ、モモ、リンゴなど多数あります。
病気が発生した部位は早めに切り取り、焼却処分にします。
風通しが悪いと発生しやすいので、込み合った枝葉は剪定します。
水やりの際、水が地上近くの葉にかからないようにします。

[軟腐病]
土中の細菌が傷口から侵入し、地際部分がとろけるように軟化して腐敗します。
腐敗した部分は強い異臭を放ちます。
キュウリ、ピーマン、ナス、ダイコン、キャベツ、ハクサイ、ニラ、ネギ、レタス、ニンジン、ジャガイモ、トマトなど組織の柔らかい野菜に多く発生します。
薬剤による治療は不可能で、病気の見つかった株は早めに抜き取り焼却処分にします。
予防は植物に傷をつけないことが一番です。
害虫の防除も大切です。
日ごろから雑草を駆除し、畑の排水をよくし、水をやりすぎないようにします。

[根こぶ病]
株に元気がなくなり、日中には萎れ、朝夕には回復するということを繰り返します。
次第に生育が悪くなり、のちに枯死します。
アメーバ状をした糸状菌が新根や根毛に侵入して、根の細胞が異常増殖し、コブができます。
キャベツ、コマツナ、チンゲンサイ、ハクサイ、カブ、ダイコン、ブロッコリー、カリフラワーなどに発生します。
防除は不可能で、発病した株をコブが付いた根ごと抜き去り、焼却処分にします。
用具はよく洗浄し、消毒します。
畑の水はけをよくしたり、石灰を施したりして、土壌酸度を中性にすると発生を減らせます。

[灰色かび病]
茎、葉、つぼみ、花などあらゆるところに発生する病気で、はじめ淡褐色の斑点が生じ、やがて灰色のカビに覆われる病気です。
ボトリチス菌が病原菌で、ボトリチス病と呼ばれることもあります。
ナス、キュウリ、イチゴが発病します。
見つけ次第、切り取って焼却処分にします。
花がらも発病の原因となりますので、こまめに摘み取るようにします。
風通しが悪く、湿度が高いと発生しやすいので、込み合ったところを剪定し、密植を避けて通気を図り、乾燥気味に管理します。

[べと病]
画像
糸状菌(カビの一種)による病気です。
葉に黄色い斑点がいくつも現れ、斑点が大きくなって、大きな褐色の病斑となります。
病斑部位の葉裏にはカビが生えます。ブドウ、メロン、カボチャ、キュウリ、ホウレンソウ、ネギ、シュンギク、ダイコン、ハクサイなどに発病します。
発病した葉は早めに摘み取り、焼却処分します。
落葉した葉も翌年の伝染源になりますので、こまめに集めて焼却します。
日当たりや風通しが悪いと発生しやすくなりますので、密植を避け、水やりに注意し、葉が乾きやすい環境にします。

病気予防のポイント

  • 病気を畑に持ち込まない
  • 連作しない
  • 抵抗性・耐病性のある品種を選ぶ
  • 適切な時期に種をまく
  • 健康な苗を購入する
  • マルチなどを使用して泥はねを防ぐ
  • 適切な株間で育てる
  • 水はけをよくする
  • 風通しをよくする

病気の被害をできるだけ受けないようにするには、よい苗を手に入れることです。

とくに、老化した苗や、間のびしたようなひょろっとした苗は避けるようにします。

また、密に栽培してしまうと、日あたりや風通しが悪くなり、病気が発生しやすくなります。

どうしても株間は狭くとりがちですが、適切な間隔をとりましょう。

病気の株は畑の外へ

どんなに風通しをよくするなどの予防をしていても、病気の被害を防ぎきれないこともあります。

病気が出た場合は、株を抜いて畑の外へ持ち出し、燃やすか、燃えるゴミに出して処分します。

病気の株をいつまでも畑に置いておかずに、速やかに対処し、病気の蔓延を防ぎます。

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