野沢菜は、北信州の野沢温泉特産の野沢菜漬けに使う漬菜の一種で、上手に育てると1mにもなる、大型のアブラナ科の野菜です。
今から260年ほど前、野沢温泉村のお寺の住職が京都から天王寺蕪(大きな蕪)の種を持ち帰って植えて育てたところ、茎丈の高い蕪菜になりました。野沢温泉は、年平均気温9.5℃という高冷地です。京都の年平均気温15.9℃で温暖な気候で育つ天王寺蕪は、野沢温泉の冷涼な気候で変異し、野沢菜が生まれました。
野沢菜は天王寺蕪の変異であることから本来は蕪で、根の部分が蕪のように肥大しますが、この肥大した根は食べません。葉柄の部分を大きく育てることがポイントです。
野沢菜の育て方
野沢菜はアブラナ科で害虫の発生しやすい野菜ですが、防虫ネットでトンネルしてしっかり防除すれば、寒さにも比較的強く、初心者でも手軽に育てることができます。
春まき栽培と秋まき栽培ができますが、春まきはトウ立ちが早く大株にならないため、秋まき栽培がおすすめです。
概要
生育温度 | 15~25℃ | ||||
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連作障害 | あり。1年以上あける | ||||
育てやすい品種 | 品種として成立したものはない | ||||
元肥 | 苦土石灰と元肥を入れる | ||||
種まき時期 | 春まき:3月中旬 秋まき:8月下旬~9月下旬 |
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種まき方法 |
畝幅:90cm。 マルチ:しなくてもできるが、した方が管理が楽に行える 株間:条間20~45cm(大きく育てたい場合は条間を広めに)ですじまき |
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栽培中の管理 |
害虫対策:種まきをしたらすぐに防虫ネットでトンネルする 追肥:最後の間引きが終えたら |
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収穫 | 葉が50~60cmくらいになったら |
ポイント
- 連作をしない。
- 秋まきが栽培しやすい。
- 酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施す。
- 種まきを終えたらすぐに防虫ネットでトンネルする
- 発芽したら葉が触れ合わないように順次間引く。
- あまり長くおくと硬くなるので早めに収穫する。
品種
野沢菜は漬菜の一種なので、品種として成立したものはありません。
栽培時期
※地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。
畑の準備
野沢菜は連作障害の出る野菜なので、野沢菜を含むアブラナ科の野菜を1年以上は栽培していない場所を選びます。
また、酸性の土壌を嫌うため、酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施し、土壌酸度を調整します。
種まきの2週間前に苦土石灰をまいて耕し、1週間前になったら堆肥と化成肥料を施してよく耕し、畝を立てて黒マルチを張ります。
野沢菜の種まきはすじまきであることから、マルチを張らずに栽培するのが一般的ですが、マルチをすじ状にカットすることですじまきできます。
黒マルチは、雑草の抑制や、保湿や地温を上げる効果に期待できます。
種まき
マルチを20~45cm間隔(大きく育てたい場合は条間を広めに)ですじ状にカットし、切り込みに支柱などを押し当てて浅い溝を作ります。
溝にできるだけ均一になるように種をまき、薄く(1cmほど)土を被せて軽く鎮圧し、水をたっぷりやります。
害虫対策
野沢菜はアブラナ科で、害虫の発生しやすい野菜です。
生育初期に害虫に食害されると著しく生育が阻害されるため、防虫ネットでトンネルして防除します。
発芽して数日すると葉に卵を産み付けられますので、種まきを終えたらすぐにトンネルすると安心です。
間引き
発芽したら葉が触れ合わないように順次間引きを行い、最終的に20cmくらいの株間にします。
追肥
最後の間引きが終えたら、化成肥料を追肥します。
収穫
葉が50~60cmくらいになったら早めに収穫します。
霜に数回あてると、アクが抜け、甘みがでて食味が良くなります。
ただし、あまり長くおくと硬くなります。
積雪にも弱いので、その前までに収穫します。