ごくごくたまにあることなのですが、メロン、そしてかぼちゃなどを包丁で2つに割ったとき、中身に驚くことがあります。
それは、メロンなどの中に、「もやし」が大量に入っているケースがあるのです。
たまに、事情を知らない人が、「メロンにもやしが!」といってSNSなどで報告していることがあります。
それが多数シェアされているため、あまり知識がない人が多いのではないだろうかと考えられます。
発芽の正体
メロンやかぼちゃのなかにもやしが入っている現象。
これはごくまれに起こります。
実は、種が発芽している状態です。
メロンは、25度~30度の間で発芽します。
そのため、夏場に、熟した種と、実の中身が発芽温度に達し、中身が外の空気に触れないまま、栄養たっぷりで発芽してしまうのです。
発芽することはするのですが、メロンの中でメロンが育つという怪現象はさすがに起こりません。
日光が足りないといいますか、メロンの中での現象ですので、陽の光がなく、ちゃんとメロンとして育たずもやしになります。
そして、もやしになってしまう過程で、水分を多量に必要とするため、母体となっているメロンの水分を吸収します。
そのため、メロンがパサパサになってしまうのです。
水分が消費されてしまい、人間が食べようとする前に、栄養分を全部持って行かれてしまうのです。
こうなると、このメロンは食べることができません。
このもやしの部分、決して毒があるわけではありませんし、ただの発芽ですので食べることもできますが、食べる意味はあまりありません。
こうなってしまうと、メロンそのものを諦めたほうがよさそうです。
「もやし」の定義はそもそも不明
スーパーなどにいけばもやしを買うことができますよね。
でも、原則として、野菜的にもやしという野菜があるわけではないのです。
もやしは豆類を適温で発芽させています。
そして、光をあてない環境においておいて、育てたものになります。
ですので、この「メロンのもやし」は厳密にいうとたしかにもやしの一種ではあるのです。
ですが、味は期待できません。
かじったことはありませんが、おそらく苦いという話です。
そして実も水分を取られてパサパサになっていますので、美味しくありません。
捨てるしかないのです。
メロンの発芽、正しいステップは!?
メロンは、スーパーで冷えてない位置に飾られていることがあります。
とくに高級メロンなどは箱入りで展示されていて、スーパーの中でも隅っこに置いてあるケースがあるので、夏場などはエアコンの冷気が届かず、発芽の温度帯になってしまうことがあるのです。
そして、こんなナチュラルに発芽してしまうと、まずそのまま子孫を残すことができなくなります。
もやしになってしまい、枯れて終わってしまいます。
ですが、夏の終わりごろに実となり、秋になり気温が下がったタイミングで、冬を無事に越せれば、春頃に発芽を迎えるのが順調な流れです。
秋冬にかけて実が腐ってしまいます。
その腐っていく過程で地面に落ちるなり、鳥に食われるなどして、さらには地表で虫などにも食べられて、種が運ばれていきます。
メロンの自然育成はほぼ不可能
私たちが食べているメロンは品種改良されたもので、とても甘みが強くなるように改良されています。
昔のメロン、ほぼ原種に近いメロンはほのかに甘い程度です。
品種改良されるのは悪いことではなく、改良されておらず自然に発芽するメロンは、むしろきゅうりのような味になることでしょう。
自然に発芽したものを土にかえせば、環境に適応して育つ場合も考えられます。
ただし、虫もいますし病気もありますので、美味しくは仕上がらないのではないかと思われます。
実も小さく甘くないものにしか育たないのが、自然発芽のもやしを育てたメロンになります。
それが世代を重ねれば、味はより美味しくなくなっていくのではないでしょうか。
もやしで何かできないか!?と思われるかもしれませんが、普通に育てたほうがよろしいです。
かぼちゃのほうが起こりやすい
かぼちゃも、メロンと同様、25度~30度程度が発芽温度です。
そのため、このメロンもやし現象がかぼちゃでも起こりうるのです。
むしろ、もやしが生えるのはかぼちゃのほうが起こりやすいかもしれません。
かぼちゃも、スーパーなどでは冷やされずに台にそのまま陳列されて売られているケースがほとんどですので、微妙に外気温が暑くてクーラーが効いていないスーパー、もしくは購入して帰宅し、そのままキッチンに放置しておいたかぼちゃなどの内部で、発芽することがあります。
何らかの事情で種の発芽を抑制する物質が果肉の部分にあまり含まれておらず、発芽に至ってしまった、という可能性もあります。
実が詰まっていない証拠?
これらは、かぼちゃやメロンが、実が詰まっておらずワタや種が集まっている部分に集中して起こります。
かぼちゃやメロンを割ってみるとわかりますが、空洞になっていてワタが詰まっていますよね。
そのため、空気があるので発芽条件が揃いがちなのです。
買ってきたメロンの種を発芽させるには!?
ここで、疑問が起こります。
では、発芽していないメロンの種。
食べる人はいないと思いますが、そのまま放置した場合、育てることはできるのでしょうか?
メロンの種やスイカの種等を成熟させ、ちゃんと乾燥させて保管し、しかるべき育て方をすれば、発芽して実がなることもありえます。
実際、筆者はメロンを洗った際に種が台所の排水口に入ってしまい、そこから発芽してしまったことがあります。
排水口からニョキニョキともやしが育ってしまい、面食らいました。
実を食べて捨てた種が、何らかの栄養分と水分と日光を得て発芽して育つことは、メロンやかぼちゃ、そしてスイカなどのケースでも見られる現象です。
ですが、それらを食べることは非常に困難ですし、美味しくありません。
最初に買って食べた実とは別種のものになってしまいます。
ウリ科のもやしは美味しくない!
そもそも、メロンもかぼちゃもウリ科の植物です。
つまり、ウリなのです。
実が甘いのが特別で、品種改良されているだけなので、種が発芽していくら栄養を受けたとしても、水分を多分に吸収して育った、もやしが美味しいわけがありません。
むしろ、ウリなので苦いでしょう。
美味しかったらとっくに商品化!?
もしも仮に、このメロンもやしが美味しいのであれば、とっくに誰かが商品化しています。
それが、美味しいのであれば、売れるでしょう。
ですが、美味しくない上に、メロンがベースになっていますので著しくコストがかかり、コストパフォーマンスがよくないので、まったく可能性はありません。
また、そもそも、メロンは種そのものが高いという傾向があります。
そこから発芽させて、超高級もやしとして売る、ということもできそうにありません。
メロンを割ってみたらもやしがわんさか出てきた!という体験をしてみると、いろいろなことが考えついて楽しいですね。
ですが、写真を取ってSNSなどで話題にするぐらいしか、使いみちがありません。
メロンやかぼちゃは買ってきたら冷蔵庫で保管して、早めに食べるようにしましょう。
また、25度~30度の発芽環境に置かないように、気をつけましょう。
台無しになってしまいますので、もったいないのです。
(文/渡邉ハム太郎)