「寺坂農園」というメロン農家を知っていますか?
2017年7月のことでした。
大切に、大切に育てたメロンに、除草剤が撒かれてしまったのです。
これは大きなニュースとなりました。
メロンは6500玉以上が出荷できなくなってしまったのです。
被害額は1500万円以上となりました。
結構な高級メロンで、寺坂農園さんとしてもとっても大切に育てていたのです。
なぜこのような悪質は犯行が行われたのか、寺坂農園さんが一体何をしたというのか、そしてどうすればここから立ち直ることできるのか、大きくニュースとして取り上げられ、注目を集めました。
メロンに除草剤を撒くとゆっくりと枯れていく
寺坂農園さんはSNSやブログをやっています。
しかし、事件があったときは平静を装い、何ごともなかったかのように出荷情報などを配信するようこころがけたとのこと。
なぜなら、犯人を逮捕してもらわないといけないため、つらい気持ちを抑えながら、笑顔でふるまっていたのです。
メロンに除草剤を撒くとどうなるのでしょうか。
実はいきなり枯れるわけではないのです。
何日もかけて、ゆっくりとしおれていくとのこと。
6日かけて、茎などが枯れていきます。
そして農家さんはその姿をじっと見つめなければならないのです。
なんてつらいことでしょうか。
このような犯罪行為はいきなり起こりません。
予兆もあったようです。
それが、換気扇や室温のメーターが狂わされるということが起こっており、最初のうちは、スタッフの誰かがミスしたのかな?という思いだったそうです。
まさか、誰かが寺坂農園を狙って攻撃をたくらんでいるとはつゆにも思わず・・・疑うことを知らなかった寺坂農園さんでは、室温が狂っているのを見つけるたび朝礼を開き、スタッフに「きっちり温度を守らなければメロンが枯れてしまう」ということを周知していたのです。
しかし実際は、犯罪行為の幕開けだったのです。
この恐ろしい除草剤事件の前から、寺坂農園に犯罪者が近づき、設定を狂わすなどをしながら、様子を見ていたのです。
犯人は関係者?メロンに詳しい?
寺坂農園さんは、北海道富良野のメロン農家です。
メロン栽培は夏がピーク。
そして北海道農業であるがゆえ、この夏のピーク時を逃すと収入がありません。
北海道は冬場に農業を行うことができないため、夏に1年分を稼ぐというやり方なのです。
厳しい自然が育んだ美味しいメロンを、少し高価ながらも全国のファンに届けながら、いままでやってきました。
どうも、農協との付き合いがそれほど濃いわけではなく、自分で顧客を開拓して、運営してきたものとみられます。
犯行の動機はそれに対する嫉妬なのか・・・ただまじめに商売をしているだけでも、嫉妬されるところに、いまの農業の苦しさがあるのではないでしょうか。
しかし、自分が苦しいからと言って、嫌がらせをしたり実行に移したりするのはゆるされることではありません。
また、メロンに除草剤を撒くということは、明確な意思をもった犯罪であり、逮捕されれば実名報道され実刑になるのは逃れられません。
メロンに除草剤がまかれる前に、換気扇や温度計をいじっていた形跡があることから、犯人はメロンにある程度詳しいのではないかと考えられます。
寺坂農園はクラウドファンディングで再起!
被害額1500万円以上。
これは1年間の貴重な収入になります。
従業員も多く雇っているため、この売上がなくなったことで、寺坂農園さんは倒産の危機にひんしています。
自分たちの売上、生活費、スタッフの給料、そして税金等々、売上がなくなっても支払うものは免除されませんので、このままでは倒産どころか借金を抱えてしまいます。
そこで、クラウドファンディングに再起をかけたのです。
クラウドファンディングとは、インターネット上で出資を募り、善意の輪によってプロジェクトの資金を得るものです。
寺坂農園さんのメロンに除草剤事件は、インターネットで大きなニュースとなり、たくさんのWebメディアにも取り上げられましたので、クラウドファンディングをスタートすると多くの資金が集まりました。
なんと、開始5日間で1500万円以上が集まり、クラウドファンディングは当初の予算を大きくオーバーし、大成功をおさめたのです。
それだけ、大切なメロンに除草剤を撒かれた寺坂さんの悲しみに共感した人が多く、正義感を燃やした人が多かったということではないでしょうか。
再起をかけ、防犯カメラなども設置
クラウドファンディングを実施するのは勇気がいったことだろうと思います。
寺坂農園復活プロジェクトを避難する人はいないと思いますが、それでも多くの人の注目を集めたため、心無い言葉を投げかける人もいるかもしれません。
しかし、さまざまな人から声をかけてもらって背中を後押しされ、クラウドファンディングに再起をかけることにしたのです。
防犯カメラの設置代、メロンの種、ハウスビニールの代金、来年のメロン種、人件費、次の年の人件費などを求めました。
無事、クラウドファンディングがサクセスしたので、また来年もメロンが栽培できる!と喜ばれています。
集まった資金で経費のほか、防犯カメラ等も購入し、二度と同じようなことが起こらないよう、対策を取っていきたいと考えています。
寺坂農園さんのすべてのメロンがやられたわけではなく、全体の2割程度です。しかしこのまま放置していては倒産しかねません。
なんとしても再起しなければ、悪意に負けたことになってしまいます。
除草剤は微生物によって分解され、来年の影響はないとのこと
除草剤はあくまでメロンの葉や茎に対して撒かれたものです。
よって、除草剤はすべて地中の微生物に分解され、来年の栽培に影響はありません。
しかし、分解されて証拠が残らなくなるという時点で、犯罪隠蔽を狙った悪質な犯行であることがわかります。
不活性化されてしまうので、人と土に大きな影響を与えず、メロンだけを攻撃する成分であるため、それが逆に犯行の大きさを物語っているのです。
けれどもメロンの来年の栽培には影響がないのがよかったことです。
インターネットの人たちの善意に支えられて、寺坂農園は次のメロン栽培に向けて全力で進もうとしています。
ぜひ応援しましょう。
今後もメロンを栽培し続けると決意
大きなニュースとなったことで、資金が集まったものの、いまだ犯人はわかっていません。
警察の「科捜研」が登場し、犯人を探してくれています。
しかしこれまでそんな嫌がらせがなかったことから、犯人の見当もつかないとのこと。
科学捜査を駆使して、犯人が捕まるといいのですが、事件から半年以上が経過して、続報がありません。
また同じこと、さらに悪質なことをされる可能性もあり、寺坂農園さんにとっては生きた心地がしないことでしょう。
しかし、たくさんの励ましを受け、再起を決意。
今後も悪意には負けずにメロン栽培をしていくと決意したのです。
素晴らしいことですね。
ぜひ今後も美味しいメロンを栽培して、さまざまな日本中の人たちにメロンを届けてほしいものです。
非常に色々なことがありますが、こうした悪意もあります。
人間が商売をしている以上、さまざまな気持ちが入り乱れるのです。
しかし善意もあるので、共感してくれた人に助けてもらいながら、再起をかけるのは悪いことではありません。
今後が気になりますね。
(文/渡邉ハム太郎)