日本には、種苗法(しゅびょうほう)という法律があります。
種苗法によって植物の新品種は守られているのです。
新しい品種を作成した人は、新品種を登録することでその新品種を作成する権利を有することができます。
種苗登録されている種から勝手に種を取って、ひとに配ってはいけないのです。
たとえば、種苗交換会。
種苗を交換してさあ、植えようと思っても、その種のルーツって何かご存知ですか?もしかしたらそれが種苗登録されたものから採種されているものかもしれないのです。
日本においては、種苗登録した苗から、個人的に自家採種することは認められています。
ですが、海外では違反になる場合があります。
ですが、人に譲渡したり、配布したりすることはいけません。
また、無断で譲渡を受けて、勝手に植えてしまうことも、法律違反になります。
たとえば、交配されたF1種から自家採種することは許可されていますが、その種を他人に渡したり、苗を人に売ったりしてはいけないのです。
種苗法に違反すると、訴訟に繋がるリスクがあります。
種苗は個人の権利であり、法律で保護されているからです。
種苗法違反の場合は、罰金300万円以下と、厳しいペナルティがあるので注意が必要です。
アジアでは「海賊版農産物」が問題に!
アジア圏では、日本の著作権を無視したコピー商品が跋扈していますが、農作物も海賊版がひろがり、問題となっています。
たとえば、北海道で作成されたいんげん豆である「雪手亡」や、栃木県がつくったいちごの「とちおとめ」などの種苗が持ち出され、中国や韓国で勝手に栽培されて、日本に入ってくるという事件などがありました。
種苗は、農に関わる人たちが長い年月をかけて苦労して生み出した努力の結晶です。
それを勝手にタダ乗りすることは許されないことです。
また、日本の国力低下にもつながるので、みすごすことのできない問題です。
農林水産省では、権利の侵害対策に乗り出し、種苗法を強化していっています。
育てた苗を勝手に譲渡するのは?
種苗法では、種が権利として守られています。
それでは、その種を入手して育て、苗にして人に譲渡するのはどうなのでしょうか?種苗法は種も苗も権利として守っています。
種を入手するのは自由ですが、苗に育てたからといって、勝手に配布してはいけません。
ただし、結果、登録された品種の特性を超えて大きく変化して育成されたとき、そして、それが登録された品種と明確に区別できる場合は、この範囲ではありません。
売るのはNG、譲渡は?
種苗法で登録された品種を売るのは明らかにNGです。
では譲渡はどうでしょうか。
実は譲渡も基本的にはだめです。
個人的に苗をプレゼントするぐらいなら、OKです。
種と苗は権利によって守られていることを明確に意識するようにしたほうがいいでしょう。
他人の権利を侵害してしまわないように、注意して種を選びましょう。
また、ブランドの「とちおとめ」などがホームセンターで売られている場合は、それは違法な販売ですので購入しないようにしましょう。
品種登録は、「業としての使用を独占することができる」と定められていますので、売買でないプレゼント、贈答の場合は、これにあたりません。
個人の用途である場合は、品種を育てたり、大きくしたりして増やしてからプレゼントなどを行っても大丈夫です。
また、権利を持っている人から購入したものを転売することは認められています。
種苗法も知的財産権と同じで細かいルールがありますので、一度法律をしっかりと学んでおいたほうがいいかもしれません。
くれぐれも、売らないように気をつけて下さい。
(文/渡邉ハム太郎)