農林水産省に、すいか、メロン、いちごは果物ですよね?と聞いてみると、意外な答えが返ってきました。
「1年生及び多年生の草本になる実は野菜、永年生の樹木になる実は果物」
と分類しているというのです。
つまり、すいかやメロンは、ウリ科の1年生野菜になります。
そして、イチゴは、バラ科の多年生野菜になります。
園芸関係の学術本や、学会などの報告文章では、野菜として扱われるのです。
これは驚きの回答ですよね。
ですが、青果市場では、すいか、メロン、イチゴは野菜としては扱われていません。
すいか、メロン、イチゴは一般消費者にとっては果物ですので、果物として扱われています。
スーパーマーケットでも同様に、デザートとして食べるスイカ、メロン、イチゴは、フルーツのコーナーに置かれていますが、特に問題があるわけではありません。
それは、デザートとして食べられるものなので、消費者目線に立ってみると、デザートとしてのすいか、メロン、イチゴは果物なのです。
総務省の統計では、すいか、メロン、イチゴは果物として取り扱われます。
トマトは?フルーツトマトは?
トマトが野菜か果物かは、100年以上前から論争になっていました。
アメリカでは最高裁判決で野菜と判決が下っています。
なぜそこまでモメたかというと、野菜か果物かでは税制に大きな違いがあるからなのです。
輸入野菜には10%の税金が課せられるのですが、果物は無税なのです。
そのため、野菜か果物かで長い間論争が行われていました。
フルーツは実という意味があります。
トマトは茎になる実ですので、植物学上は果物です。
ですが、日常生活では、トマトは野菜となります。
よって、最高裁では、トマトは野菜という事になりました。
ケチャップは野菜から作られているため、ジュースではないということですね。
アメリカの裁判所では、トマトは食事中に食べるもので、デザートにはしないという点が重視されたようです。
日本の農水省でも、野菜とみなしています。
ですが、フルーツトマトの場合は、糖度が9~12と、メロン以上に甘いため、甘くて生で食べられるものという定義では、フルーツトマトは果物になってしまいます。
ですが、トマトという野菜の一品種のため、フルーツトマトは、その名称に反して、野菜のようです。
アボガドは?
アボガドは野菜ではなく果実を食べるので果物です。
ですが、すいか、メロン、イチゴが果実的野菜なのに対して、アボガドは野菜的果実と呼ばれることがあります。
これまた農林水産省の回答によると、「2年以上枯れずに育ち、果実が食べられる」という条件を満たす植物を果樹と呼びます。
年間の生産量を計算するときも、果実を果樹としてカウントします。
一般には果物とは呼ばれない栗やウメなどを果樹としている一方、すいか、メロン、イチゴなどが野菜として取り扱われるというわけです。
ちなみに、アボガドは実のかたい未熟な果実を買ってしまった場合は、室温で追熟できます。
皮の色が黒くなって、軽く握って弾力があったら、中身も柔らかくなっていますので、食べごろに近づいています。
熟したらビニール袋に入れて冷蔵庫で保管するといいですが、長時間冷やすと味が落ちる場合がありますので注意が必要です。
エチレン
最後に雑学を。
果物を成熟させるホルモンが、エチレンです。
果物は自分でエチレンを放出します。
そして熟していきます。
このエチレンの量は、果物ごとに異なります。
エチレンをたくさん出すものと出さないものを一緒に保存する場合は、ビニール袋などに入れて、分けて保存すると、追熟するのに最適な保管ができます。
ビニール袋の中にエチレンが溜まって、追熟します。
(文/渡邉ハム太郎)