生分解マルチを使ってみたときの感想を書いておきます。
プラごみ問題によって生分解マルチが注目されてはいますが、実際には問題がいろいろとあります。
通常のマルチよりも価格が高いので、コスト面での問題もありますが、そのほかにも問題がたくさんあるのです。
そもそも、生分解マルチとは?
生分解マルチは、おもに原料はでんぷん(でん粉)であり、土の中の微生物によって分解されてなくなるシートです。
生分解マルチと通常のビニールマルチの大きな違いは?
通常使われるマルチは、ビニールやプラスチックフィルムで、使用が終わったら、剥がして産業廃棄物として処分しなくてはなりません。
生分解マルチは、使用が終わったら、微生物によって分解されるので、そのまま畑にすき込んでしまってOK。
通常のビニールマルチは、使用が終わったら、剥がして、産業廃棄物として処分。
ただし、生分解マルチは、通常のビニールマルチより高い、手に入りにくい。
さて、ここからが本題のあまり議論されていない問題点です。
1~2年ほど前、勤め先の農家さんで生分解マルチを使いました。
トウモロコシの栽培で、栽培が終わった後にマルチをはがすのがたいへんなので、剥がす必要のない生分解マルチを使ってみようということです。
生分解マルチが手に入り、見た目的には、光沢があまりない感じです。
マルチャー(マルチを敷く機械)で生分解マルチを敷いてみた感じとしては、通常のビニールマルチと変わりませんでした。
敷いて数日したところで、何カ所か破れていたので、少し破れやすい感じはしましたが、問題にならない範囲です。
トウモロコシの苗を植えつけ、栽培し、収穫が終わりました。
生分解マルチなので、土に埋まった部分は巣子は分解されるのかな?と思いましたが、まったく分解はされていませんでした。
分解されてなくなるのに、半年から1年かかかるようです。
微生物によって分解されてなくなるので、トラクターで使用の終わった生分解マルチをしたままトラクターで耕しました。
それを見た近く農家さんが、「ビニールを畑にすき込んじゃって大丈夫なの?」といわれました。
農家さんであっても、生分解マルチを使用していると分かっていないようでした。
なので、普通の人ではまず生分解マルチとはわからないでしょう。
また、トラクターで耕して畑にすき込むことによって、粉々になった生分解マルチが地表に散在してしまっています。
風が吹くと粉々になった生分解マルチが飛び散ってしまいます。
ビニールのようなもの(実際には生分解マルチ)をトラクターで耕してしまっていこと、耕したあとにビニールのようなもの(実際には生分解マルチ)の残骸が散らばっているのは、印象がよくありません。
しかも、耕したあと、次の栽培をするために、マルチャーでマルチを敷こうとすれば、耕して畑にすき込んだ生分解マルチが絡んでしまいます。
分解されてなくなるのに半年から1年かかるので、その間畑を空けておくのは、よっぽど畑に余裕のある農家さんでないと難しいことです。
環境問題が取り沙汰されるなか、生分解マルチは自然に優しい素晴らしい商品です。
しかし、畑にすき込むと、粉々になって風で飛んでしまったり、後作に支障をきたすため、使用後は剥がさないといけません。
分解されるとはいえ、良く分からないものを大切な畑に入れてしまうのもどうかと思います。
微生物によって分解されてなくなるというのは聞こえはいいかもしれませんが、上記に書いた問題がある限り、農家さんが積極的に使うようになるのは難しいのかなと思います。
生分解マルチが普及していないことに疑問を持たれた方がいらっしゃったので、使用した感想を書いてみました。