ブロッコリーは花芽の部分が大きくなる野生のキャベツを改良したもので、頭頂部の蕾(つぼみ)や茎を食べる野菜です。
イタリアで改良されてヨーロッパ中に広まり、日本には明治時代初期に伝わりますが、本格的に栽培がはじまったのは戦後からです。
ブロッコリーには、キャベツをはるかに超える量のカロテンとビタミンCが含まれており、栄養価の高さからグングン消費が増え、愛知、千葉、埼玉、長野、北海道産が多く出回りますが、アメリカや台湾産をはじめとする輸入ものも多くなりました。
主に食用にする蕾の部分を花蕾(からい)といい、濃い緑色のものが一般的ですが、近年は紫やオレンジなどの様々な品種があります。
また、頭頂部の大きな花蕾だけをとる品種と、花蕾のほかにわき芽にできる蕾(側花蕾)もとれる品種があります。
アオムシやヨトウムシなどがつきやすい野菜ですが、防虫ネットで大きくトンネルするなどの工夫で害虫から守りましょう。
目次
ブロッコリーの育て方
ブロッコリーは頭頂部の蕾(つぼみ)を食べますが、家庭菜園では、わき芽が出て小さい蕾も食べられる品種がおすすめです。
アブラナ科でアオムシがつきやすいので、防虫ネットでトンネルしてできるだけ予防するほか、こまめに観察して見つけたら取り除きます。
蕾ができるとどんどん大きくなって、とるのがもったなくなってついつい収穫が遅れがちですが、蕾がひらくと味が落ちてくるので、締まっているうちに収穫しましょう。
概要
生育温度 | 15~20℃。 | ||||
---|---|---|---|---|---|
土壌酸度 | 6.0~6.5。 | ||||
連作障害 | あり。1年以上あける。 | ||||
育てやすい品種 |
頂・側花蕾:緑嶺、ハイツSPなど。 頂花蕾:ピクセルなど。 その他:スティックセニョールなど。 |
||||
元肥 | 苦土石灰と元肥を入れる。 | ||||
種まき時期(苗作り) | 7~8月。 | ||||
苗の植えつけ |
8~9月。 畝幅:90cm。 黒マルチ:あり(なくても良い)。 株間:2列、50cm。 |
||||
栽培中の管理 |
害虫対策:防虫ネットでトンネルした方が安心。 追肥1回目:本葉7~8枚のころ。 追肥2回目:蕾ができはじめたころ。 追肥3回目:頭頂部の蕾を収穫した後。 |
||||
収穫 |
蕾の直径が10~15cmほどになったら。 わき芽が伸びて小さい蕾ができるので、かたく締まっているうちに随時収穫する。 |
ポイント
- 夏まきが作りやすい。
- アブラナ科のものとの連作を避ける。
- 生育初期は害虫の食害に注意する。
- 家庭菜園では花蕾のほかに側花蕾もとれる品種がおすすめ。
栽培時期
※品種や地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。
育てやすい品種
ハイツSP(頂・側花蕾、中早生種)、緑嶺(頂・側花蕾、中早生種)、ピクセル(頂花蕾、早生種)など。
苗を作る
7~8月に種をまいて育苗します。
トレーやプランターに用土を入れ、種を3cm間隔で条(すじ)まきし、土を薄く被せ、水をたっぷりやります。
発芽したら、葉が重ならないように間引き、本葉が2枚になったらポットに植えかえます。
苗は本葉が5~6枚になるまで育てます。
畑の準備
ブロッコリーは連作を嫌うので、ブロッコリーを含むアブラナ科の野菜を1年以上育てていない場所を選びます。
また、酸性の土壌を嫌うので、酸性に強く傾いた土壌ではかならず石灰を施し、土壌酸度を調整します。
苗を植える2週間前、苦土石灰を畑全体に入れてよく耕し、1週間前になったら、堆肥と化成肥料を施して耕し、畝を立てて黒マルチを張ります。
黒マルチは、雑草の抑制や、地温を上げる効果に期待できます。
苗を植える
苗の本葉が5~6枚になったころ、2列とし、50cm間隔で植えます。
畝に根鉢と同じ大きさの植え穴を掘り、植え穴に水をたっぷりやり、水が引いてから根鉢を崩さないようにポットから苗を取り出し、植えます。
苗を植えつけたら、まわりの土を株元に寄せて押さえ、水やりをします。
害虫対策
ブロッコリーはアブラナ科で、イモムシなどの害虫がつきやすい野菜です。
苗を植えたら、害虫を防ぐために防虫ネットでトンネルし、ネットの裾に土をかけて隙間をなくします。
ブロッコリーは株が大きくなるので、トンネルをめいっぱい大きく作っておくのがポイントです。
防虫ネットでトンネルしても、土の中に潜むヨトウムシなどの害虫が発生するので、こまめに観察し、見つけたら取り除きます。
追肥
本葉7~8枚のころ、株間に化成肥料を施します。
蕾ができはじめたころ、2回目の追肥を施します。
追肥1回目:本葉7~8枚のころ。
追肥2回目:蕾ができはじめたころ。
防虫ネットは外さなくてOK
防虫ネットでトンネルしていると、生育後半にネットの中がかなり窮屈になり、見かねてネットを外したくなります。
頭頂部の蕾を収穫した後にわき芽にできる側花蕾を春までとるために、できればネットは外さずにしたままにしてください。
冬でもイモムシなどが発生するので、防虫ネットでトンネルしたままの方が安心です。
収穫
蕾の直径が10~15cmほどになったら、茎を15cmほどつけて包丁などで切り取ります。
蕾を押してみて、かたく締まっているうちに収穫しないと、食味が悪くなります。
2回目以降の収穫
頭頂部の蕾を収穫した後、追肥を与えて育てると、わき芽が伸びて小さい蕾(側花蕾)ができるので、かたく締まっているうちに随時収穫します。
蕾を少し残してトウ立ちさせれば、菜花として利用できます。
病害虫
葉を食害するアオムシ、コナガ、ヨトウムシ、株元から切断されるネキリムシ、成長点を食害するダイコンシンクイムシなどの害虫に注意します。
病気では根に白色のこぶができて変形し、地上部が枯れてしまう根こぶ病、株元が腐ってくびれる立枯病(たちがれ)、ほかに軟腐病、菌核病、黒腐病、べと病などの発生に注意します。
連作を避け、防虫ネットでトンネルして害虫を寄せつけないようにしましょう。
ネキリムシに注意
植えたばかりの苗がぱたりと倒れ、株元から切断されているのは、ネキリムシ(カブラヤガの幼虫)の仕業によるものです。
被害にあった株の根元付近を掘り起こして探すと、2~3cmほどのネキリムシの幼虫が出てきます。
被害の拡大を防ぐために捕殺し、予備の苗があれば植え替えましょう。
シンクイムシに注意
ブロッコリーはアブラナ科でイモムシなどの害虫が多くつきますが、こまめに観察して害虫を駆除し、葉を少し食害されたくらいであれば、収穫に影響はしません。
しかし、シンクイムシに中央の成長点を食べられると、頭頂部の蕾の収穫は難しくなります。
ブロッコリーは成長点を食べられても、わき芽が出て蕾がつくので、諦めずに育てましょう。
側花蕾ができない
ブロッコリーには、頭頂部の花蕾だけをとる品種と、花蕾のほかにわき芽にできる側花蕾もとれる品種があります。
もし、側花蕾ができないまま終わってしまったのなら、頭頂部の花蕾をだけをとる品種だったのかもしれません。
側花蕾までとるには、側花蕾もとれる品種を選びましょう。
また、側花蕾もとれる品種でも、肥料不足になるとわき芽が伸びない場合があります。
頭頂部の花蕾を収穫したら、追肥を施しましょう。
側花蕾もとれる品種:ハイツSP、緑嶺など。
コンパニオンプランツ
ブロッコリーにはアオムシやヨトウムシなどの害虫がつきます。
これらの害虫が嫌うサンチュ、レタス、シュンギクなどのキク科の野菜を混植すると、害虫を忌避する効果があります。
茎や葉もおいしく食べられる
茎や葉には、蕾と同じくらいの栄養が含まれているうえに、食物繊維も豊富です。
茎は皮をむいて薄切りにすると美味しく食べられます。
茎と蕾で火の通りが違うので、茎は蕾よりも少し長めに加熱します。
スティックセニョール
茎の部分が長いタイプのブロッコリーで、茎を主に食べます。
中国野菜のカイランとブロッコリーの交配種で、味と食感がアスパラに似ています。
小分けにする必要がなく、調理しやすいのが特徴です。