野菜は、土づくりで元肥を施して育てるのが基本です。
生育などによって土壌中の肥料分が失われるため、不足した肥料分を補うために追肥を行います。
とくに生育期間が長い野菜では、生育するにしたがって肥料をたくさん吸収するようになるので、定期的に追肥を行う必要があります。
実もの野菜は、樹勢を維持して長くとり続けつために、追肥が欠かせません。
追肥のポイントは、野菜の生育に合わせて、必要なときに必要な量を与えることです。
肥料の量が多すぎても、少なすぎても、野菜にとってよくありません。
上手に肥料を与え、りっぱな野菜を育てるには、それぞれの野菜の生育過程を知ることも大切です。
正しく追肥を行うことで、野菜の生育は促進されます。
目次
追肥ってなに?
追肥(ついひ)とは、生育の途中で追加で施す肥料のことです。
「おいごえ」ともいいます。
種まきや苗の植えつけ前に入れる肥料を元肥(もとごえ)といって、それとは別に野菜の生育途中にまく肥料のことです。
どうして追肥をするの?
野菜は生育に必要な栄養を補うためです。
野菜の生育に必要な肥料成分の量はほぼ決まっています。
生育に必要な量の半分を元肥で施し、追肥で残りの半分を与えます。
基本的には、種まきや苗の植えつけをしてから約1か月後から追肥を開始し、以降は生育が終わるまで20~30日おきに追肥します。
小松菜やラディッシュなどは、栽培期間が短いため、元肥で全量を施します。
ナスやピーマンなど栽培期間の長い野菜も元肥で全量を施してしまえば?と思われるかもしれませんが、野菜の生育に悪影響を与えてしまいます。
生育期間の長い野菜に全量を元肥で与えると、窒素が多すぎて、徒長やつるボケ、根やけなど起こします。
野菜は生育の後半ほど多くの肥料を吸収するので、数回に分けて肥料を与えます。
追肥の種類
追肥に一般的に使われている肥料は、野菜の生育に必要不可欠な窒素、リン酸、カリを含む化成肥料です。
施す量は野菜によって異なりますので、「野菜別の育て方」にある対象の野菜の育て方を参考にしてください。
すぐに効果の現れる肥料は化成肥料です。
それよりも即効性があるのは液体肥料です。
固形の肥料に比べて2~3日で効き目が現れます。
肥料切れのサインがあるときなど、早い効き目を期待するときは、速効性の高い液肥を使用するとよいでしょう。
追肥を施す時期
肥料が切れる前に施すのが基本で、追肥を施す時期は野菜の種類によって異なります。
「野菜別の育て方」にある対象の野菜の育て方を参考にしてください。
ホウレンソウや小松菜、ラディッシュなどの生育期間の短い野菜は、元肥だけで生育できるため、追肥の必要はありません。
トマトやナスなど生育期間の長い野菜は、草勢を見ながら肥料切れさせないように定期的に追肥します。
白菜やキャベツなど結球する野菜は、球がこぶし大になるまでに追肥を終わらせます。
ジャガイモやタマネギなどは、収穫期に肥料が切れていないと品質が落ちてしまいます。
肥料は水に溶けて根から吸収されるため、追肥をしても雨が降らない効果がありません。
梅雨明け後の乾燥が激しい時期は、水をやって肥料を溶かすことも必要です。
追肥の施し方
野菜の根は伸びた根の先から養分を吸収します。
根の先端部分にたくさん集まる根毛という部分で肥料や水分を盛んに吸収します。
追肥するときは、株元ではなく、伸びた根の先端辺りの地表に施すのが基本です。
根の広がりは、葉の広がりにほぼ比例しますので、葉の広がりの下あたりの土の表面に施します。
はじめは株から少し離れたところに肥料を施し、生育にしたがって株間や畝の脇などに施します。
肥料をまいたら、中耕をします。
土と肥料を混ぜ合せることで、土中の水分で肥料が溶けて、根が吸収しやすくなります。
土の表面にまくと、風や雨で流されてしまうので、それを防ぐ目的もあります。
野菜によって適した追肥の施し方があります。
適した時期、分量、方法を守って与えましょう。
[化成肥料与え方]
株のまわりに手で溝をつくります。
溝に肥料を適量まきます。
溝に土を被せます。
軽く耕し土寄せをします。
[液肥の与え方]
市販の液肥を用意します。
使用方法にしたがって原液を水で薄めます。
ジョウロで株元に薄めた液肥をまきます。
野菜に適した追肥の施し方
[畝間に追肥]
トウモロコシ、インゲン、トマト、ナス、ピーマンなどの生育期間の長い実もの野菜。
畝間、もしくは畝の肩の部分に施します。
[列の間に追肥]
カブや人参などの生育期間の比較的短い野菜。
株元に触れないように、列の間に均一に施します。
[マルチをしてる場合1]
カブやニンジンなどの生育期間の比較的短い野菜。
株から少し離れたところのマルチを破って追肥します。
[マルチをしてる場合2]
夏野菜などの生育期間の長い野菜。
株間(通路)に追肥します。
マルチをしてる畝での追肥の施し方
野菜は、伸びた根の先から養分を吸収します。
よって、野菜の根の先端付近に肥料を施すのがコツです。
生育期間の短い野菜は、全量を元肥で施します。
生育期間の長い野菜は、マルチをしていても、追肥を施す必要があります。
株が小さいときは、マルチの穴に手を入れて株のまわりに肥料を施します。
株が大きくなってきたら、マルチをはがして肥料を施し、元に戻します。
それが面倒なときは、株元から離れたところに穴をあけ、肥料を入れます。
動画解説しています。
追肥をたくさん施せばよく育つ?
野菜の生育に必要な肥料の量は、野菜ごとにおおむね決まっています。
全体量の半分を元肥で施し、残りの半分の量を数回の追肥に分けて施します。
多すぎても少なすぎても野菜の生育に影響するので、適量を施すことが大切です。
肥料が多すぎると、野菜にトラブルが起きる原因となるので、肥料の施しすぎはよくありません。
肥料の施しすぎは虫を呼び寄せたり、病気の原因になることがあります。
健康な野菜は、葉の色が淡い緑色をしていて、形のよい葉が広がっています。
窒素分の多い畑では野菜の葉の色が黒っぽい緑色になり、食べてもおいしくありません。
それどころか、硝酸塩を置く含み、体にもよくありません。
肥料をむやみやたらに与えるのは、逆効果になりかねません。
追肥をしないこともある?
肥料は、少ないよりも多いほうが困りものです。
足りない分には追肥すればいいですが、多く入れてしまったものを減らすことはできません。
肥料が多いと、徒長やつるボケ、根やけの原因になります。
肥料過多の症状がみられるときは、追肥はせずに様子を見ます。
また、生育期間が短く、元肥だけで育つ葉もの野菜などは、追肥は不要です。
根に共生する根粒菌が窒素成分を補給してくれるマメ類は、肥料が多くなると実がつきにくくなるので、生育が悪いとき以外は追肥をしません。
野菜の元気がなくなったら、追肥のタイミング?
野菜に元気がないのは、病気や害虫による被害、暑さや寒さなどが原因です。
このような状態のときにいくら追肥をしても、元気になるどころか、さらに弱ってしまうこともあります。
すぐに肥料を与えるのではなく、よく観察して、原因を特定して対処することが大切です。
もし肥料が切れていたら、葉が黄色くなり、葉が小さくなります。
肥料切れのサインが出る前に追肥を施しましょう。