キャベツの育て方

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キャベツ

(収穫の手ごたえは抜群)

一年を通じて用途の広いキャベツは、世界でもっとも消費量の多い野菜です。

原産はヨーロッパで、もともと涼しい気候でつくる野菜でしたが、品種改良などにより、どこでもつくれるようになりました。

女性に嬉しい栄養成分がたっぷり詰まっていて、とくにビタミンCや食物繊維を豊富に含み、大きめの葉を生で二枚食べれば一日分のビタミンCがとれてしまうほどです。

古代ギリシャ、ローマの時代から食べられていた野菜のひとつで、栽培の長い歴史の中でさまざまな品種が生まれ、それぞれに特性や作型があり、季節に合った品種を選べば、一年中絶やさず収穫することもできます。

ただし、本来は暑さに弱く、冷涼な気候を好む野菜なので、初心者は涼しい時期に育てる夏まきからはじめるのがよいでしょう。

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キャベツは3シーズン

年中見かけるキャベツには大きく分けて3つのシーズンがあります。

春先に出回る球形で巻がゆるくて内部まで緑黄色をした春キャベツ、かたくてずっしりと重い冬キャベツ、春キャベツと冬キャベツの中間的な夏キャベツ(高原キャベツ)です。

少し前までは冬キャベツが人気でしたが、最近は春キャベツも人気があり、生食用のグリーンボールは小型であることも好まれ、家庭菜園で作る方が増えています。

キャベツの品種と仲間

キャベツは古代ギリシャ、ローマの時代から食べられていた野菜のひとつで、もともと結球しない葉野菜でしたが、品種改良されて今のような結球する形になりました。

歴史が長いだけに品種は多く、葉がちりめん状に縮れているちりめんキャベツ、アントシアニン豊富な紫キャベツ、茎に小さな実がたくさんできる芽キャベツ、結球しない芽キャベツのプチヴェールなどがあります。

また、ふだんスーパーなどで見かける野菜にもキャベツの仲間は多く、ブロッコリー、カリフラワー、コールラビもキャベツの仲間です。

キャベツいろいろ品種
品種バリエーション

キャベツの育て方

栽培中のキャベツ

キャベツは品種改良されてさまざまな作型があり、それぞれに適した品種があります。

苗の植えつけが遅れて株が十分に大きくならないと結球しないので、植えつけ適期を守ることが大切です。

季節に合った品種を選べば一年中栽培できますが、本来は冷涼な気候を好むので、家庭菜園では夏まき冬どりが一般的です。

ただし、冬どりは、春、初夏どりに比べると害虫の被害が少ないものの、シンクイムシやアオムシなどの害虫がつきやすいため、防虫ネットでトンネルすると安心です。

防虫ネットをしても土の中に潜むヨトウムシが発生するので、こまめに観察して、見つけしだい取り除きましょう。

概要

生育温度 15~20℃。
土壌酸度 6.5~7。
連作障害 あり。1年以上あける。
育てやすい品種 夏まき:彩里、葉深、初秋など
秋まき:グリーンボール、味春、四季穫、富士早生など
元肥 苦土石灰と元肥を入れる。
種まき時期(苗作り) 春まき、夏まき、秋まき。
苗の植え付け時期 苗の本葉が5~6枚になったころ。
苗の植え付け方法 畝幅:90cm。
黒マルチ:有効。
株間:2列、35cm~40cm。
栽培中の管理 害虫対策:防虫ネットなどでトンネルする。
追肥1回目:植え付けから2~3週間後。
追肥2回目:結球が始まったころ。
収穫 結球してかたく締まっているものから。
病害虫 害虫:アブラムシ、アオムシ、ヨトウムシ、シンクイムシ、コナガなど。
病気:根こぶ病、萎黄病、べと病、黒斑病など。

ポイント

  • 栽培時期に適した品種を選ぶ。
  • 夏まき冬どりが育てやすい。
  • 連作しない。
  • 肥えていて保水性のある土地を選ぶ。
  • 苗を植えたら同時に防虫ネットでトンネルする。
  • こまめに観察して、害虫を見つけしだい取り除く。

栽培時期

キャベツの栽培時期

※品種や地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。

育てやすい品種

季節に合った品種を選ぶことが大切です。

夏まき(冬どり):彩里、葉深、初秋など
秋まき(春どり):グリーンボール、味春、四季穫、富士早生など

キャベツの育てやすい品種、選ぶ際の注意点

苗を作る

キャベツの苗

トレーやプランター、またはポットに用土を入れ、種を4~5粒ずつまき、土を1cmくらい被せ、水をたっぷりやります。

発芽までは乾燥に注意し、発芽後は毎朝水やりをします。

本葉2~3枚くらいのころ、1~2株ずつポットに植え替えます。

鉢上げ

水やりを続けながら本葉が5~6枚になるまで育てます。

畑の準備

キャベツを植える畝

キャベツは連作を嫌うので、キャベツを含むアブラナ科の野菜を1年以上育てていない場所を選びます。

日当たりや水はけが良く、保水性のある肥えている土地で育てれば、結球がよく、良質になります。

苗を植える2週間前、苦土石灰を畑全体に入れてよく耕し、1週間前になったら、堆肥と化成肥料を施して耕し、畝を立てて黒マルチを張ります。

黒マルチは、雑草の抑制や、地温を上げる効果に期待できます。

苗を植える

畝に植えつけたキャベツの苗(一株)

苗の本葉が5~6枚になったころ、2列とし、35~40cm間隔で植えます。

畝に根鉢と同じ大きさの植え穴を掘り、植え穴に水をたっぷりやり、水が引いてから根鉢を崩さないようにポットから苗を取り出し、植えます。

苗を植えつけたら、まわりの土を株元に寄せて押さえ、水やりをします。

畝に植えつけたキャベツの苗

病害虫対策

キャベツの病害虫対策

キャベツはアブラナ科で、アオムシやコナガなどの害虫がつきやすい野菜です。

苗を植えたら、害虫を防ぐために防虫ネットでトンネルします。

このとき、防虫ネットの裾に土を被せて隙間をなくすのがポイントです。

それでも土の中に潜むヨトウムシなどの害虫が発生するので、こまめに観察し、見つけしだい取り除きます。

追肥

結球し始めたキャベツ

苗の植え付けから2~3週間後の生育が盛んになったころ、1回目の追肥を施します。

葉が立ちあがり、結球が始まったころ、2回目の追肥を施します。

1回目の追肥:植え付けから2~3週間後。
2回目の追肥:結球が始まったころ。

収穫

収穫適期のキャベツ

結球が十分な大きさになり、手で押さえてみてかたく締まっていれば収穫の適期です。

収穫は、手で下葉をおさえて広げ、包丁やハサミなどで株元を切り取ります。

キャベツの茎はかたいので、株元に切り込みを入れて折るようにすると、うまくとれます。

収穫したキャベツ

病害虫

キャベツは害虫がつきやすい野菜のひとつで、アオムシやヨトウムシが大発生して、葉を食べつくされてしまうこともあります。

ヨトウムシやアオムシなどに食害されても、中央の葉が巻いていれば大丈夫ですが、巻く前に食害されてしまうと収穫できなくなります。

苗を植えたらすぐに防虫ネットでトンネルし、それでもヨトウムシなどは発生するので、よく観察して早めに駆除します。

また、連作すると根こぶ病や萎黄病などの病気が出やすくなるので、連作は避け、病気に強い品種を選びます。

コンパニオンプランツ

キャベツにはアオムシやヨトウムシなどの害虫がつきます。

これらの害虫が嫌うサンチュ、レタス、シュンギクなどのキク科の野菜を混植すると、害虫を忌避する効果があります。

春キャベツを作るには

春キャベツは、やわらかくてみずみずしく、ほのかな甘みで、家庭菜園でも人気があります。

しかし、秋に種をまき、寒さの厳しい冬を越して春に収穫するので、夏まき秋冬どりも難しい面があります。

また、種まきが早すぎたり、追肥で大きくなった苗で低温に一定期間あたると、花芽が分化し、春にトウ立ちしてしまいます。

春キャベツの栽培で大切なのは、秋まきに適した品種び、適期に種をまき、苗が大きくなりすぎないように注意することです。

霜から守るには

家庭菜園では、長く収穫を楽しむために、畑に植えたままにして、長く置いておきたいものです。

しかし、夏まきの冬どりや、秋まきの春どりは、強い霜にあたるので、球の上部の葉が枯れて茶色くなってしまいます。

収穫した株の外葉や、おいておきた株の外葉を摘み取り、球に被せておくことで、傷むのをかなり防げます。

葉の裏に卵がびっしり

葉の裏に数百個もの卵をびっしり産みつけるのは、ヨトウガというキャベツの天敵ともいえる害虫です。

防虫ネットでトンネルしていると産みつけられませんが、なにも対策していないと産みつけられます。

孵化した幼虫は葉をボロボロに食い荒らし、すべての幼虫を駆除するのは困難で、気づいたときには手遅れです。

葉の裏をこまめに観察して、卵の段階で見つけて葉ごと駆除しましょう。

植えたばかりの苗が倒れてる

ネキリムシに地ぎわの茎をかみ切られると倒れています。

ネキリムシは日中土の中に潜んでいて、夜になると外に出て食害します。

植えたばかりの苗が倒れていたら、近くの土の中にネキリムシの幼虫が潜んでいますので、探し出して捕殺しましょう。

アオムシに注意

アオムシ

キャベツはアオムシの大好物です。

アオムシがつくと葉を食べつくされてしまうこともあります。

モンシロチョウが飛んでいたら卵を探して、見つけしだい取り除きます。

苗を植えたら、防虫ネットでトンネルしてアオムシを防ぎましょう。

ヨトウムシに注意

ヨトウムシ

害虫のヨトウムシはかなりやっかいで、日中は土中に隠れていて、防虫ネットでトンネルしてもすでに土中にいることがあります。

昼間は土中に隠れていて、夜に活動するので、日中は見つけるのが難しく、しかも食欲は旺盛で、姿が見えないからと放っておくと、数日で葉脈だけ残して食べつくされます。

防虫ネットの裾を埋めて外からの侵入を防ぎ、それでも葉を大きく食害されてヨトウムシがいるようであれば、地面に接地している葉の下や、株元、マルチの下などをよく観察して、早めに見つけて駆除します。

結球しない

キャベツの作型には春まき、夏まき、秋まきの3つがあり、それぞれに適した品種があります。

品種の選び方を間違えるとうまく結球しません。

春まき、夏まき、秋まきに適した品種を選びましょう。

また、キャベツは低温にあたる前に葉数が増えていないと花芽が形成されて結球しなくなってしまいます。

低温になる前に大きく育っている必要があります。

種まきや苗の植えつけが遅れないようにしましょう。

そのほかに、キャベツは害虫がつきやすく、害虫のシンクイムシに成長点である芯を食害されたり、アオムシなどに葉をひどく食害されると、結球できなくなります。

防虫ネットでトンネルして害虫を防ぎましょう。

裂球対策

キャベツはせっかく結球しても、内部の成長に外部の肥大が追いつけなくなると、球が破裂することがあります。

[原因]

  • 内部の成長に外形の成長が追いつかない。
  • 雨などで水分をたっぷり吸収したあとに晴天が続く。

[対処方法]

  • 耐裂球性や収穫期の幅が広い品種を選ぶ。
  • ある程度(八割)結球したころ、株の周辺の根をスコップなどで切る。
  • 外葉を何枚か取り除く。

また、秋まきで種まきが早すぎて花芽が形成されたり、とり遅れによるトウ立ちでも球が割れます。

[原因]

  • 春まき、または秋まきで、結球してから畑に長く置いている。

[対処方法]

  • 早めに収穫する。
  • トウ立ちしにくい品種を選ぶ。

割れても食べられるので、家庭菜園の場合は問題ありませんが、せっかく結球したものが割れてしまうのは残念なので、裂球対策をしましょう。

生育途中のキャベツが割れる!?裂球する原因と対処方法

キャベツの保存方法

収穫したキャベツを保存するには、外葉ごと新聞紙などに包んでビニール袋に入れて、涼しいところで保存すると、二週間くらいもちます。

収穫が遅れて長く畑に置いておくと、結球した上部が割れてしまうことがあります。

芯も食べられる

太い芯は食べられませんが、捨てられがちな葉の芯は食べることができます。

太いところを包丁でV字にカットして、細かく刻んで葉と一緒に調理するか、即席漬けをつくるのもよいです。

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