辛み、甘み、旨みの三拍子がそろい、調理法を選ばない万能野菜のタマネギ。
タマネギを切ったときの独特のにおいや涙を誘う原因は硫化アリルという成分で、血液をサラサラにする効果があるとされ、注目されています。
株元が膨らむので根菜類のようですが、膨らんだ部分は葉が結球したもので、葉菜類の仲間です。
一般的なのは黄タマネギですが、ほかにも赤タマネギや白タマネギ、直径3~4cmのペコロス(小タマネギ)などがあります。
タマネギは栽培期間が長く、苗を作るなどの手間もかかりますが、病害虫が少なく、初心者でも育てられます。
9月に種をまいて苗を作り、11月に苗を植え付け、株元が肥大して葉が倒れたら収穫します。
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タマネギの育て方(畑)
目次
タマネギの種類
[黄タマネギ]
最も多く出回るタマネギ。
収穫後乾燥してから貯蔵されています。
[赤タマネギ]
皮や表層部分が赤紫色のタマネギ。
タマネギ特有の刺激臭も少なく、サラダなどの生食に向いています。
[白タマネギ]
辛みを抑えて品種改良されたものです。
甘みが強く、水分が多いのが特徴です。
サラダなどの生食に向いています。
[ベビーオニオン]
一口サイズのミニタマネギ。
直径3~4cm、辛みは少なく、煮崩れしにくいです。
丸のままシチューやカレー、ピクルスなどに使えます。
[新タマネギ]
春先に多く出回る新タマネギ。
収穫後乾燥させていないので、みずみずしくやわらかいのが特徴です。
サラダなどの生食に向いています。
栽培カレンダー
プランター向き品種の栽培カレンダーです。
タマネギは早まきすると大苗になり、トウ立ちして失敗しますので、早まきしないように注意します。
栽培メモ
- 科名
- ヒガンバナ科・ネギ属
- 別名
- オニオン
- 難易度
- ふつう
- 置き場所
- 日当たりのよい場所
- 背丈
- 30~40cmくらい
- 種?苗?
- 種から育てる(苗から育てることもできる)
- 生育適温
- 15~20度
- 追肥
- 1月中旬と3月上旬の2回
- 病害虫
- 病気:べと病など
害虫:アブラムシ、アザミウマなど
栽培のコツ!
- 種まきと植えつけ適期を守る
- 苗はやや浅めに植える
- 日当たりのよい場所で育てる
プランター向きの品種
[O・P黄]
生育旺盛で作りやすい品種です。
玉は球に近い甲高球で揃いも良く、平均320gの大玉となります。
貯蔵性も良く、12月末まで貯蔵が可能です。
[ターボ]
病気に強く、肥大性に優れる品種です。
玉は豊円球で揃いも良く、平均320gの大玉となります。
貯蔵性も良く、12月末まで貯蔵が可能です。
[ネオアース]
皮の照りや色艶が美しい品種です。
強勢で作りやすく、6月上旬~中旬ごろに収穫できます。
貯蔵中の腐敗が少なくて貯蔵性が大変高く、3月まで長期保存が可能です。
タマネギの苗を作る
苗を購入して植えつけることもできます。
苗を購入するさいは、新鮮な苗を買い、その日のうちに植えましょう。
タマネギは、種を早くまくと太い大苗になり、トウが立ってしまって失敗します。
逆に、種まきが遅いと、苗が小さく、小さい玉になってしまいます。
必ず地域の種まき適期を守ります。
タマネギの苗を作るには、空いているプランターを使用します。
プランターがなければ、発泡スチロールでも代用できます。
プランターに、培養土を深さの8分めまで入れ、平らにならします。
5cm間隔で軽く溝をつけ、溝の中に1cmほどの間隔で種をまき、培養土を薄くかけ、手のひらで土を軽く押さえます。
たっぷり水やりをします。
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プランターでの種まき
種まき後、土が乾いているようであれば水をやります。
混み合ってきたたら間引きを行い、最終的に株間が2~3cmになるようにします。
葉の数3~4枚、茎の太さが5~6mm(鉛筆より少し細いくらい)の苗に育てます。
準備するもの
48Lのプランター、種、培養土(14L×1)、ラベルなど。
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必要な道具を準備しましょう
苗の植えつけ
苗の太さが5~6mmくらい(鉛筆より少し細い)になったら、植えつけます。
苗は、根を切らないように深く掘り起こし、土を落とします。
深植えすると生育が悪くなり、株が腐ってしまうので、やや浅めに植えます。
プランターの底に鉢底石を約2cm並べ、培養土をプランターの深さの8分めまで入れて平らにならします。
条間を15cm、株間を10~12cmの間隔をあけて、根元の白い部分が少し見えるように、やや浅めに植え、たっぷり水をやります。
追肥
肥料不足は小玉の原因になります。
逆に、肥料を与えすぎるとトウ立ちの原因になります。
1月中旬と3月上旬、条間に肥料を施します。
生育の様子を見て適量を与えましょう。
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水やり
4~5月は生育が旺盛になり、玉の肥大もはじまるので、十分に水やりを行います。
収穫
5月下旬~6中旬に、植えつけた株の8割程度の茎が倒れたら、天気のよい日に抜き取って収穫します。
抜き取り後は、プランターの上に転がして2~3日乾燥させると、保存中の腐敗を抑えることができます。
注意する病害虫
タマネギは害虫や病気の少ない野菜ですが、害虫では、アブラムシやアザミウマがつくことがあります。
これらの害虫はウイルスを媒介するので、見つけしだい駆除します。
病気では、べと病が出ることがあります。
べと病は、カビの一種の病菌で、株全体の色が悪くなり、灰色のカビが生えてきたり、斑点ができたりします。
感染すると、生育が悪くなったり、腐敗して枯れることもあります。
湿度が高いと発生しやすいので、水のやりすぎないように注意します。
長く保存するには
収穫したタマネギを長く保存するには、天気のよい日に収穫して、雨の当たらない場所に転がして2~3日乾燥させ、風通しのよい場所に葉を縛って吊るすか、葉を切ってネットに入れて保存します。
ネギ坊主ができてしまった
収穫の時期が近づいたころ、花茎が伸びてしまうのをトウ立ちといいます。
トウ立ちしてしまうと、内部に硬い芯のようなものができ、食味が悪くなります。
原因は、植えつけた苗の大きさや植え付け時期です。
成長しすぎた苗が低温にさらされるとトウ立ちしてしまいます。
苗の太さや植えつけ時期に注意しましょう。