基本の種まきには、条(すじ)まき、点まき、ばらまきの3つの方法があります。それぞれの方法の基本を押さえて、野菜に適した方法を選びます。
いずれの方法も、成長に合わせて間引きが必要になります。隣の株と葉が重ならないように間隔をあけましょう。
条(すじ)まき
条まきは、棒や板などを押しつけてまき溝をつくり、縦または横に、一定の間隔で種をまく方法です。
溝を1本にするか、数本にするかは、それぞれの野菜が育つのに必要な株間によります。
あるていど株間をそろえたいホウレンソウや小松菜のほかに、小カブやラディッシュなどの小物野菜に適します。
風通しがよく、一直線にそろうので、間引きや追肥の作業がしやすいまき方です。
まき溝が1列なら1条まき、2列なら2条まきと呼び、条どうしの間隔を条間といいます。
[特徴]
- 株が一直線にきれいに並ぶ
- 間引きや追肥の作業がしやすい
- 間引き菜も楽しめる
[条まきに適した野菜]
小カブ、小松菜、シュンギク、ミニチンゲンサイ、ホウレンソウ、ミズナ、ミニ人参、ラディッシュなど。
[条まきの方法]
1.板切れや指などを使ってまき溝をつくります。深さは野菜の種類によって異なりますが、幅は1~2cm、深さは1cmくらいが目安です。
2.指先で種をつまみ、指先をずらしてひねるような感じで、種を溝にまきます。ホウレンソウや小松菜などは1~2cmの間隔をあけます。発芽率によって、高いもの少なめに、低いものは多めにまきます。
3.溝の両側の土を寄せて種にかぶせます。手のひらで表面を軽く押さえます。種と土が密着することで、種の乾燥を予防し、発芽をよくします。
ばらまき
ばらまきは、プランター全体に適当な間隔をあけて種をばらまく方法です。
野菜がごく小さく、密生して育てる方が効率のよいベビーリーフなどに適します。
種まきが簡単で、収量も多くなりますが、大きく育つ野菜では追肥がしにくく、風通しも悪く病気が発生しやすくなります。
[特徴]
- 種まきが簡単
- 収量が多くなる
- 間引き菜も楽しめる
[ばらまきの方法]
1.土の表面をなるべく平らにします。
2.プランター全体にパラパラとまんべんなく種をまきます。
3.ふるいなどを使って種が隠れる程度に均一に土をかけ、表面を軽く押さえます。
点まき
点まきは、一定の間隔で小さなくぼみをつくり、数粒ずつ種をまく方法です。白菜やキャベツ、インゲンや枝豆など、種が大粒で、大きく育つ野菜に適します。
種のムダが少なく、間引きがしやすいです。
[特徴]
- 種まきが簡単
- 種にムダがない
- 間引きが簡単
[点まきの方法]
1.手のひらを押しつけ、深さ1cmていどのくぼみをつくります。それぞれの野菜に必要な株間にあわせて、くぼみをつくります。
2.くぼみに数粒(3~5粒)の種をまきます。種が重ならないように等間隔にまきます。5粒の場合は、中央に1粒、周囲に4粒置きます。
3.周囲の土を寄せて、土をかぶせます。手のひらで表面を軽く押さえ、種と土を密着させます。
種まきは適期に
種まきをするときのポイントは、それぞれの野菜の種の特性を知り、発芽しやすい環境をつくることです。
種まきには野菜それぞれに適期があります。同じ野菜でも、品種によっては適期が違うこともあるので、カタログを見たり、種袋を読んで確認しましょう。
また、種には寿命があり、年数は野菜によって異なります。古い種は発芽しないことがあるので注意してください。
種まきの準備
野菜の中には、普通に種をまいてもなかなか発芽しないものがあります。
皮の硬いオクラなどは、種まきの前に水につけてよく吸水したものをまくと発芽がよくなります。
ほかの野菜も、一晩水につけてから種をまくと発芽しやすくなります。
じょうずに種をまくコツ
種まきは慣れないと意外と難しいものです。
レタスなどの極小の種は、折った紙の上に乗せて、楊枝などで一粒ずつ落としていくと簡単にまけます。
土のかぶせ方のコツ
人参、シュンギク、レタス、ゴボウは、好光性種子といって、種に光があたることで発芽が促進されます。
そのため、種にかぶせる土は薄めにしなくてはなりません。
逆に、大根やネギ、ウリ科の野菜は、土を厚めにかけて暗いほうが発芽します。
種をまいて土を被せたあとは、手のひらで土を押さえ、種と土を密着させます。
こうすると、土が乾きにくくなります。
水やりのコツ
ふつう、種まきのあと、発芽を促すために水やりを行います。
このときに、水の勢いが強すぎると種が流れて動いてしまい、発芽が一か所に集まってしまいます。
ジョウロで細かい水をまんべんなくかけてやりましょう。
決まった時間に定期的に水を与えるのではなく、天候に合わせて加減することも大切です。
水をやりすぎると土が固くなってしまうので、曇りがちで土が湿っているときは、水をやりすぎないように注意しましょう。
種まき後の管理も忘れずに
発芽するまでは、土を乾かさないようにすることがポイントです。
土が乾いたら水をやり、新聞紙などをかぶせて乾燥を防ぐと発芽がそろいます。