プランターで野菜を育てるからには、できるだけ農薬を使わないで育てたいものです。
病気や害虫を迅速に防除するためには、あらかじめ、育てる野菜がかかりやすい病気や害虫を知っておくことが大切です。
ここでは、プランター栽培でよく発生する代表的な病気や害虫の特徴や被害の症状をご紹介します。
目次
注意したい病気の種類と特徴
病気を防ぐには、よく日が当たる、風通しのよい場所にプランターを置いて、適期に種をまき、株間を適切にとって、肥料を適切に効かせて、健全に育てることが重要です。
ベト病
葉脈に囲まれた角型の黄色い病斑ができ、裏にカビが生え、さわるとべとつきます。
さらに症状が進むと病斑の中央部分が黒く変化して、組織が枯死します。
病斑が出た葉をみつけたら、切り取って畑の外で処分します。
[かかりやすい野菜]
キュウリ、ホウレンソウ、大根など。
白サビ病
粉をふいたような、いびつな白い斑点が葉裏にできます。
病斑が出た葉をみつけたら、早めに切り取って畑の外で処分します。
[かかりやすい野菜]
小カブ、小松菜、大根など。
軟腐病
傷口から菌が侵入し、地ぎわ近くが溶けたように腐って悪臭を放ち、葉はしおれます。
肥料(窒素分)過多で発生しやすく、高温多湿でも多く発生します。
[かかりやすい野菜]
大根、白菜、キャベツなど。
疫病
葉に水がしみたような病斑ができ、やがて褐色の大きな病斑ができます。
ときには白いカビがうっすら生えて、ひどくなると株は枯れます。
肥料のやりすぎに注意し、葉が茂りすぎないようにします。
[かかりやすい野菜]
トマト、ピーマン、キュウリ、ジャガイモなど。
うどんこ病
葉の表面に小麦粉のような白い斑点を生じ、しだいに広がり、症状が進むと葉全体や株全体が白くなります。
症状がひどいと株が枯れてしまうこともあります。
肥料は控えめにし、密植えを避けて風通しをよくします。
病気にかかった葉は早めに切り取り、畑の外で処分します。
[かかりやすい野菜]
トマト、ピーマン、ナス、キュウリ、インゲン、オクラ、カボチャ、人参など。
モザイク病
葉色がモザイク状に濃淡になり、縮れます。
果実が奇形になることもあります。
ひどいと株全体萎縮し、成長が止まります。
アブラムシやアザミウマなどがウイルスを媒介するので、防虫ネットを被せて予防します。
[かかりやすい野菜]
キュウリ、ピーマン、白菜など。
注意したい害虫の種類と特徴
害虫を防ぐには、防虫ネットを被せて予防し、それでも発生する場合は、よく観察して見つけしだい退治します。
アブラムシ
アブラムシには数種類あり、グリーンやグレー、赤色など、体色が異なります。
体長は0.5mm~2mm程度で、葉、茎、蕾、実に群生して汁を吸い、株を弱らせます。
ウイルスを媒介して病気の原因にもなります。
[つきやすい野菜]
ほぼすべての野菜に寄生しますが、とくにトマト、ピーマン、ナス、オクラ、キュウリ、インゲン、キャベツ、ホウレンソウ、小松菜、チンゲンサイ、ブロッコリー、白菜、レタス、シュンギク、ミズナ、人参などに多く群生します。
コナガ
蛾の仲間で、幼虫が葉を食べます。
薄緑色の体色で、体長は最大でも1cm程度です。
葉に半透明の痕が残るので見分けがつきます。
[つきやすい野菜]
アブラナ科などの野菜。
アオムシ
モンシロチョウの幼虫で、アブラナ科の野菜の葉を食べます。
多発すると葉脈だけを残して食べつくされることがあります。
[つきやすい野菜]
アブラナ科などの野菜。
ナメクジ
成虫、幼虫ともに新芽や若葉を食べます。
夜間に活動し、はった跡に銀色の粘膜が残ります。
[つきやすい野菜]
多くの野菜。
コナジラミ
体長1mm程度の白い虫で、株を揺らすと白い粉が舞い上がるように飛び立ちます。
成虫も幼虫も葉の裏に群生して汁を吸います。
被害がひどいと株を弱らせることもあります。
[つきやすい野菜]
トマト、ナス、キュウリなど。
キスジノミハムシ
体長2~3mm程度の黒地に黄色い線状の模様が入った甲虫です。
葉を食べ、1~2mmほどの穴をたくさんあけます。
[つきやすい野菜]
キャベツ、ダイコン、ハクサイ、カブ、コマツナ、チンゲンサイなど。
キアゲハ
キアゲハの幼虫が葉を食べます。
緑色と黒色の鮮やかな縞模様で、体長は5cmほどに成長します。
[つきやすい野菜]
人参、パセリなど。
ハダニ
体長は0.5~1mm程度で、薄緑色や赤など数種類います。
成虫、幼虫が集団で葉の裏に寄生して汁を吸います。
被害がひどいと光合成が妨げられて枯れてしまうこともあります。
[つきやすい野菜]
多くの野菜。
ハモグリバエ
ハエの仲間で、小さな成虫が葉肉内に卵を産み、ふ化した幼虫が葉肉の中を線を描くよう食い進みます。
それが白い線で絵を描いたように見えることから、エカキムシとも呼ばれます。
葉に食害の痕を見つけたら、白い先端に潜む幼虫や蛹を押しつぶして駆除します。
カメムシ
カメムシには多くの種類がいて、成虫、幼虫が汁を吸って加害します。
マメ類では、さやの中の実を吸汁して加害するため、豆がふくらまなかったり、ひどい場合はさやが落ちてしまいます。
見つけたら捕殺します。
ニジュウヤホシテントウ
28個の斑紋のあるテントウムシに似た甲虫で、テントウムシダマシとも呼ばれ、幼虫のころは2~6mmの毛虫状で、成虫になると7~8mmになります。
葉を食べてボロボロにします。
[つきやすい野菜]
ナス科の野菜。
ウリハムシ
8mmほどの橙色の甲虫で、葉を食害し、草勢が衰えます。
幼虫は根を食害ししおれ症状がひどくなり枯死します。
見つけたら手で捕殺し、多発したら薬剤などを散布します。
[つきやすい野菜]
ウリ科の野菜。
病気でも害虫でもない生理障害
病害虫以外の原因で、野菜の生育が悪くなる場合があります。
これは野菜に生理的な機能障害が起きているのが原因で、生理障害と呼びます。
トマトの実の尻腐れ
トマトの幼実の頂部が暗褐色に変色して腐ってしまうのは、カルシウムが不足したことで起こる生理障害です。
乾燥などによる石灰の不足や、根が弱ると起こります。
石ナス
ナスでかたくて小さな実ができることがあります。
石ナスといって、うまく受精できなくて実の肥大が進まないと起こります。
人参の根の割れ
人参の根が生育後半に割れてしまうことがあります。
裂根といって、芯部の肥大に肉部の肥大が追いつかないために起こります。
追肥は早めに行い、生育後半の追肥は避けます。
糸でくくったようなキュウリ
キュウリの実に糸でくくったような線が入り、くびれ果やくくれ果と呼びます。
高温や乾燥、成り疲れなどによって起こります。