畑の土にはいろいろな種類があり、それぞれ性質が異なります。
土には、粒の大きな砂と、粒の小さな粘土、腐植、土壌生物の4つからなり、そのほかに水や空気が含まれています。
土の性質は、おおまかに砂と粘土の割合によって決まります。
土によって通気性、保水性、排水性が違いますから、土の性質がわからないことには、どう土をつくればよいのかもわかりません。
畑の土が砂質なのか、粘土質なのか、それとも中間なのか、土の性質を知ることからはじめましょう。
畑の土質を知ろう
砂と粘土のバランスが土質です。
砂は粒子が大きく通気性や水はけがよく、粘土は保水力や保肥力があります。
野菜の生育に向くのは、両方がバランスよくミックスされた水はけ、通気性、水持ちのよい土です。
砂と粘土の割合は、指の感触により判断することができます。
まず、畑の土を少量とり、水を少し加え、こねた感触から判断します。
[固まらない]
まとまらずにぽろぽろと崩れるのは、砂質の土です。
ほとんど砂ばかりで、ざらざらしているのが特徴です。
保水力や保肥力に乏しく、肥料を施しても雨によってすぐに流れてしまいます。
堆肥をすき込み、保水力や保肥力を高めましょう。
保湿力のあるマルチも効果的です。
[細長い棒になる]
粘りが強くて細長い棒になるのは粘土質の土です。
ざらざら感はなく、ツルツルしているのが特徴です。
排水性と通気性が悪く、根が酸素不足を起こしてしまいます。
堆肥をすき込み、排水性や通気性を高めましょう。
排水性がよくなる高畝も効果的です。
[太い棒になる]
砂と粘土を適度に含んだ野菜の栽培に適した土です。
ざらざらとした砂の感じがあり、粘り気もあるのが特徴です。
水はけ、通気性、水持ちがよく、耕しやすい土です。
土の種類を知ろう
野菜栽培では赤玉土と黒土が基本になります。
赤玉土は、関東ローム層の火山灰土の一種で、黒土より下の層にある赤土をふるいにかけたものです。
赤土は単粒構造なので、そのままでは植物栽培に適していません。
土を乾燥させ、微塵を取り除き、団粒構造にした赤玉土にします。
水はけ、通気性、保水性に優れていて、プランターなどの栽培に最適です。
黒土は、火山灰土の一種で、軽くて柔らかく、色が黒いのが特徴です。
通気性は劣りますが、保水性に優れています。
[赤玉土]
粘土質の火山灰土壌を掘り上げ、乾燥、ふるい分けした団粒構造の土。
pH4.0~6.0の弱酸性で、アルミニウムや鉄分が多い。
一般に大粒、中粒、小粒に分けて販売されている。
[黒土]
関東ローム層の表土。
赤土に落ち葉や動物の糞、遺体などの有機物が作用して黒色になったもの。
弱酸性で、軽くて軟らかく、有機物に富む。
保肥力、保水性はよいが、通気性はあまりよくない。
[荒木田土]
荒川区付近の水田地帯にある土を採取したもの。
粘土質で固まりやすいが、保肥力、保水性がよく、キク、アサガオの栽培に適する。
[真砂土]
花崗岩が風化してできた土。
pH5.0~5.5と酸性が強い。
風化の進んだものは、粘土質で通気性悪く、進んでいないものは、砂質でシバの目土として使われる。
[鹿沼土]
鹿沼地方で産出される火山灰下層の軽石で、黄色い。
pH5.0~6.0と弱酸性で、保水性、通気性に富み、サツキやシャクナゲの栽培に適する。
[桐生砂]
鹿沼土よりも深部から採取される黒褐色の砂礫。
やわらかく、保水性、通気性に富み、東洋ランやオモトの栽培に適する。
[富士砂]
富士山周辺から採取される火山礫。山草栽培に適する。
[腐葉土]
広葉樹の落ち葉を積み重ねて発酵させた代表的な改良用土。
保水性、通気性、保肥性に優れ、土質をよく変える。
[牛糞堆肥]
樹皮や牛糞などの有機物を積み重ねて発酵させたもので、通気性、排水性に優れ、主に菜園や花壇にすき込んで使用される。
[ピートモス]
ミズゴケが腐植化したもの。
ほぼ無菌だが、酸性度が強いので、酸度調整をして使用する。
保水性がよいので、種まき用土や育苗用土に混合して使用される。
[パーライト]
真珠岩を高温、高圧で焼成した白色の人工用土。
通気性、排水性に優れ、非常に軽いので、水に浮く。
通気性と水はけを改良する目的で他の用土に混合して使用される。
[バーミキュライト]
蛭石を高温で加熱し、元の容積の10倍以上に膨張させたもので、非常に軽く、保水性、通気性、保肥性に優れる。
種まき用土や挿し木用土として混合して使用される。
[苦土石灰]
石灰(カルシウム)と苦土(マグネシウム)の両方を含む肥料で、酸度の調整に効果があるので、肥料として使うほか、酸度調整剤として使われることも多い。
土の硬さを調べよう
野菜が根を深く広く張るためには、深くまでやわらかく、通気性のよい土が不可欠です。
土の硬さを調べるには、畑の土に支柱などの棒をさしてみます。
野菜は一般的に、深さ20cmまで根を張り、最大で60cmほどまで根を張ります。
力を入れずにさしてみて、20cmまで棒が入り、力を入れてさしてみて、60cmくらいまで棒が入れば、野菜は根を張ることができます。
力を入れても棒が入らないほどの硬い土では、野菜は根を張ることができません。
土が硬い場合は、スコップなどで全面を深く掘り起こしましょう。
土壌酸度を調べよう
土の酸性の度合を表現する方法に酸度とpHがあります。
酸度は酸性を中和するために必要な石灰の量を表します。
pHは水素イオン濃度を表す指標で、7が中性、7より小さいと酸性となり、7より大きいとアルカリ性になります。
[pHの計測]
土を少量取り、倍量の蒸留水を入れてよく振ります。
しばらく静置し、上澄み液に市販の試薬をたらし、色が変化したら標準の色と比較してpHの値を求めます。