プランター栽培でも人気の大玉トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、キュウリなどの実がつく野菜は、成長するにしたがい、「支柱立て」「誘引」などの作業が必要になります。
また、大玉トマト、カボチャ、ミニメロン、小玉スイカなどは、確実に実をつけるために、「人工授粉」を行います。
健全に株を育てるためには適切な手入れが必要で、収量を増やしたり、実を充実させることができます。
支柱立て
草丈が伸びる実もの野菜や、つるが伸びる野菜には、大きくなった株を支えたり、伸びたつるを這わせるための支柱が必要です。
とくにプランターで草丈の高くなる野菜を育てるには、実がつくようになると支柱にかなりの重さがかかり、風の影響を受けやすいので、太めの頑丈な支柱を組んで株を支える必要があります。
実がついて株が傾いてくる前に、プランターに支柱を立てて、紐で茎と支柱を8の字に結びつけて固定します。
カボチャやメロン、スイカなどのウリ科の野菜では、支柱のほか、キュウリネットなどのつる植物用のネットも使用します。
支柱を立てることで、枝葉を広げ、まんべんなく日が当たり、風通しがよくなって病気の予防にもなります。
また、わき芽かきや収穫などの作業もしやすくなります。
野菜によっては、本支柱を立てる前に、ポット苗と同時に仮支柱を立てて茎を固定し、苗のぐらつきをおえさえます。とくに風の強い屋上やベランダなどで効果的です。
誘引(ゆういん)
伸びてきた茎や枝、つるを支柱やネットに紐で結びつけることを誘引といいます。
トマト、ナス、キュウリをはじめ、茎やつるが支柱に絡みつかない野菜は、茎が伸びるにつれて早めに支柱に誘引し、支柱に固定してやります。
誘引することによって、効率よく管理や収穫ができるようになります。
人気のゴーヤなどを使用したグリーンカーテンは、つるをネットに誘引して育てます。
[支柱と茎の結び方]
支柱と茎を結ぶときは、茎が成長する余裕をもたせ、茎と支柱を紐で8の字で結びます。
摘芯(てきしん)
茎の先端を摘みとることを摘芯といいます。
摘芯することで、主枝の成長が止まり、わき芽が伸びるので側枝の数を増やすことができ、収穫量が上がります。
また、株の伸びを止めたいときや、ついた実に養分を回したいときにも、摘芯して伸びを止めます。
[トマトなど]
草丈が支柱の高さを越えたら摘芯を行います。
花や実を充実させる効果があります。
[キュウリやカボチャなど]
摘芯してわき芽を出させることで、収量をアップすることができます。
わき芽かき
葉のつけ根や株元から出る不要なわき芽を小さなうちに摘みとることをわき芽かきといいます。
わき芽を適度に摘むことで、実に栄養が行き届くようになるほか、葉が茂りすぎるのを抑えて日当たりや風通しもよくなり、病気の予防になります。
ハサミで切り取るとウイルスが伝染することがあるので、晴れた日に手でそっと摘み取りましょう。
[大玉トマト]
余分なわき芽をすべてかいて主枝の1本にします。
[ナスやピーマン]
わき芽を何本か残して、ほかはすべて摘み取ってしまいます。
人工授粉
畑などでは昆虫が受粉を行うのがふつうですが、プランター栽培では株数が少なかったり、昆虫が少ないこともあるので、より確実に実をつけるために、雄しべの花粉を雌しべにつけたり、株を揺らして人工的に授粉させます。
人工授粉に適しているのは、花が咲いた日の午前中です。遅くとも、9時前には作業を終えるようにします。
摘果(てきか)
実が大きくなる大玉トマト、カボチャ、スイカなどは、実の数を制限して、残した実に養分を集中させます。
摘果しないでたくさんついた実を成長させると、養分が分散して実が小さくなり、いい実が収穫できなくなります。
切り戻し
病害虫に侵されたり、老化してしまった茎や葉を取り除き、新しい葉の生育を促します。
ナスの更新剪定は、夏の間に生い茂った古い枝を切り除き、新しい枝を出させると、秋にもおいしい秋ナスが収穫できます。