家庭菜園で野菜を楽しんでいる分には、何の問題もありません。
とれた野菜を楽しく食べましょう。
そして、もしも野菜がとれすぎたなら、近所に配りましょう。
それも問題ないのです。
さらに、無人販売コーナーで売るのはどうでしょう。
あまり人気のないところで、さらに自分の土地ではないところで売るのは少々問題がありますが、摘発されることはまずありません。
セーフですね。
では、本格的にスーパーのように卸すのはどうでしょうか。
そして他の農家さんが同じように売り出したら・・・そして価格競争になったら・・・
しかし大丈夫。
個人で楽しんで売るうちは、そんなにトラブルは起きません。
安心して、野菜を販売してください。
しかし、スーパーが野菜を売るとなると、あまりに極端な安売りは問題が生じることがあるのです。
では、どのような問題なのでしょうか。
公正取引委員会から警告が・・・
実は愛知県のスーパーが、公正取引委員会に指導されました。
独禁法違反とのことです。
野菜の販売に独禁法違反なんて関係あるのでしょうか?
実はそれが、大いにあるのです。
このスーパーは、値下げ競争をしていました。
たとえばもやしやダイコンなどを1円で販売し、集客につなげていたのです。
1円だったらあきらかに利益はでませんよね。
いくらダイコンやもやしの原価が安いといっても、1円では原価割れです。
しかしスーパーはそれでも良いと考えたようです。
なぜなら、卵や豆腐、牛乳などを安売りするのと同様、スーパーの集客に1円もやし、1円ダイコンを使ったのです。
これは一見すると、まっとうな戦略のように思えます。
しかし、もやしやダイコンを原価割れの1円で販売してしまったら、その他のスーパーはどうなるのでしょうか?
この時、愛知県のスーパーが独禁法違反といわれてしまったのは2店舗。
その2店舗だけで、競争が行われ、1円で販売されていたのです。
そうすると、その2店舗以外は、ダイコンやもやしを定価で売るしかないため、まったく競争がまともに成立しなくなります。
これが、独禁法違反といわれた所以です。
周辺のスーパーが100円よりも高く販売しているキャベツやほうれん草を1円で売ったことが問題視されました。
今回独禁法でだめといわれたお店は、その2社が競争しあい、価格を下げていったのです。
どんどん増えていってた1円野菜
実はこの1円野菜。
公正取引委員会の調査が入るまで、どんどん拡大していったのです。
ダイコンやもやしだけでなく、キャベツ、ほうれん草、などなど、いわゆる料理でつかう主力野菜がターゲットとなりました。
これらものもが1円で販売されていたら、消費者にとっては最高ですよね?
絶対にそこのスーパーで買おうと思いますよね。
しかしそういうわけにはいかないのです。
こうして1円野菜が増えていくことで、他のスーパーの客足が途絶え、大きな影響を与えるようになってしまいました。
ずっと1円で販売し続けたことが、大いに問題視されたのです。
1円で売っても良いケーすもある
1円で野菜を売っては絶対にだめということはありません。
たとえば日替わりのセールで、今日だけはダイコンが1円なのでオトクですよ、と言う販売方法はセーフです。
正当な販売スタイルです。
他にも、傷んだ野菜を販売する際などに、安売りしていることはあるでしょう。
そんなときは特に問題ありません。
しかし、常日頃から1円で売っていると、問題になることがわかりました。
スーパーは要注意ですね。
私たちは消費者として、1円の野菜を買うことには問題ありませんが、それでも法律違反をして売っている野菜を買うのはよくないことです。
八百屋の方が、知らずにやっているのでしたら教えてあげましょう。
1円で売ることのデメリット
たとえば、もやしを1円で販売したとしましょう。
メリットは簡単にわかりますよね。
私たち消費者は、喜んで1円のもやしを購入し、しかもたくさん購入することができるようになります。
もやしは足の早い野菜としても知られていますが、いつでもスーパーにいけば1円でもやしを買うことができるので安心です。
そのスーパーは他にも、ダイコンやほうれん草、キャベツといった主力野菜も1円で販売しているのでかなりオトク、私たちはそのスーパーのファンになってしまいます。
特に冬場は鍋物に助かる!そんなこんなで、私たちはそのスーパーを愛用するようになります。
スーパーにとってもメリットは甚大です。
もやしの分は損しますが、もともと仕入れ価格も非常に安いものです。
しかも大量に売れるので大量に仕入れることができ、原価はますます下がります。
1円で仕入れることは不可能でも、それ以上の利益が他の商品の販売から生まれるのです。
しかも、近隣のスーパーのお客さんも、みんなが自店舗に来てくれるのです!
これは最高の集客になって、スーパーの店長だったら大喜びかもしれません。
しかし、これは独禁法違反になってしまうのです。
やってはいけないことはやってはいけないことです。
ルールを守るしかありません。
スーパーに悪気はないと思いますが、行き過ぎた競争原理は問題だということですね。
1円でもやしを売り続けると、今度は消費者マインドとして「もやしは1円で買うもの」という気持ちが形成されてしまいます。
すると、今度は仕入れ価格そのものが下がってしまいます。
ものが安ければ安いほどよいというのは、デフレマインドで、これではもやし業者が壊滅してしまいます。
1円で売り続けることは、もやしの製造業者、販売業者にとってもよくないのです。
もやしは暗い場所で育つのでシャキシャキする
ところで、もやしはなぜ食べるとシャキシャキするのでしょうか。
それにはわけがあります。
もやしは育成環境において、暗い日の当たらない場所で育ちます。
よって、野菜は光を浴びないままで大きくなると、細胞ごと成長してしまうのです。
細胞がとても大きいため、光を浴びて育った他の野菜よりも、細胞が大きく育っているのです。
よって、シャキシャキするのです。
これが太陽の光にさらされて育ったもやしであれば、シャキシャキはしません。
噛みごたえがあるんですね、とてもおもしろいですね。
もやしあれこれ
もやしにはビタミンCが豊富に含まれています。
しかし栄養価としてはそれほど高くないのですが、なにせ育成コストが安く、何の料理にでもかさ増しができるため重宝がられます。
もやしは白菜と同程度のカロリーであり、結構ヘルシーです。
ダイエットに最適で、ポン酢などをかけて食べると美味しくいただけます。
炒めても美味しいですし、レンジでチンしてもいただけますし、ゆでても美味しいと思います。
いろいろなバリエーションが楽しめるのがもやしのいいところですね。
おすすめなのは、耐熱皿にもやしを並べて、その上に豚肉のスライスをのせ、塩コショウとチーズをふってレンジで数分チンすることです。
これで肉汁がたっぷりはいったおかずがいただけます。
仕事から帰ってきて疲れて料理がしたくないときに、でも栄養だけは取りたい時に、ビタミンCとカリウム、ビタミンB群とお肉がとれるこの簡単レンジでチン。
ぜひ試してみてください。
今回はもやしを1円で販売していたスーパーが独禁法違反になってしまったことをお伝えしました。
スーパーで野菜を買うときは、そんなことも気にしてみると面白いかもしれません。
(文/渡邉ハム太郎)