「苗半作」という言葉をご存知ですか?
「良い苗ができれば半分は成功した」という意味で、米作りで昔から伝えられてきた言葉です。
苗の良し悪しは、その後の野菜の生育に大きく影響します。
良い苗を選ぶことは、充実した収穫への第一歩です。
園芸店やホームセンターの店頭に並んだたくさんの苗を目にしたら、よい苗ってどの苗?と悩んでしまうこともあるでしょう。
ここでは、たくさん並んだ苗の中からどのように選んだらよいか、良い苗を見分けるポイントを解説します。
よい苗の特徴
野菜には、植えつけに適した苗の大きさがあります。
小さすぎても大きすぎてもダメで、植えつけ後の生育が悪くなってしまったり、最悪の場合は枯れてしまうこともあります。
まずは、各苗に共通する、よい苗の特徴を押さえておきましょう。
- 病気や害虫に侵されていない
- 茎の節間が短くて太く、しっかりしている
- 葉が大きくて厚く、色が濃い
- 子葉がしっかりしている
- ポットが大きい(根が良く張るため)
- 老化苗(古い苗)でない
- (接ぎ木苗)接いだ部分が密着してしっかりしている
悪い苗
売れ残って育ちすぎた苗は、活着が悪く、その後の生育が悪くなります。
- 下葉が枯れたり黄色くなったりしている
- ポットの底の穴から黄色い根が出ている
健全で強い苗を選ぼう
苗を選ぶ際、何を基準にすれば良いのだろうか?
まず売れ残った苗は避けることです。
売れ残った苗は老化苗になっている可能性があり、弱っているかもしれません。
せっかく苗を買って畑に植え付けても、弱った苗は短期間で枯れてしまったり、病気が発生してしまうこともあります。
また、初心者の場合、弱った苗では枯らせてしまうことが多くなります。
少しでも健全な苗を選ぶことが大切です。
※時期をずらして栽培するために、あえて売れ残った苗を買うことがあります。
次に大きめで強そうな苗を選ぶことです。
大きめの苗とは、茎が太くて、生育に多めに時間をかけられた、しっかりした苗です。
それとは逆に、節間が長くてひょろっとした苗は避けます。
苗作りは、暖かいハウスで温度や水分管理をされて行われます。
それを路地に植えるわけですから、環境が変わっても丈夫に育つように、しっかり育てられた苗を選びます。
できるだけ早く植えよう
せっかくよい苗を購入しても、温度や水やりなどの管理がしっかりできないと弱ってしまいます。
また、苗といえども、成長を続けています。
長期間植えずにいると、老化苗になってしまいます。
自根苗と接ぎ木苗の違い
苗の種類には、一般的な自根苗とは別に接ぎ木苗があります。
接ぎ木苗は、根系(根の部分)とシュート系(地上の部分)とが別々の植物からなるもので、2つの植物を接いで作られた苗です。
接いだ上部(穂木)には野菜が使用され、接いだ下部(台木)に病害虫に強い植物などが使用されます。
接ぎ木苗は自根苗に比べて値段が2倍から3倍もします。
それだけ高価であっても、接ぎ木苗は好んで買われています。
では、自根苗よりも高くても買われる、接ぎ木苗の魅力とは何だろうか?
それは、台木に病害虫に強い植物が使用されることで、根への病害虫の被害の軽減に期待ができることです。
それにより、連作障害が起きにくくもなります。
自根苗と接ぎ木苗には、次のようなメリットがあります。
[自根苗]
接ぎ木苗に比べて値段が安い。
[接ぎ木苗]
根に病害虫がつきにくい(連絡障害が起きにくい)。
生育が早くなり、収量も多くなる(根の張りが良いため)。
肥料の吸収が良い(根の張りが良いため)。
根が高温や低温、乾燥や過湿などに強い。
家庭菜園ではスペースの狭くてローテーションができず、同じ場所で同じ植物を繰り返し栽培してしまい、連作障害が発生してしまう傾向にあります。
その対策としても、耐病虫性の高い品種で接ぎ木された苗が効果的です。
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野菜の接ぎ木苗とは
せっかく苗を買って野菜を育てるわけですから、少しでも病害虫に強い苗を選びたいものです。
いろいろな苗があります
[接ぎ木苗]
野菜と別の植物を接いだ苗です。
[アスパラガスの苗]
根株といって、数年間栽培された株の根の部分です。
[サツマイモの苗]
芋から出た蔓の先端を切りとった苗です。
[タマネギの苗]
畑から掘り上げた苗です。
どんな苗であっても大切に育てよう!
通販では苗を選ぶことができません。
また、余ったからと苗を頂くことがあります。
苗を選べないような状況であれば、必ずしも良い苗が手に入るとは限らないものです。
手に入れた苗に難があったからと悲観するのではなく、どんな苗であっても大切に育てましょう。
どれも同じように見える苗であっても、手に入れた苗とは生涯に一度限りの出会いです。