肥料には、窒素N、リンP、カリウムKが多く必要です。
一般に家庭菜園では、タンパク質の元となる窒素が不足しがちです。
茎葉と根の全収穫物が茂っている場合、平米あたり10kgほどあります。
そして窒素の含有量は、全体の0.1%ほどとなります。
窒素は平米あたり10gが作物に吸収されるのですね。食物の9割は水分ですので、これはだいたい妥当な数字かと思われます。
では、窒素を10gほど使えばいいのかというとそうではなく、使った肥料がすべて吸収されるわけではありません。どれぐらいの割合で使われたかの利用率が大切になってきます。有機肥料は利用率30%ほど、化学肥料は利用率50%ほどになります。
その他、地面から窒素を吸収するのです。
無肥料で作った地面の場合、家庭菜園ですと収穫量は平米あたり5kg以上にはなるでしょう。その0.1%となると、地面からの窒素は5gほどになります。
ですので、家庭菜園では、肥料は平米あたり発酵鶏糞500g窒素成分2%のほか、尿素窒素成分45%ほどを10gほどいれるといいでしょう。
利用率から吸収される窒素量を計算すると、発酵鶏糞から3グラム、尿素から2.3グラム、地面から5g、合計で10.3gです。
これで10gの窒素が吸収されていることがわかります。
これがだいたいの普通の肥料の使い方の標準的なものです。
葉物野菜以外は、茎葉の大半と根っこは土に戻すことで、地力が超えていきます。
発酵鶏糞は、すでに発酵が終わっているため、においもありません。
地力を重んじよう
わかりやすくするために地面、と書きましたが、正確には地力です。
作物が育つためには、この地力がとても大切になります。
地力さえあれば、どんな作物でもよく育ってくれるのです。
冬には油粕を使用するといいでしょう。
窒素全量は5%程度になります。窒素は光合成をするのに葉緑素の主成分です。
作物の成長を早めるためには、最も重要な肥料です。
油粕には、有機肥料の原料として、窒素が多く含まれています。
油粕肥料は、油成分が残っていますので、水をはじいてくれます。そのため腐りにくいのです。そのため、ちょっと効くのが遅いという弱点があります。ですので冬に使うのがいいのです。油粕は、長期に渡って肥料がでてきます。肥料というよりも、地力を高めるのにちょうどいい原料です。
地力が低いなと思うところには、多めに入れましょう。
平均で平米あたり100グラムいれるといいでしょう。窒素の全量は5%ほどなので、平米あたり5gの地力がついた計算になります。
この5gがすべて野菜に使われるわけではなく、窒素の一部が使われます。そして使われなかった窒素は、地力として残ります。
窒素はタンパク質を作り、葉緑素の元になる肥料です。
植物の初期や葉や茎をそだてるのに必要不可欠なのです。
窒素が不足すると、葉が黄色く変色したり、落ちてしまったりします。
茎の伸び方も鈍くなりますし、順調に生育しません。
油粕の他にも、魚粉、骨粉、鶏糞、牛糞、草木灰などの有機質肥料があります。植物や動物の死骸や排泄物などを原料にしています。
微生物がこれらを分解した後に吸収されるため、即座に効果があるわけではありません。ですが、ゆっくり、長期にわたっての効き目が期待できます。地力を維持するのに役立つと言えるでしょう。仮に補給しすぎても、肥料やけしにくいのです。悪臭のない無臭肥料もたくさん登場しており、使いやすさは年々向上しています。
油粕の場合は、植物の元肥や置肥などに利用できます。発酵と未発酵のものがあり、発行済のものを使うといいでしょう。窒素が多く含まれていて、有益な肥料になります。
(文/渡邉ハム太郎)