のらぼうは、アブラナとキャベツ類が交雑してヨーロッパに広まった洋種ナバナの一種です。
江戸時代にはすでに「闍婆菜(じゃばな)」という名で東京都西多摩地方を中心に栽培されていました。
生命力の強さと栄養価の高さから、天明の大飢饉、天保の大飢饉のときに人々を救い、救荒野菜とも呼ばれています。
旬は冬から早春にかけてで、クセがなく、春に立つトウ(花茎)は糖度が高く、おひたし、和えもの、みそ汁、炒めものなどで食べると抜群に美味しい菜花です。
のらぼうは自分の花粉で受粉してしまう特性があり、ほかのアブラナ科の野菜とは交雑しないので、種をとることもできます。
寒さに強くて育てやすく、春にトウがある程度伸びたら摘み取るだけなので、家庭菜園におすすめの野菜といえます。
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目次
のらぼうの育て方
9月下旬に種をまいて苗を作り、11月初旬に苗を畑に植えつけ、翌年の3月下旬頃からトウ(花茎)を摘み取って収穫します。
寒さに強く、氷点下になっても枯死することはなく、寒さの厳しい冬の間も生育します。
春に伸びてきたトウを摘むと、柔らかくて美味しいわき芽が次々と出てきます。
概要
生育温度 | 5~20℃。 | ||||
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連作障害 | あり。1年以上あける。 | ||||
元肥 | 苦土石灰と元肥を入れる。 | ||||
種まき時期(苗作り) | 9月下旬。 | ||||
苗の植えつけ |
11月上旬。 畝幅:90cm。 黒マルチ:あり(なくても良い)。 株間:2列、40cm。 |
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栽培中の管理 |
害虫対策:防虫ネットでトンネルした方が安心。 追肥:トウ(花茎)が伸びはじめたころ。 |
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収穫 | トウ(花茎)が伸びて蕾が見えてきたら収穫。わき芽は開花前に順次折りとって収穫。 | ||||
病害虫 |
主な病気:べと病や根こぶ病など。 主な害虫:アブラムシやアオムシなど。 |
ポイント
- 連作を避ける。
- 生育初期は害虫の食害に注意する。
- 肥料を切らさないように追肥する。
- 伸びてくるトウ(花茎)を開花する前に順次折りとって収穫する。
栽培時期
※地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。
発芽適温は20℃前後、生育適温は5~20℃で、比較的冷涼な気候を好みます。
畑の準備
苗を植える2週間前に、苦土石灰を畝を立てる場所全面にまいてよく耕し、植える1週間前に、堆肥と化成肥料をまいてよく耕して混ぜ込み、畝を立て、黒マルチを張ります。
黒マルチは、雑草の抑制や、地温を上げる効果に期待できます。
苗を作る
畑に直まきでもつくれますが、生育がばらつきやすいので、苗を作ってから植えたほうが確実です。
畑で苗を作る場合は、条間10cmで条(すじ)まきし、込みあったところを間引きしながら本葉5~6枚になるまで育てます。
ポットで苗を作る場合は、ポットに種を3~4粒まき、本葉1~2枚のころに1~2本に間引き、本葉5~6枚になるまで育てます。
トレーやプランターでも苗を作ることができます。
苗を植える
苗の本葉が5~6枚になったころ、2列とし、40cm間隔で植えます。
苗を植えつけたら、まわりの土を株元に寄せて押さえ、水をやります。
害虫対策
のらぼうは害虫の少なくなる厳冬期に向かって栽培しますが、アブラナ科でアオムシがつきやすいので、苗を植えたらすぐに防虫ネットでトンネルした方が安心です。
追肥
のらぼうは伸びてくる花茎を次々と長期間収穫するので、肥料を切らさないように育てるのがポイントです。
トウ(花茎)が伸びはじめたころ、株間に化成肥料を施します。
収穫
トウ(花茎)が伸びて蕾が見えてきたら、根元から折って収穫します。
次々とわき芽が出てくるので、開花前に順次折りとって収穫します。
のらぼうは収穫後、鮮度が落ちやすいので、必要なときに収穫して、とりたてを食べるとよいでしょう。
病害虫
栽培期が厳寒期であるため、病害虫の発生は少ないですが、3月以降はアブラムシやアオムシなどが発生します。
病気では、べと病や根こぶ病などが発生することがあります。
アブラナ科の連作を避け、防虫ネットでトンネルして害虫を寄せつけないようにしましょう。
直まきする場合
種まきは、苗作りと同じ9月下旬に行います。
黒マルチを張って準備した畝に、2列で、株間も同じ40cmで、一カ所に3~4粒ずつ種をまきます。
本葉が1~2枚展開したころ、生育の悪いものを間引いて1本にします。
ヒヨドリに注意
ヒヨドリなどの鳥はのらぼうの葉を食害します。
数羽で食害にあうと、あっという間に葉を食べつくされてしまいますので、対策の必要があります。
害虫同様、防虫ネットでトンネルするのが効果的です。
のらぼうの上にテグスを1本張ると、鳥が寄りつかなくなります。
種とり
のらぼうはほかのアブラナ科と交雑しないため、花を咲かせるだけで簡単に種をとることができます。
収穫が終わるころ、1株をそのまま畑に残して花を咲かせ、サヤが茶色くなったら株元から刈り取り、新聞紙の上などに広げて乾燥させます。
サヤから種をとりだして、紙袋や缶に入れ、秋まで冷蔵庫で保存します。