有機栽培では、土壌の微生物を殺さないように農薬を使わないで野菜を育てます。
そのため、害虫の予防、害虫の駆除も農薬を使わずに行います。
それには第一に、野菜が育ちやすい環境を作ることが大切です。
とくに有機栽培では種まきや苗の植える前に行う土づくりが重要です。
何年もかけて堆肥をすき込んで土づくりを行うことで、土の中ではたくさんの微生物が活動しています。
さまざまな微生物が活動することで、自然にバランスがとれてくるのです。
土づくりに欠かせない堆肥も、自分で作ることができます。
適切な環境で育てることで、抵抗力がついて病気になりにくくなります。
微生物が豊かに暮すバランスのとれた畑を作れば、あとは野菜が自分の力で育っていきます。
品種の力を利用する
病気に負けないために、品種の力に頼る方法もあります。
品種改良によって、抵抗性のある品種が多数育成されています。
たとえば、品種名の前に「CR」と表記されているものは根こぶ病に、「YR」と表記されいるものは萎黄病に抵抗性があることを表しています。
そのほかにも、ウイルス病に抵抗のある品種もあります。
種まき時期を守る
野菜の種まき時期は重要です。
野菜にはそれぞれ育つのに適した時期があります。
野菜が育つのに適した時期というのは、野菜が丈夫に育つ時期でもあります。
種まきが早すぎても遅すぎてもダメで、病害虫の被害が増えます。
種袋の裏に書かれた種まき時期をかならず守りましょう。
密植を避ける
野菜にはそれぞれ適切な株間があります。
欲張って密植してしまうと、風通しや日当たりが悪くなり、病気や害虫が発生しやすくなります。
株の間隔は、野菜ごとに適した間隔を守り、間引きも適期にかならず行いましょう。
健全に育てる
病気に負けないためには、健全に育てることです。
健全に育てるためには、よい土を作ることが基本です。
春、堆肥をたっぷりと畑に入れて土づくりをします。
同時に有機石灰も入れます。
有機物を畑に入れることで、土壌生物が活性化され、土がふかふかになり、通気性や水もち、水はけのよい土ができます。
微生物の豊富な畑では、特定の微生物だけが突出して繁殖するようなことにはなりにくいです。
結果、病害虫の被害が軽減されます。
防虫ネットを使う
害虫から野菜を守るには、防虫ネットのトンネルが効果的です。
トンネルをかけるときに少し手間がかかりますが、その後はトンネルの中に害虫がいないか見張るだけです。
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有機栽培に効果的な防虫ネット
よく観察して早めに駆除する
防虫ネットでトンネルしていても害虫は発生します。
例えば、ヨトウムシやネキリムシは昼間は土に潜っているため、防虫ネットをした後にトンネル内で見つかることがよくあります。
そのようなときは、害虫を捕まえるという手段で対処します。
早めに発見してすぐに対処すれば、病害虫による被害を最小限に食い止めることができます。
天敵を利用する
有機栽培をしていると、いろいろな生物が生息するようになります。
その生物の中には、害虫にとっての天敵もいます。
害虫にとっての天敵を益虫といって、野菜の栽培に役に立つ虫のことをいいます。
テントウムシはアブラムシを食べることはよく知られていますが、クモやカマキリなども多くの害虫を食べてくれます。
コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、共栄作物ともいい、近くに植えることで病害虫の被害を軽減できる植物の組み合わせのことをいいます。
例えば、マリーゴールドを混植すると、マリーゴールドの根に含まれる成分はセンチュウの防除に効果があることはよく知られています。
ネギ類は、ネギの根に共生する菌が、つる割れ病や青枯れ病などの病原菌を減らす効果があります。
キク科の野菜は、臭いが害虫を遠ざけるため、アブラナ科の野菜に効果を発揮します。
自然農薬を使う
有機栽培では、焼酎、酢、木酢液、ニンニク、トウガラシなどを使用して害虫を駆除します。
有機栽培で定番なのがストチュウです。
ストチュウは、酢、焼酎、木酢液を混ぜた液を水で薄めたもので、噴霧すると害虫退治ができるというものです。
さらにトウガラシやニンニクを混ぜると効果が上がります。