有機栽培で使う肥料のひとつにボカシ肥料があります。
米ぬかや油かすなど複数の有機質肥料を材料に、発酵菌と水を加えて発酵させて作る肥料のことです。
堆肥と同じように土壌生物を活性化させ、土壌改良にも寄与しますが、堆肥よりも肥料効果が高いのが特徴です。
堆肥よりも短期間で作ることができ、たくさん作る必要はなく、1㎡あたり1kgもあればじゅうぶんです。
材料は、米ぬか、おから、油かす、鶏ふん、魚粉、骨粉などがよく使われます。
これらの材料が入手できなくても、油かす、米ぬか、畑の土だけあれば作れます。
堆肥よりも肥料効果が高く、速効性があり、しかも効果が長続きするのが特徴です。
野菜の根を傷めることもなく、元肥はもちろん、追肥にも使える便利な肥料です。
化成肥料と比べれば即効性はありませんが、肥料の効き目が穏やかで、効果が長持ちします。
ボカシという名称はこの特性から名付けられたという説もあります。
ここでは手軽な材料で簡単にできるボカシ肥料の作り方を紹介します。
慣れてきたらいろいろな材料をブレンドしてオリジナルのボカシ肥料を作ってみてみください。
手順1
トロ船などの大きめの容器に油かす(約5kg)、米ぬか(約1kg)、畑の土(スコップ半分くらい)を入れ、混ぜ合わせます。
手順2
水を入れ、水分が全体に行き渡るようにかき混ぜます。
水は、水道の水なら1日汲み置きしてカルキを抜いてから使用します。
川の水や雨水ならそのまま使用できます。
手順3
ぎゅっと握ってみて、指で押して割れるくらいの水加減にします。
水が滴るようだと、水分が多すぎて腐敗するので、水の入れすぎに注意します。
手順4
3を丈夫なビニール袋に詰め、手で押してしっかり空気を抜き、袋の口を閉じ、バケツなどの容器に入れてフタをします。
日当たりのいい場所に置いておきます。
夏なら2週間、冬なら2~3か月ほどして、白いカビが生えていたらできあがりです。
元肥や追肥に使用しましょう。
白いカビが生えた
ボカシ肥料の表面に白いカビが生えることがよくあります。
醗酵して白カビが出るのは正常で、うまくできた証拠です。
発生した白いカビはボカシ肥料の中に混ぜ込んでしまって大丈夫です。
たくさん作ってストックしよう
たくさん作って余ったら、天気のいい日に風通しのよい日陰でブルーシートなどに広げてサラサラになるまで乾燥させます。
雨のあたらない場所に保管すれば、約1年間保存できます。
乾くと、ボカシ肥料にいる菌は休眠し、畑に入れて水分を得ると目を覚まします。
好気的と嫌気的
ボカシ肥料の作り方には好気的に発酵させる方法と、嫌気的に発酵させる方法があります。
[好気的]
好気性菌を利用する方法で、酸素を必要とするため、切り返しが必要です。
発酵熱(40~50℃)が出てきたら週1回切り返し、合計で3~4回切り返します。
切り返しても温度が上がらなくなり、サラサラになったら完成です。
[嫌気的]
嫌気性菌を利用する方法で、酸素を必要としません。
切り返しの必要はありません。
空気をしっかり押し出して、袋の口をしっかりと閉じます。
夏なら2週間、冬なら2~3か月ほどで完成します。
嫌気的に発酵させる方法では、切り返しの必要もなく手軽に作れるので、家庭菜園におすすめです。
発酵菌いろいろ
[畑の土]
畑の土にいる菌を利用します。
野菜がよく育っている土を使用するとよいでしょう。
[EM菌]
EMは、有用微生物群といって、その名の通り、乳酸菌、酵母菌、光合成細菌など善玉菌の集まりです。
EM菌は通販などで購入することができます。