大豆の育て方を徹底解説!

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大豆

主要な穀物である五穀のひとつに含まれる大豆は、「大いなる豆」の意味からその名前が付けられとされています。

良質のタンパク質を多く含み、「畑の肉」ともいわれるほどに栄養価が高く、日本の食卓に欠かせない健康食材です。

驚くことに、日本の大豆は300種類以上もあるといわれ、大きさでは大、中、小、皮の色では黄(白)色、緑色、黒色、褐色、斑(まだら)色など、たくさんの種類があります。

また、煮豆、豆腐、納豆、味噌、醤油、豆乳、テンペ、もやしや、植物油の原料になるなど、用途に合わせた地域特有のさまざまな品種が栽培されています。

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大豆は枝豆?

大豆と枝豆

枝豆は、大豆を未熟なうちに収穫したもので、やわらかく、莢や中の実が緑色をしています。

枝豆を収穫しないで完熟したものが大豆で、莢は枯れ、中の実はかたく、黄色をしています。

大豆の育て方

大豆

大豆の栽培を成功させるポイントは、大豆用の品種を使用して、適期に種をまき、条件のよい時期に生育を合わせることです。

また、大豆はあらゆる作物の中で窒素吸収量が最も多く、窒素成分が多いと葉ばかりが茂って実がつかないので、肥料成分が少ない畑を選びましょう。

大豆用の品種で早どりした枝豆は、枝豆用の品種よりも味が濃いので、ぜひ多めに栽培して、初秋の美味しい枝豆も味わってみてください。

※ 枝豆専用と大豆専用で種まき時期が異なるので注意してください。

概要

生育温度 18~28℃。
土壌酸度 6.0~7.0。
連作障害 あり。2年以上あける。
育てやすい品種 鶴の子大豆、エンレイ、あやこがね、めぐろ王、玉大黒(黒大豆)など。
元肥 苦土石灰を入れ、元肥は入れない。
種まき時期 6月下旬~7月中旬。
種まき方法 畝幅:90cm。
黒マルチ:あり(なくても良い)。
株間:2列、30~40cm間隔で3粒ずつ。
栽培中の管理 鳥・虫害対策:防虫ネットでトンネルした方が安心。
仕立て:2~3本。
追肥:しない。
摘心:本葉が5~6枚(背丈が30cmくらい)になった頃。
水やり:開花期の7~8月にかけて、土の表面が白く乾いていたら。
収穫 葉が落ちて株全体が茶色く枯れ、莢をふるとカラカラと音がするようになったら。
乾燥 株をいくつか束ねて軒下などの風通しのよいところに吊るし、2週間ほど乾燥させる。
脱穀 防虫ネットなどに包んで棒で叩いて豆を莢から出すか、手で一つ一つ莢から豆をとりだす。
保存 1kgくらいずつに小分けして、通気性のよい紙袋(クラフト袋)などに入れて密封し、湿気の少ない冷暗所などで保存する。
病害虫 病気:白絹病、立枯病、べと病、わい化病、紫斑病、モザイク病など。
害虫:アブラムシ、ダイズサヤムシガ、カメムシ類、マメコガネなど。

栽培のポイント

  • 残肥の少ない場所を選び、肥料は入れない。
  • 防虫ネットでトンネルして鳥・虫害を防ぐ。
  • 開花する頃に土壌を乾燥させない。

時期

大豆の栽培時期

※品種や地域によって栽培時期は異なります。事前に確認してください。

大豆は種まき適期の幅が狭く、品種や地域によって異なるので、事前に確認しておくとうまくいきます。

育てやすい品種

鶴の子大豆、エンレイ、あやこがね、めぐろ王、玉大黒(黒大豆)など。

畑の準備

大豆は連作を嫌うので、大豆(枝豆)を含むマメ科の野菜を2年は育ててない場所を選びます。

また、窒素成分の多い畑では、葉ばかりが茂って実がつかないので、残肥の少ない場所を選びます。

酸性にはやや弱いので、種まきの1週間前までに苦土石灰をまいてよく耕し、畝を立てて黒マルチを張っておきます。

黒マルチは、雑草の抑制や、保湿や地温を上げる効果に期待できます。

種まき

大豆の種まき

大豆は種まき時期を守り、条件のよい時期に生育を合わせることが大切です。

準備した畝に、2列、30~40cm間隔で、一カ所に3粒、人差し指の1関節分くらい(2~3cm)の深さにくぼみをつけ、種をまいて土を被せます。

水分が多いと種が腐るので、水やりの必要はありません。

鳥・虫害対策

防虫ネットでトンネル

大豆は鳩の好物で、発芽直後に地上に出た芽を鳩に食べられます。

また、実がつき始める頃のカメムシによる被害も深刻で、カメムシに莢を吸汁されると、莢の生長が止まって落下してしまいます。

鳥害や虫害を防除をしなくては、満足できる収穫は望めません。

そこで、まとめて対策するために、種まき直後に防虫ネットでトンネルします。

発芽直後の鳥害対策になり、カメムシなどの害虫の心配もなくなります。

栽培後半は窮屈になりますが、収穫が終わるまでトンネルしておくと安心です。

摘心

摘心

本葉が5~6枚(背丈が30cmくらい)になった頃、主枝の先端を指やハサミで摘み取ります。

この作業を摘心(ピンチ)といって、主茎の伸びが止まり、脇芽の発生が促され、倒れにくくなるのと、莢のつきが良くなり、空莢も少なくなります。

水やり

大豆の開花期

大豆は根を浅く張るため、乾燥に弱く、水を大量に必要とする開花期に水切れすると、実があまりつかなくなり、小粒にもなります。

開花期の7~8月にかけて、晴天が続いて土の表面が白く乾いていたら、朝か夕方に水をたっぷりやりましょう。

収穫

収穫時期の大豆

葉が落ちて株全体が茶色く枯れ、莢をふるとカラカラと音がするようになったら、株元を切り取るか、引き抜いて収穫します。

とり遅れると、莢がはじけて実が落ちてしまい、雨にあたるとふやけてしまうので、とり遅れないように注意しましょう。

収穫した大豆

乾燥

株をいくつか束ねて軒下などの風通しのよいところに吊るす

収穫したら、株をいくつかに束ねて軒下などの風通しのよいところに吊るし、莢が完全に乾くまで2週間ほど乾燥させます。

乾燥中は莢がはじけて豆が飛び散るので、防虫ネットで全体を覆うなどして豆の落下を防ぎます。

脱穀

乾燥させた大豆

豆が完全に乾いたら、防虫ネットに包んだまま棒で叩いて豆を莢から出すか、手で一つ一つ莢から豆をとりだします。

殻や大きいゴミをより分け、ふるいにかけて小さいゴミをとり除き、虫食いや傷んだ豆なども取り除きます。

脱穀した大豆

保存

収穫した大豆はまだ乾燥が十分でないので、1kgくらいずつに小分けして、通気性のよい紙袋(クラフト袋)などに入れて密封し、湿気の少ない冷暗所などで保存します。

追加で日干しして完全に乾燥した状態であれば、缶やペットボトルなどに乾燥剤と共に入れて保存できます。

少しでも隙間があると虫が入って沸いてしまうので、完全に密閉して保存しましょう。

病害虫

病気では、白絹病、立枯病、べと病、わい化病、紫斑病、モザイク病などが発生します。

連作を避け、株間を広めにとり、窒素過多にならないよう肥料のやりすぎに注意します。

害虫では、病気を媒介するアブラムシ、新しく出た葉を食害し(葉が丸まる)、やがて莢に入って食い荒らすダイズサヤムシガ、葉や莢の汁を吸うホソヘリカメムシなどのカメムシ類、葉を食い荒らすマメコガネなどが発生します。

とくにホソヘリカメムシはやっかいで、たくさん発生するので手での駆除が難しく、莢の汁を吸われると莢が大きくらならずに落ちてしまいます。

種まき直後も鳩などの鳥に狙われるので、種をまいたらすぐに防虫ネットでトンネルして防ぎましょう。

なぜ、大豆専用と枝豆専用では種まき適期が異なるのか?

種まきが早すぎて失敗

(種まきが早すぎて失敗)

枝豆専用の種まき適期は4月下旬~6月中旬で、大豆専用の種まき適期は6月下旬~7月中旬です。

大豆の栽培で若どりして枝豆を収穫できるのに、枝豆専用と大豆専用では種まき適期が異ります。

厳密にいえば、大豆の種まき適期は1週間ほどと短く、農家では地元で相談して種まき時期を決めてから種をまくそうです。

これは、枝豆専用と大豆専用で品種の性質が異なるからで、大豆の種まき時期が短いのは、条件の良い時期に生育を合わせるからです。

[大豆の生育によい条件]

  • 花が咲いて実のつく時期に雨が降りやすい。
  • 豆の熟成期に晴天が続いて乾燥している。
  • 湿度が低く、収穫した大豆が乾きやすい。

花が咲く時期に雨が降らないと実があまりつかなくなり、豆の熟成期に長雨が降ると豆が腐ってしまいます。

なので、大豆の栽培では秋雨(秋の長雨)の雨の多い時期にちょうど花が咲いて実がつき、乾燥の始まる初冬に豆の熟成が始まるのが、大豆の生育に合うのです。

赤くコートされた大豆の種

赤くコートされた大豆の種

赤い大豆の種は、キヒゲンという薬剤のコート(粉衣)によるもので、鳥害の防止や、消毒により雑菌感染を防ぎ、紫斑病や立枯病の予防になります。

キヒゲンでコートされた種子は苦みがあり、鳩などの鳥が食害すると驚き、赤い種は苦いと学習して食害されなくなります。


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鳥害対策いろいろ

発芽時の鳥害対策は、栽培後半のカメムシなどの害虫対策にもなるので、防虫ネットのトンネルがおすすめですが、ほかにも対策方法はいろいろあります。

[苗を作って植える]

大豆は植え替えに強いので、ポットやセルトレイで本葉が出るまで育てることで、鳥害を防ぐことができます。ポットやセルトレイでなくても、畑の隅に育苗スペースを作って苗を作ることもできます。

[トンネルする]

防虫ネットや寒冷紗でトンネルします。手間はかかりますが、実がつき始める頃のカメムシ対策にもなります。

[べた掛けする]

防虫ネットや寒冷紗、不織布などをべた掛けし、発芽したら取り外します。トンネル状にかけるのと比べて簡単です。

[鳥よけ用のネット(防鳥網)を張る]

市販の鳥よけ用のネット(防鳥網)を畝の上15cmくらいの高さに張り巡らします。

[テグスを張る]

種をまいた上15cmらくいの高さにテグス(魚釣り用の透明な太めの糸)を張ります。テグスは透明で見えないので、鳥がテグスに羽を接触させて驚いて危険を感じ、近づかなくなります。

[ペットボトルを被せる]

500mlのペットボトルを半分に切ったものを被せます。

[キヒゲンを使用する]

キヒゲンは鳥害防止忌避剤で、種直前に赤色のキヒゲンをコート(粉衣)して種をまくと、鳩などの鳥が食害すると薬剤の苦みに驚き、赤い種子は苦いと学習して食害されなくなります。

苗を作るには

大豆の苗

大豆は発芽のときに豆が地表に露出し、鳩などの鳥に食べられてしまうことがよくあります。

種まきしたらすぐに防虫ネットでトンネルしたり、不織布を被せたり、もしくは薬剤を使用して鳥よけをしますが、できないようでしたら、セルトレイやポットで苗を作って植えると対策になります。

128穴のセルトレイ(または3号ポット)に種まき用土を入れ、穴に種を2粒ずつ(ポットの場合は3~4粒)置いて2~3cmの深さに指で押し込み、全体の表面を手のひらでならして種を隠し、水を静かにたっぷりかけます。

本葉が2、3枚に育ったころに畑に植えます。

大豆の生育を助ける根粒菌

根粒菌

大豆の根には根粒(こんりゅう)という粒ができ、この粒の中には根粒菌が生息していて、この菌は空気中の窒素を大豆が使える形に変えて大豆に供給します。

根粒菌が少ない、もしくはいないようであれば、「まめぞう 大豆用」を使用するとよいでしょう。


楽天:根粒菌まめぞう 1L分

※ まめぞうにはそら豆用、えんどう用、えだまめ・大豆用、いんげん用、落花生用があります。

葉がなかなか枯れない

広い面積でたくさんの大豆を育てると、一部分で葉がなかなか枯れないことがよくあります。

また、収穫期を過ぎても葉が枯れ落ちずに青々としている場合があります。

これは、残肥で窒素が多かったり、元肥や追肥で肥料を多く入れてしまったことによる、肥料過多の状態です。

大豆は根に根粒(こんりゅう)ができ、その中にいる根粒菌が空気中の窒素を固定して大豆に供給するので、肥料はあまり必要ありません。

家庭菜園では肥料が多くなりがちなので、残肥の少なそうな場所を選び、肥料は入れないか、もしくは控えめにするとよいでしょう。

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